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上智大学闘争の紹介も3回目となる。
前回の続きで、機動隊導入の状況を読売新聞の記事で見てみよう。

【上智大 六ヶ月の“閉鎖”発表 警官隊が出動 占拠排除 52人逮捕】1968.12.21読売新聞(引用)
『(前略)この朝、警官隊立ち入りに対し、占拠している反帝学評派を中心とする全学共闘会議派80人は、1号館から激しい投石を浴びせて抵抗、機動隊も催涙ガス弾100発を撃ち込むなど、約30分間にわたって“攻防戦”が続けられたが、結局同7時20分、抵抗した52人全員が建造物侵入、公務執行妨害現行犯で逮捕された。
このさい機動隊員3人と学生1人がケガをした。
同大学では、事後対策として、当日は休講、あす22日から冬季休暇にはいるほか、向こう六ヶ月間大学を閉鎖することを決めた。
同大学が、大学閉鎖という思い切った措置をとったのは、警官隊を導入して紛争が解決した大学はこれまで、国際基督教大学と佐賀大学の2例しかなく、事後対策を誤れば、たとえ授業を再開しても、再びスト派によって校舎が占拠され、東大のような事態を招き、入試などに影響が出るものと判断したためとみられている。(中略)
上智大学が全国でも例のない6ヶ月間閉鎖という強硬策をきめたのは、校舎が封鎖され、ヘルメット姿の学生が白昼でも学内で角材を持ち歩くなどの異常事態が続いているのに、一般学生が不自然を感じなくなったのを恐れたため。(後略)』

【突入の機動隊に“声援”上智大 一般学生、寮の窓から】
1968.12.21読売新聞(引用)
『「諸君、ただちに学外に退去したまえ」守屋学長が語気鋭く携帯メガホンで叫ぶ。
「うるせー」と学生の怒号。21日の夜明け、東京・紀尾井町の上智大学への警官隊立ち入りの幕開けは、こうして始まった。
そこには教授と学生という師弟の関係は全くなく、この朝の寒気のように寒々としたキャンパスだった。
事態を見守る寮生の間にも「機動隊がんばれ」「機動隊帰れ」の声が入り乱れ、複雑な大学紛争の1面をまざまざと見せつけていた。
外人神父の多い同大学では、学生の校舎占拠と学内デモで、神父さんたちはスト突入以来五十数日間というもの安眠を妨害され、安らぎの日はなかったという。
それだけに、警官隊導入のさいの、神父さんたちの表情は「これでようやく静かになる」とばかり、ローマンカラーにヘルメット姿で警官隊の先導をかって出る一幕もあり印象的だった。
夜が白々と明けたばかりの午前6時半、守屋学長を先頭に教授陣がまず裏門から学内にはいり「諸君、やむを得ず警官隊を導入します。直ちに退去してください」とメガホンで、校舎占拠中の学生に呼びかけた。
ところが、校舎から飛び出してきた約20人の学生たちにたちまち取り囲まれ、有無をいう間もなく学外へ追いやられてしまった。
学生たちはそのまま裏門にすわり込んでピケを張った。
同学長は憤然としたおももちで、「そこをどきたまえ、退去したまえ」と声を張り上げる。「うるせー、引っこめ」という学生のば声。
続いて機動隊がどっと学生を取り囲み、たちまち学外へ引きずり出した。
裏門わきの学生寮は、眠りを破られた一般学生が、寮から顔を出し、成り行きを見守っていたが、機動隊が学内に突入するとどっと拍手が起きた。
こんな現象はこれまでのあらゆる大学紛争ではみられない光景だった。
「機動隊がんばれ」「スト派をやっちまえ」という一般学生の“声援”を背に受けて、機動隊はスト派が占拠している1,3,4号館へ殺到。
スト派学生は窓を破って投石の準備。たちまち石の雨。それに混じって硫酸らしい薬品のはいった茶色のビンも飛ぶ。
表門からも機動隊と警備車が突入、校舎は包囲された。
学生の投石が激しいため、午前7時半、各隊に催涙ガス弾発射が指令され、学生がたてこもる部屋はみる間に白煙に包まれて、投石も散発的になった。
警官死亡事故にこりた警視庁の“宝刀”のガス攻めが、ここでも抜かれた。
この間げきを縫って、機動隊が校舎に突入、学生を1号館の1室に追いつめ、つぎつぎ逮捕、約30分にわたる攻防戦が終わった。
8時ごろになると、登校してきた学生が次第にふえはじめた。スト派シンパや民青系の学生約100人は「機動隊帰れ」のシュプレヒコールを繰り返したが、すぐ学外へ押し出された。
大学当局が雇った作業員たちが、門を閉鎖したため、裏門付近はたちまち学生たちで埋まってしまった。(中略)
機動隊の導入による占拠学生排除の報に、午前中からぞくぞくと学生が登校、グラウンドのあちらこちらで輪をつくった。
機動隊導入反対のジグザグデモを続ける“活動家”たちを横目で見ながら、話題はどこも機動隊=閉鎖という解決方法の是非。
「あらゆる手段をつくした上で、機動隊導入はやむを得ない」といい切る賛成論、「もう少しほかに手段はなかったか」と反対論。
グラウンドの意見は二つにわかれて、真剣な討論が続いた。(後略)』
(写真は毎日ムックから転載)

(終)