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先週の柳家三壽さんの「原発よせ(寄席)」の続きです。

『本当に何考えてるか分かんないですけども、やはりこの間、話は変わって、業界では立川談志というハチャメチャな男が、落語会の異端児、違うんですよあの人、落語会の革命児なんです。あの人は、そうですね、丁度私が(大学)三年くらいの時に南千住で反戦でデモをやった帰りに新宿に寄ったんです、コマの広場に。彼が車に乗って喋ってた、ちょこっと聞いたんです、そうしたら「あなた方ね、働くとみんな資本家のためになっちゃうんだ、資本家のために働いているようなもんなんだから」
談志が労働の剰余価値なんてものを知ってたかどうか分かんないけど、まああの人だったら知ってたかもしれない、とにかくね好奇心の塊だから。「俺が知らねえものは許さねえ」なんてもんだからね。たぶん安保かなんかで「何だこの騒ぎは、なに?マルクス主義?」てんで本屋に走って多分かじったんだと思う、じゃあなかったら落語家がね、資本家のために働いてるんだなんてこと言えないんだから。多分あの人はね、資本論読めたかどうか分かんないけども言ったんだよね。
すごいよ、あの人は、「師弟関係なんて封建制度、あんなものはいらねえんだ」、でも不思議な人よ、「封建制度いらねえ」なんて言いながら家元制度作ってね(笑)、それで弟子から銭取ってんだからね。メチャクチャもいいとこ。
まあ談志さんの話だからついでに言いますがね、あの人はね、私が柳屋小さんの内弟子の時に、ある日袋をかついできたんだよ、ばーっとね、懐メロがなんか歌いながら。「かみさんいるかい」「おります」
おかみさんの前で炬燵のところにどーんとそれを置いてさ、「おかみさんね、大平のかあちゃん騙して50万ふんだくってきたよ。これあげる」って50万、おかみさんにやったんだよ。
それで50万のバラ銭は担げないけども、あの時丁度、30万、あと20万はバラ銭なんだよ。バラバラとバラ銭を置いて、おかみさんとひとしきり話して、で帰っちゃった。おかみさんは「おう、これちゃんと数えとけ」、半日かかったよ、20万バラ銭、きっちり50万あった。30万、おかみさんが札束で持ってったから20万、で師匠が帰ってきて「お前、何してんだよ」「いや談志師匠がね・・」「そうか」って嬉しそうな顔してるんだよ。(笑)芸人って金貰うとあんな顔すんのかね。
うちの小さんはね、「噺家は、落語家は徒党を組んじゃいけねえ」なんて言ってたんだよ、「いいかみんな、スクラム組んだりなんかしちゃいけねえぞ」って言いながら消費税反対でデモやったんだよ、あの人。徒党組んでるんだよ、チラシ持って旗持って、小さんがですよ、落語家引き連れてやってるのはなんだかわからない、でもあの人たちは噺家も労働者だということに気が付かねえんだね。
うん、やっぱりね、私なんかはねこの原発デモね、何でもいいんだ、もちろん原発反対なんだけど、とにかく私はね、権力、資本家やることはナンセンスだからすべて。拍手がないかね、異議なしとか(笑)
私はどっちかというと神聖なる労働派だから、こういうことに関しては「異議なーし」、いつになったら落語するのかな。まあ、そんな訳でひとつ、またここに来たいと思います。
一席だけ、今日、「原発よせ」誰が作ったの、いいね「原発よせ」って、落語よせって言わないでくださいね。(笑)
こうやってみなさんと縁になって、私もね、そのうちまた来ます。これやっぱりね、3ヶ月にいっぺんやってもいいと思う。(拍手)
ただね、私は「こういうことあるんだけども、前座、誰か行かねえか」私の弟子もいるんだよ、そしたらみんな「勘弁して下さい」って言った。(笑)「あぶねえから」「あそこ行くと、霞ヶ関、右翼の街宣車がいっぱい走っていたり、なにか鉄砲で撃たれるかもしれない」「いいじゃねえか撃たれたってよ」「いやー勘弁して下さい」ってみんなビビッて来ねえんだよ。
今日は2人分話さなけりゃいけない。
また談志さんの話になるけど、高座で客と喧嘩する、私がね、前座の頃にね高座で喧嘩始まってね、後ろから(客)「聞こえねえぞ!」(談志)「聞こえねえかー」(客)「聞こえねえよ」(談志)「聞こえてんじゃねえか」(笑)それで喧嘩になっちゃった。それがヤーさんなんだよ。「このやろー」談志さんはもう舞台降りて、着物脱いでパンツいっちょうで池袋の街に出た、その後を俺が洋服持って追いかけた、その後からヤーさんが追いかけてきた。(笑)それで夜の池袋をぐるぐる3人でさ、やっとまいて、談志さんが、あの顔忘れねえけどちょっと優しいところもあるんだ、「すまねえな悪かったな」って言ったかどうか覚えてねえんだけど(笑)、まあ兎に角そんな面白い人だけど、何となく、さっきも言いましたが労働の剰余価値を知っていたかどうかってところが生きている間に聞きたかったなと思うんですけどね。』

(No218-2に続く)