イメージ 1
(No250-1の続きです。)

伊藤 それを感じたのは5月9日に東電の社長に抗議文を突き付けたときからです。その時大手マスコミ各社は来ていたのです。報道は一切ありませし、その後NHKのクローズアップ現代がここのキャンドルナイトを取材に来ました。村民の想いや東電の対応についても話したのですがその部分はカットされています。某国内TV局のディレクターが来ますが、局ではなくあくまでも個人でここに来ています。

Q 記者クラブからの報道に不信感を持っている人も多いです、上杉 隆さんの自由報道協会にかんばってもらいたいですね。

伊藤 外国メディアの方が自由な報道精神を持っています。先日ドイツのインターネット報道機関が取材に来ましたが、私の意見はフルタイムで報道してくれました。こんなこともあります、10月4日村の避難者向けの説明会がありましたが、取材に来たインターネット報道機関に村の説明だけは流してよい、質疑応答はダメというのがありました。
 私は「負げねど飯舘」から連絡を受け、説明会参加者にダメかどうか聞くべきだと提案しました。村には立派な意見を持っている人がいるものだと感心しました。

Q 飯舘ふぁーむではヒマワリや根菜、野菜など多くの作物の残留検査をしましたが、どんな感想をお持ちですか?

伊藤 ハウスと露地でキュウリ・ナス・ジャガイモ・トマト・インゲン・サトイモ・サツマイモなどを行いました。ほとんどこの飯舘でも「不検出」若しくは「検出されても30ベクレル台」でした。検出されたセシウムを見ると137が少し多いのですが134とはほぼ1:1の割合になっています。
 インゲンは移行率が高く、ハウス土壌232ベクレルに対して33ベクレル検出されました。同じハウスでしたがキュウリ・ナス・トマトは不検出でした。
 イモ類は6~100ベクレルの範囲で出ています。

Q ヒマワリ、農水省の「効果なし」という発表には、ああヒマワリでもだめなのかと、一瞬目の前が暗くなりましたが、伊藤さんの数値と大きな隔たりがありました。

伊藤 村にある農水の実験圃場は比較的線量の低い地域にあります。ヒマワリ収穫後を見たのですが、根と地表から30センチ位までの茎は刈り取っていないのです。
 私のデーターですが、土壌11320ベクレル/kgに対して根7060、茎222、花82、合計7364ベクレルです。今ヒマワリを灰にしたものを検査に出しています。

Q セシウムは場所によってバラツキが多いと聞きましたが。

伊藤 1メートルメッシュで区画してその1メートル内の地表を測りましたが、9~16マイクロシーベルト/hのバラツキがあります。国は2kmで区切っていますが、もっと細かい汚染地図を作製する必要があります。
 セシウムは水で流れやすいことも判りました。水を掛け流した田はセシウム合計325ベクレル、そのままの下にある田は23700ベクレルとこれほどの違いが出ています。セシウムは土着と離飛を繰り返すと思いますので、山が多い飯舘の平らな所を除染しても長い目で見ていかほどの効果があるか疑問に思っています。国は東電は責任を棚上げし、村当局はがむしゃらな除染に突き進もうとしています。

Q 土質と作物への移行率はどう考えますか?

伊藤 二本松のコメでも判りましたが粘土質の土壌にセシウムは良く吸着し、砂質は作物に移行しやすい土壌ですが、肥料のカリウムや汚染濃度との関係などまだ土壌と汚染度と作物への移行係数はブラックボックスの中にあると思います。
 私は事故後、これは大学の研究室とタイアップして放射線の作物への影響を考えなくてはダメだと考え、幾つかの大学に連絡しましたがナシノツブテでした。土壌改良材メーカーから申し出がありましたので、データーは公開するということで比較試験を行いました。

Q 強く汚染された飯舘村、チェルノブイリと同じように体内被爆に関連する農作物の実験はこの地だからこそやってみる価値があると思います。

伊藤 そうだと思います。私がここに来て2年目なのですがここを離れないのは、実証実験をやる意味がある、私を温かく向かい入れた村の人の恩義に報いるためでもあるのです。

 
 飯舘ふぁーむは東京のIT会社の職員研修農場として2010年に開設された。2年目にして原発事故に出くわしてしまった。ふぁーむの伊藤さんのブログからは、除染して出た放射性廃棄物の仮置き場をこの小宮地区に置くことが報告されていた。また一つ大きな困難を抱えることになった。新聞報道では「仮置き場は国有林」となっていたのだが、それは村道からさほど離れていない場所だ。
 
飯舘ふぁーむは集落の人、村の人とのふれあいをとても大切にしている。避難している人を招いてときおり食事会をしている、なんせ約25人は泊まれるスペースだ。近所の目黒さん(伊藤さんの農業の師匠)たちを招いて、「飯舘で目黒のさんま」バーベキュウをしたりしている。
 
(終)