
(No282-2の続きです)
説得するために、お父さんの給料明細の源泉徴収票を見て、「これ見てみなさいよ。12か月計算したら、お父さん、所得税や社会保険で百万円引かれているんだよ。私と結婚した頃、たった6万8千円の給料だったよね。」35年前、鼻で笑っていました。私は東京でバスガイドをしていて、すでに12~3万給料をもらっていましたので、結婚する時に、こんな福島のたった6万くらいしか給料もらわない男の人と結婚して大丈夫かと思ったんですね。(笑)その時は私もまだ若さと情熱があったのか、あの人しか目の前にいなかったのか、(笑)どちらも忘れてしまったんですけれども、それでもやっていけるだろうと思ったんです。出来なかったです。お互いに貯めたお金を食いつぶして、銀行からお金を借りたりすることを覚えたり、自転車操業でここまでやってきたんですけどね、今、現役のサラリーマンもそうだと思うんですよ。でも、そのサラリーマンが何も言わない。このサラリーマンが「俺たち税金払わないぞ、ちゃんとやらなかったら払わないぞ。」と言ったら政治も変わるんだろうに。(拍手)
木幡さんと話して何かやろうと思って、12月10日に新橋駅前、SL前で2人でゲリラ街宣をやりました。その時の様子が○○に紹介されています。
私がすごくおっかない顔して喋っているのに、隣で木幡さんがニコッとお人形さんみたいに可愛らしく立っているのが気に食わないんですけれども(笑)、なんだか知らないうちに震災前は同じ双葉郡で会うこともなかったのに、今、こうして連絡を取り合って、2人で何か出来ることをやろうね、とやっているんですね。
新橋駅前のゲリラ抗議、2月は残念ながら悪天候などで出来ませんでした。3月は何とかやりたいと思っています。サラリーマンが考えたら本当に変わるんですよ。また、若い人も考えれば変わるんです。御茶ノ水の駅からここまで歩いてくる時に、学生さんがいっぱいいました。勘違いして、私たちの話を聞きにこんなに来てくれたんだと思ったら(笑)、ここに入ったら別の会場に流れて行ったんです。本当は皆さんは来なくていいんです。
本当は、皆さんは聞かなくてもいいくらい十分に勉強しているんです。聞かなければいけないのは、別の会場に流れて行った若者たち。明日、明後日、来年、その先を生きるためには、そっちじゃないです。そのことに気付かずに目の前を通り過ぎて行く若者たちに早く気が付いてもらいたいと思いました。
先日、私は木幡さんと同じ避難民として一時帰宅しました。フォトジャーナリスト山本宋補さんの本に、お互い紹介されています(「鎮魂と抗い3・11後の人びと」)。まだ買っていない方がいれば、是非お買い求めください。木幡さんがいっぱい載っています。私はやっぱり怒って喋っているところしか載っていません。(笑)山本宋補さんに一時帰宅に同行していただきました。山本宋補さんは入りすぎです。かなり被曝していると思います。木幡さんの家に行ったのは、私の家の次の日です。私の家は庭先で最高で10マイウロシーベルトくらいでした。前に行った時は4.6くらいだったのが、雨が降って水が庭に流れて、その雨の流れたところに落ち葉が引っかかった、そこのところが高かったんです。3か月前は4.6だったのに、この間帰ったら10いくつだった。家の中も測りたかったんですが、鍵を忘れて入れませんでした。
除染作業は無駄です。はっきり言って意味がない。本当にこの国と政治家とゼネコンと、そこからおこぼれ頂戴している地元の人夫出し、そういった者たちが儲かるための構図だと、そんなことを、いつやるか分かりませんが、新橋駅前のゲリラ抗議でやっていきます。
私たちは出来ることをやっていきます。福島県民は喋ったりやったりして行きます。でも一番やっていかなければいけないのは、皆さんだったり、私たちの前を無視して通っていった関心の無い人たちです。
私たちはもう失うものは無いんです。守りたいものがいっぱいある福島県民以外の人たちが声を上げなければ、自分たちのことは守れません。福島のことがこのまま進められ、福島のことがどんどん決まって行けば、福島方式で、同じことが起こった時、皆さんも私たちと同じ思いをするんだ、ということに気が付いていただきたいと思います。』(拍手)
郡司『ありがとうございます。穏やかな言葉の中にも、非常に怒りというものがひしひしと感じとれました。私たちも福島の女性たちの怒りというものを一緒に共感しなければならないかなと思っております。ありがとうございました。』
※ 録音の書き起こしが終わったところから順次掲載して行きます。
(つづく)
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