イメージ 1
(No244-1の続きです)

ホムスは危ないということはある。着いたとたんにパンパンと、どこからかスナイパー(狙撃手)が撃った音が聞こえたんです。
バスでエスコートが付いていたので、たぶんスナイパーが政府側のジャーナリストか政府側のお客さんということを見て分かって、それで結構撃ってきた。私たちがその時に行こうとしていたのは政府の軍事病院だったんですけれど、軍事病院といっても軍人だけではなくてその家族とか普通に行けるんですが、病院の中まで外から撃ってきた弾の跡があるんです。
あまりにも狙われているから、怖くてみんなその病院に行けなくなっている。だからそういう所もある。日本のテレビで見る報道は完全にウソです。使われ方がウソだと言っておきたい。
例えばCNNなんか見ていると、パンパンパンとかいう音だけ聞いて、「これでここの人たちが殺されています。」となる。でも別にデモの人が殺されているところも見えていなければ、誰が誰を撃っているかも見えていなければ、何も見えてないのに、そういうキャプションというかタイトルを付けることによって、見ている人は自然と当たり前のように、これはデモの人が殺されている映像なんだ、と勝手に思ってしまう。でもそれは本当は見えていないことなんだけど、そういう報道の仕方で、すごいずる賢い。見ている人たちを騙す。見ている人は知らないうちに騙されている。』

O・K「アルジャジーラのベイルートの記者が何人か、偽造の名簿を自分たちが作らされて辞めましたが、あれはどういうことだったんでしょうか。知っていることがあれば話を聞かせてください。」

メイ『偽造のニュースだったんです。映像までフォローしていませんが、確かにアルジャジーラのスタッフで何人か辞めた人がいます。イデオロギー的なところもあるかもしれないし、責任のこともあるかもしれませんが、「アルジャジーラがあまりにもウソを報道している。自分はウソに入れない。」そういう風に辞めている人はいっぱいいます。
リビアの時もそうでしたが、アルジャジーラは結構情報操作というか情報偽造しているんです。
一つの例を言うと、同じメディアで働いている者同士で、友達とかいっぱいいるんですが、個人的に知っている友達の知人の話です。
その友達の知の話によると、シリアからの現場で見た人のふりをして「いま何処どこにいて、これを見ました、今撃たれてています、私たちは何十人殺されました。」という電話のやりとりを延々とやっているのが、アルジャジーラで働いている友人の声だったということなんです。
自分が知っているアルジャジーラで働いている友達が、何回も同じ声で毎回違う名前で出てくる。声を知っているのは友達だから、明らかに友達なんだけど、毎回違う名前でシリアからの現場で見た人です、と言って出てくるということなんです。
リビアの時も感じたんですが、シリアもそうですが、本当に無名な人ばかりが電話に出てくるんです。証言をしているとしても、本当の証言なのかどうかフォローできない。ただ「私たちはあれを見ました、これを見ました。」というのはリビアもシリアも一緒です。』

O・K「もう一つ、対イスラエルについて聞きたいことがあります。エジプトがイスラエルに対して手を握って、シリアがその後、軸になってアラブの全体の対イスラエルで頑張ってきた、シリア国民はそういうアサド政権の政策を支持しているのでしょうか?
もし対イスラエルのアラブの軸であるシリアがダメになると、対イスラエルに対するアラブの力が弱まるのではないでしょうか。」

メイ『シリアの国民のイスラエルに対する考えは変わりません。エジプトでは経済的な腐敗に反対するだけはなくて、自分の国の政府の対イスラエルに対する政策に反対して、自分たちが納得する外交政策をしてくれ、ということだった。
でもシリアではそれがなかったんです。シリアは腐敗とかありますが、外交政策については国民と政府が離れているような感覚はありませんから、それでいまだに支持しています。確かにシリアが倒れるということは、対イスラエルに対するバランスが完全に壊れる。さっきも言いましたが、シリアの国内で人々は改革を求めているということはありますが、改革を求めていることと、対イスラエルに対するバランスが変わることは違うことなんです。シリア国内で改革を求める人たちを利用して、アメリカとかヨーロッパとかイスラエルは、対イスラエルに対するバランスを変えていこうとしている。
対イスラエルに対するバランスが変わるということは、要はシリアを変えることによってイランも変える訳です。
イランの力はシリアが一緒に付いているということだし、シリアが倒れるということは、イランが対イスラエルに対しバランスを持とうとするときに、イスラエルの国境沿いにいるのはシリアとレバノンです。

(No244-3に続く)