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(文書が長くブログの字数制限を越えるため、No291-1からNo291-3に分けて掲載します。)

1968年から1972年頃までの全国学園闘争の新聞記事や資料を紹介するシリーズの第10回目である。2010年 12月の No166以来、2年半ぶりの登場となるが、今回は国士舘大学。
ネットによると、『国士舘大学は1917年、青年有志が私塾「國士館」を創立。創立者の柴田徳次郎氏が、1958年に国士舘大学を創設している。創設以来、「国士」養成を教育理念に掲げている。』とのことである。
先日、明大関係者のA氏から資料の提供を受けた際、資料の中に「国士舘民主化闘争」という冊子があった。当時、国士舘と言えば、高校・大学とも「最右翼」の学校として知られていたが、そんな大学にも学園民主化闘争があったのだ。
以下、その資料の中から抜粋して紹介する。

【国士舘民主化闘争(1971年10月):国士舘民主化闘争共闘会議】(抜粋)
最初に、国士舘大学民主化闘争の経緯を見てみよう。
『<第二次学内民主化闘争のあゆみ>
○待望の共闘会議結成
現在の国士舘大学民主化闘争は、1969年(昭和44年)の夏から秋にかけて組織化された自治会結成準備委員会に始まり、以後、今日までに下記の経過をたどり、現段階では自治会設立連絡会議によって、学内における全ての闘争が指導されている。
○勝利を目指して組織化された民主化集団
昭和44年10月
自治会結成準備委員会結成
昭和44年12月
文学部民主化闘争委員会結成
昭和45年1月
全学民主化協議会結成(自治会結成準備委員会と文学部民主化闘争委員会の合体)
昭和45年8月
民主化闘争評議会結成
昭和46年2月
自治会設立連絡会議結成(全学民主化協議会と民主化闘争評議会の共闘。現在、合体)
昭和46年4月
国士舘民主化闘争共闘会議成立

<民主化闘争は如何に問われているか 要塞化する学園の中で>
昭和44年から46年に及ぶ私たちの活動は、かって何回となく叫ばれた、民主化や自治権獲得のための運動が挫折し、壊滅させられていった事実を認識し、その原因は何であったのかを究明した。現在も国士舘大学という先例をみない特殊な民主化闘争の戦術が練られ、その一部は既に実践され闘われている。
学内で民主化を要求する発言や印刷物の配布等の基本的権利を否定された異常環境は、学内の人間でなくては理解できないと思われる。ここに国士舘民主化闘争の困難性がある。
(中略)全体主義態勢の体質は横の関係を持つ一切の機会を封じ、柴田ファシズム体制は完璧に近い状態であった。このような学内において、民主化結集を呼びかけることは至難のわざであり、くわえて民主化放棄の隷属的雰囲気とチンピラ右翼集団の温床であること、あるいは傀儡学生の横行は私たちを一層消耗させた。したがって、私たちは、オルグ活動もその範囲をせばめると共に闘争の長期化を受容し、あわせて表面化することを極力さけることにした。(中略)
現時点においては、完全なる地下集団の定着こそ、現状認識と大学当局の強力で卑劣な体質を踏まえた最良の闘争形態であると確信している。(中略)
更に今後の課題としては、学内に散在する新左翼各派の諸君、民青の諸君との協議を重ねる方針である。全ての先進的、民主的学友諸君との連帯を深め、柴田体制粉砕、民主化勝利の旗の下に結集し、闘争の進展を規すことが急務とされている。
また、国士舘大学の実態は教育的見地のみではなく、政治問題、社会問題として世論に訴える必要があり、広く市民運動を形成することによって、民主化運動を勝ち得るべきであると考えている。』

当時、国士舘民主化闘争については、マスコミ等でも取り上げられることは殆どなかったと思う。大学当局の弾圧を避けるために、密かに活動が続けられていたことが分かる。
次に、国士舘大学の特異な学校行事について見てみよう。

『<私学として許されるのか>
○強制される驚異の行事
国士舘大学年間行事
1月1日 新年祭 校庭において都内近郊居住の者は登校し、舘長とともに新年が祝われる。地方帰郷の者は祝意を舘長への年賀状によって示すことが望ましいとされる。(中略)
2月11日 紀元節(建国記念の日) 神武天皇御即位記念日として、全教職員、全学生が出席する。当日は、閲兵分列行進、観閲と言われる軍隊色の濃い式典プログラムも組まれる。
3月10日 陸軍記念日 日露戦争で、日本陸軍が満州でロシア陸軍に大勝利をおさめた記念として祝われる。当日は、帝国陸軍の強さと、国家間では戦争は当然とし、戦争を賛美するかのごとき訓辞、祝辞がある。
4月21日 靖国神社祭 この日、以前は靖国通りをブラスバンドを先頭にデモ行進が行われた。現在、「靖国神社法案」を成立させようとすることもあり、学生を強制的に「靖国神社国家護持貫徹国民協議会」主催の集会に参加させている。

(No291-2に続く)