イメージ 1
写真は高倉健である。今回は前回の「替歌その1」の続きであるが“任侠”の話。
前回紹介した「戯歌番外地」。この本の替歌には各大学の名前が出てくるが、その中で唯一明大の名前が出てくる替歌がある。その替歌と解説を引用する。

「網走番外地」

1 ポリにポリに追われし全共闘
  デモすりゃ殴られパクられて
  どうせ俺らの行く先は
  その名も東京警視庁

2 はるかはるか彼方にゃ機動隊
  黒や銀のヘルメット
  石をはがします投げてます
  その名も日大全共闘

3 ポリにポリに追われしこの駒場
  ゲバやれゲバやれゲバぐれて
  どうせ俺らの行く先は
  その名も警視庁公安課

4 スタだスタだ社民だとけちつけて
  自分は日和るよ官憲に
  姓は反帝名は反スタ
  その名も革マル全学連

5 追われ追われこの身を明大( 砲
  かばってくれた可愛い娘
  聞かせてやりたや やけ総括
  今のブントにゃままならぬ

6 はるかはるか彼方にゃ機動隊
  空にゃ真赤な旗の波
  国会突入叫んでます
  その名も反帝全学連

7 ゲバ棒ゲバ棒片手に殴りこみ
  マスコミ嵐を肩で切る(◆
  10・8精神()胸に秘め
  その名も中核全学連

8 馬鹿を馬鹿を承知のこの封鎖
  「民主的」教授会に背を向けて
  無理に笑ったゲバ学生
  その名も都立大スト実連

9 ドスをドスを片手に殴りこみ
  革マル殺って男泣き
  どうせ解放の行く先は(ぁ
  その名も東京拘置所よ

【解説】全国学園闘争のなかで、この「網走番外地」の替歌が厖大に生まれた。1.2番は日大、3番は東C(注1)、4~7番は反帝学評(早大か?)(注2)、8番は都立大、9番は横国大の社青同解放派の作。
元歌「網走番外地」(歌詞は省略)(注3)
。院Γ隠検腺隠弘妥直詬郛觚紂入試強行の旗印を掲げた全国諸大学城の旧城主どもはキドー隊なる援軍を得て、各城を奪取していた匪賊全共闘一派を追い出しにかかった。
城を追われた匪賊どもは明大・中大の学館城に身を置いて報復の策を練っていた。
△覆砲というと記者会見をやり、写真うつりのよい大旗を持って突入する「社会問題化路線」を皮肉っている。
10・8精神―67年10・8羽田弁天橋で死力をつくして空港突入闘争を闘い抜いたあの精神。「中核魂」ともいう。
い匹海離札トにもヤクザチックな血は流れているが、解放派の場合、明大全学反帝学評がその旗に“任侠道”と大書し傍らにサイコロを2つ書いていた。セクトの旗としては珍しいものだった。

以上、「網走番外地」の元歌の歌詞を除き原文のまま引用した。

この替歌にあるように、1969年、明治大学の学生会館には各大学を追われた全共闘部隊が駐留していた。御茶ノ水の駿河台学館には日大、中大、青学・・・、杉並区の和泉校舎学生会館には日大文理、東C・・・。

手元にある1971年のメモを見ると、駿河台8号館(旧学館)の部屋の利用者リストには「日大理工」「中大救対」「中大小川ゼミ闘争委員会」「日大二連会」「立正大RRHC」という名前が見える。
明大学館は神田駿河台地区の学生運動の拠点として利用されていたということである。学館解放闘争をしていた我々も、他大学の使用は全然気にしていなかった。むしろ神田地区の拠点として利用してもらいたいと思っていた。

い砲弔い董¬逝臍干愴芯覲愽召脇販反帝学評とも言われており、明大の社学同も党派は違っても評価していた。(1969年当時の明大社学同も理論より行動という人が多かった。)
1969年に和泉地区反帝学生評議会が発行したアジビラのタイトルには「仁義」の文字。
仁義シリーズNo1として、ビラの冒頭に「左翼の仁義とは、伴に闘う中で男命を革命にかけることである 北島三郎」と書いてある。(リンクの「明大全共闘・学館闘争・文連」の「アジビラ」の項目を参照)
当時の明大反帝学評の顔ぶれを思い出すと、外見上ヤクザ的な感じの人はいなかったと思うが、明大のML派(注4)にはフランケンというあだ名の男がいて(フランケンシュタインのような風貌だった)本当に左翼かと思いたくなるような強持ての男だった。全共闘の会議でも他党派に恫喝発言をしていて、都内の有名なヤクザ組織に属していると噂されていた。

右翼も左翼も紙一重といわれているが、ヤクザも左翼も紙一重。正確に言うと暴力団ではなく、高倉健の映画に見られるヤクザ=“任侠”の世界とシンクロしていたのだろう。

(注1)東C:駒場にある東大教養学部のこと。

(注2)反帝学評:反帝学生評議会の略。青ヘルメット。

(注3)網走番外地:高倉健主演の東映映画「網走番外地」の主題歌。元歌の歌詞を知りたい方はインターネットで調べてください。

(注4)ML派:日本マルクス・レーニン主義者同盟。学生組織として学生解放戦線(SFL)があった。赤に白のモヒカンのヘルメット。