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(No277-1の続きです)

ただ、それが1週間議に、反シリア側が出してきたプロパガンダに対抗するように、シリアのテレビにIDカードを持った彼女本人が出てきて「私は死んでいないんです。家族があまりにも暴力をふるうので、逃げたんです。」と言うんです。
その事件というのは、本当に両側が情報を使って戦争をしているというのが、明らかに分かりますね。
なので、そういう風に確認が出来ないけれど情報だけが独り歩きして、政治的に利用されたり、戦争にも利用されていくというのが、最近いい面もあったソーシャルメディアなんですけれども、残念ながらそういう風に使われるということもあるということですね。』

アナウンサー
『重信メイさんが挙げて下さったシリアの例なんですが、この他にもこんな例があるそうなんです。ユーチューブにアップされた血まみれの人たちを川に投げ落とす映像。これは親アサド政権側による暴力だとして、CNNなど各国メディアが報じたんですが、実は暴行を受けていたのは逆で、親アサド政権の人たちなんですね。重信さんはアラビア語が分かる人であればおかしいと分かる映像だと指摘しています。
しかし、映像を流した各メディアは訂正をしていないそうなんですが、上杉さん、重信さんが語っていたメディア戦争についてどうお考えですか。』

上杉 隆
『これはスピンコントロールと専門語で言うんですが、メディアコントロール。これはアメリカとか特にイギリスなどは90年代初頭には、この専門の担当官が登場して、これを意図的にチームでやるというのをやってきた。90年代の湾岸戦争の有名なスピンコントロールとしては泡だらけになった鳥という映像がありましたね。こんなひどい環境破壊をやっているイラクだ、フセインだと。実はあの後で完全に誤報だった、ということが90年代初頭に欧米では起こっている。
それがアラブの春、SNSによってもっと巧妙に、そして世界的になっていたのが現状で、メイさんが言うようにメディア戦争という状況になっているのは本当なんですが、驚くことに日本だけが極端に遅れている。
阿部総裁と野田総理が、インターネット番組に出るか出ないかということでもめているというのがありましたよね。それは出るか出ないかでもめているのではなくて、既にどの国でもそこに出て、どのような形でメディアをコントロールするか、つまりスピンをかけるかという時代に入っているのに、日本だけが前世紀のようなことをやっている。
そういう意味では、政治自身もメディア自身も遅れていると言うのが日本なので、おそらく遅れていることはいいことだなと思うのは、一つは分かっていない、と言うことなんです。ただ、これは分かっていないで、実際には誰かがやってしまえば気付かないで無意識の内にコントロールされるという恐怖がある訳です。
ですから、この辺の研究というのは、きちんとジャーナリズムがやらなくてはいけないのですが、日本のジャーナリズム自身が、記者クラブによって洗脳されいるので、スピンコントロールとか、メディア戦争も実は始まっていることに気付かないんですね。
そういう意味では、アラブの春で起こったメディア戦争より、より深刻なことが日本で起こっているのではないか。現状で起こっているアラブの春は重信さんの報告のとおり、アルジャジーラも含めて、このような形で戦争のスピンに使われているというところが深刻さを増しているということですね。』

アナウンサー
『重信さんはSNSは戦争の武器になっている、というような表現をされていましたけれど、SNSは内戦や紛争の抑止力となるのでしょうか。』

重信メイ(写真)
『ソーシャルメディアも、必死で自分たちの情報を広げたいとか、報道されないものをより多くの人に知らせたい、という気持ちで始まったはずのものなんですけれども、その力を体験した者からすると、情報をちょっと曲げたとしても広げたいという意味で、特にユーチューブでデマの情報がいろいろとあるので、いい方向にいっていたのが、逆に、最近、悪く使われているところもあると思う。
残念ながらエジプトとチュニジアのように、何百人と亡くなる方や怪我をする人が出てくる訳ですよね。それは政権を変えようとか、革命を起こそうとかした時は、絶対にあると思うんです。
そこで、シリア(内戦)を止めるにも、私たち世界の人たちも、武器をもったらどういうことになるかというのを、イラクでもアフガニスタンでもレバノンでも、例がいっぱいある訳ですから、そこから見習わないといけない。見習うことが知識の一つですよね。

(No277-3に続く)