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(No191-1の続きです。)
(写真は原子力資料情報室HPからの転載)

Q:『批判的学者は使ってもらえないのか。』
A:『マスコミには専門家リストというのがあって、そこから選んでコメントをもらう。リストに批判的学者が載っていたとしても数が圧倒的に少ないから、選ばれる可能性が低い。
そもそもそのような割合になるということは、原子力分野のアカデミズムの方が批判的 な人をパージする体質になっているからであり、批判的な学者はこのようなリストには入ってこない。』

Q:『2,3週間くらい前に、原子力開発に携わったOBの技術者が自己批判声明のようなものを出し、自分たちは力があるから協力させろという要求が出ているが、これについてはどう評価するか。』
A:『期待はするけど無理だと思う。あの人たちは本当に反省ととれるかどうか良く分からない。ただ、今回の事故対策に義勇軍みたいに手を挙げている人もいるが、協力者を受け入れるルートがない。東電にいっても、原子力安全委員会にいっても全然相手にされない。ルートが確立されていない。』

Q:『今朝の毎日新聞に、日本とアメリカが提携してモンゴルに最終処理場をつくる。しかも最終処理場付で原発を売り込むみたいな話が出ている。日本では新しい原発は難しいだろう、アメリカでも難しいだろうということで、処理場付で海外に売り込むという路線がロシアとかフランスからも出てくると思う。
日本で脱原発社会を作る運動を続けていくのもいいけれど、第2のフクシマがモンゴルに出来てしまうのを阻止するにはどうしたらいいかというのが一つ。
もう一つは、民主党の仙石が地震の前に原発の売り込みにベトナムに行っている。そういう悪さを企てているのは、どうも仙石のような気がするが、その辺の情報があったら教えて欲しい。』
A:『仙石は1989年の脱原発法の時の紹介議員だった。その当時は反対だったはず。』
会場から:『仙石は東大のフロントだった。』

Q:『福島だけではないが土壌汚染、放射能に汚染された農地がどうなっていくのか、教えてもらいたい。』
A:『今、メインの放射物質というのはヨウ素とセシウム。そのうちのヨウ素は半減期が8日なので3ヶ月もすれば二千分の一くらいになる。長期にわたるのはセシウム。セシウムは土壌で極めて高い汚染のところがある。
そういうところは、今、それがいいかどうか分からないが、5千ベクレル以上は米作の制限といっている。仮にそうだとするとそのエリアは相当長い間耕作ができない。
チェルノブイリの経験から言うと、あまりメカニズムは分からないということだが、結論としては地表に相当長く留まる。雨が降っても、20センチくらいのところに留まっているらしくて、雨と一緒に下に行かない。
だから高い汚染のところは、それをひっくり返して処理すれば別だが、例えば5千ベクレル以上はダメとなったら長期にその場所はダメになる。
それが作物にどう移行するのかは、実はよく分かっていない。移行しやすいものもあれば、移行しにくいものもある。』

Q:『自民党の河野太郎が子供の被爆量など原発問題で発言しているがそれについて。』
A:『あの人は放射線審議会の重鎮で、国際放射線保護委員会の論理に貫徹している。それで、子供について言うと、感受性が高いから適用すべきではないというのが国際的常識なので、そこはヒューマニズムで良しなのだが、「労働者の被爆について250まで緩和したが、あれには根拠がない。倍以上はOKだ。それを認めなかったのは法的根拠がない。それを認めていれば、危険なところにもっと早く作業員が行って事故を収拾させることが出来た。」そういうことを言っている。人道的な部分だけ報道されている。』

Q:『マスコミの報道について』
A:『東電の広告費がすさまじい。広告費を干されるので自己規制する、次に大手のところはやりすぎると干される。原子力関係は特にそういう圧力がかかってくる。何人もいる。そうすると、その人は意義を感じてやっているのでいいかもしれないが、後に続く若い人が出てこない。自己規制してしまう。』
 
Q:『政府の参与の辞任の報じ方に象徴的に出ているのでは。』
A:『そこはどうか。どちらかというと、お涙頂戴的な報道だった。あの人は記者に全部ペーパーで配った。あれをマスメディアが自分たちの新聞に全部を書くことができなかったとしても、また、放映する時には全部は言えないのは当然かもしれないけれど、それをホームページで公開していくかどうかは結構大きい。』

(No191-3に続く)