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写真は「週刊読売」1969年11月13日臨時増刊号である。
丁度40年前に発行された。
表紙は反戦青年委員会の集会での写真だろうか。
読売新聞といえば、大学闘争や反戦闘争に批判的で保守的な新聞であるが、その系列の週刊誌上で11月佐藤訪米阻止闘争から70年安保闘争の動向まで、特集号として発行された。

目次を見てみると
○学生は発言する 11月決戦、70年安保の戦術と戦略
○本誌独占「獄中記」真実という重荷を背負って 秋田明大
○カラーグラビア 11月決戦 結集した“新左翼”たち
○グラビア 首都ゲリラ戦 10.21反戦デー
○70年安保、首相訪米 “ゲバルト戦争”はどうなる
○守りから攻撃へ 転換する警視庁機動隊
○暴徒制圧! 自衛隊は出動する
○激化する高校生全学連
○べ平連活動に拠点はない
○風雲・花の全学連用語辞典
など

大学闘争に関する週刊誌の特集号としては、このブログでも紹介している「サンデー毎日」1969年2月20日増刊号があるが、この「週刊読売」の臨時増刊号も、それに匹敵する内容である。
発行が11月佐藤訪米阻止闘争の直前ということもあり、この臨時増刊号の目玉記事は、「学生は発言する 11月決戦、70年安保の戦術と戦略」である。
この記事を載せた意図を編集部が語っているので、その部分を引用する。
【各派代表者が語る「日本改造案」】(引用)
『10.21国際反戦デー。火炎ビンとガス銃、炎と煙の中で学生と警官は、東京をはじめ各地で激しく衝突した。11月決戦(佐藤首相訪米阻止)、70年安保闘争への、この日は、いわば前哨戦・・・。
大学闘争から政治闘争へと、学生闘争はエスカレート、激化するばかり。
彼らは、その過激な行動によって、国民に何を訴え、日本を、どう変革しようというのか。
多くの人びとは、行動と理論の前に、迷い、当惑し、考えあぐねているのが現状だ。
この複雑な学生問題を真剣に考えていただきたく、当編集部では、つぎの点を、全国全共闘連合八派と民青系全学連、革マル派全学連の代表者に聞いてみた。
1 70年安保、佐藤首相訪米阻止闘争
2 沖縄問題
3 全国全共闘などの学生統一戦線
4 革命の方法、理想とする国家社会像
5 運動資金
6 逮捕学生への救援対策
7 近く行なわれるであろう総選挙について』

この記事は基本的にインタビュー形式で、記者の質問に各派代表者が答えている。
全学連中核派副委員長  林 信次(横浜国立大)
社会主義学生同盟(社学同)全国委員会  中島 弘(中央大)
共産主義者同盟(ブント)赤軍派  上野 勝輝
全日本学生解放戦線統一戦線部長(ML派)  春日 研三(東大中退)
学生インター中央執行委員会委員長  村井 其冶(中央大)
全国反帝学生評議会連合中央執行委員(反帝学評)  山本 利樹(上智大)
社会主義学生戦線(フロント)都委員長  鵜崎 史郎(東京教育大)
プロレタリア学生同盟東京都委員会  永井 亨(中央大)
共産主義学生同盟教育大支部(共学同)  水上 重三(東京教育大)
全学連委員長(民青)  田熊 和喜(東経大)
全学連委員長(革マル派)  大貫 健夫(早大)(拘留中)
  
記事にはそれぞれ各派の紹介文とヘルメットのイラストがついており、なかなかマニアックな雰囲気。
記事の中の各派の発言は、当時の時代状況をよく表しているので、今後、紹介していきたいと思う。
また、日大全共闘秋田議長の獄中手記が独占掲載されているが、この手記は「獄中記―異常の日常化の中で」という題で、その後、全共社から刊行されたようだ。
一方、読売系らしく、10月3日、東富士演習場で行なわれた自衛隊による治安訓練の様子が写真と記事で紹介されている。
ゲバ棒を持ちモヒカンのヘルメットを被った「暴徒」がバリケードを築き、ビルを占拠したという想定で、M41型戦車や自動小銃を背負った自衛隊の部隊がそれを鎮圧するという訓練。

1969年後半、こんな週刊誌が駅の売店に並んでいた。