
(文書が長くブログの字数制限を越えるため、No275-1からNo275-3に分けて掲載します。)
1966年(昭和41年)、明治大学で学費値上げ反対闘争が闘われた。この闘争は、翌年の「2・2協定調印」により幕を閉じる。
この協定調印は明治の社学同のボス交と批判され、当時三派全学連委員長だった明大社学同の斎藤克彦氏は罷免され、明大社学同は学内外からの批判にさらされることになる
昨年10月、当時の学生会中執委員長であった故中澤満正氏が、明大土曜会の会合で明大学費闘争について熱く語っていただいた。(写真)
今回はその内容を掲載する。
なお、文章が長いので、筆者の独断でタイトルを付けさせていただいた。
『<学生運動への関わり>
中澤と申します。
私は1963年に明治大学に入って、67年の春に退学処分になった者です。この間、闘われたのが、66年から67年にかけての全学バリケード封鎖、ストライキ、約3ケ月くらいにわたるストライキの実質的指導責任者でございました。
ちょっと話しますと、私は右翼の明大中野という東中野にある付属高校の出身で、大学に入ってきた時に「全学連というけしからん集団が学生運動というものをやっているらしい。これを4年の間にぶっ壊そう」と思って、連日自治会室に行って論議するんですが、話がかみ合わない。言ってることがチンプンカンプンで分からない。(中略)
それから関係の本を読み漁ったりしたんですがね。どうもマルクス主義とか、特にレーニン的社会主義というのは性に合わない。特に一番ダメだなと思ったのは「社会は階級的な基盤を基に成立している」。それはそのとおりだと思うんですが、「その階級が消滅すれば権力は必然的に基盤が無くなるのだから消滅する。残るのは社会だけだ。」とレーニンさんは言っているんですが、そんなこと、どう考えても人間社会で有り得ない。
権力が権力を作って行くのであって、権力が必然的に消滅するなんてことは歴史の事実として1回もない。基本的にウソだこれは。こいつらに勝つためにはアナーキズムしかない。
和泉にいる時代、部隊の多数を私たちアナーキスト集団の若い衆が、明治の部隊の中心になっていた。当時の63年というのはぺんぺん草も生えなかったんですよ。
60年安保大闘争を闘った栄光ある明治の学生運動は、その後、指導機関のブントの四分五裂があったりしてですね、私が入る前の年の62年に大菅法闘争という最後の燃えカスで、それを闘って、その後はもう評論家みたいな元活動家の人しかいなくて、デモといっても明治から行くのは多くて30人、普通はだいたい10人くらいしかデモに行かないというぺんぺん草も生えない状態ですね。
<学生会中執委員長就任>
だから5.6人のグループを作って活動すると、すぐブントの主流派になったんですね。主流派になってから、社学同系の人たちと一緒にずっと活動をしていたんです。何でかと言うと、比較的体質が合ったからなんですね、
ちょうど2年の後半から、私は当て馬で学生会中央執行委員会の委員長、昼間部全学自治会の委員長をやっていました。本当は社学同のオノズカ君という商学部の僕の同期の人間がなる予定だったんですが、商学部は民青が強くて、社学同の影響力がほとんどないところで、選挙に負けまして、中執委員になれなかったんですね。そこで、私が急きょ中執委員長になった。
私は珍しく中執委員長としては、その頃は1期で交代ということだったんですが、2期やって、4年の春までやったんですね。
<明大独立社学同>
その頃は明大独立社学同を名乗っていたんです。独立社学同というのは何かと言うと、社学同は旧来のブント系の学生運動のいろんな系列で党派がいっぱいあったんですが、その中でどこにも所属しない独立派が我々だったんですね。
独立社学同のモットーは、党より大衆運動が大事であるというのが基本的な価値観だったと私は今も思っております。もちろんマルクス主義や社会主義の勉強もしましたけれども、マルクス主義者や社会主義者になったことは、自分の心の中では一回もないんです。社学同に属しながらですね。
現場で起こっている大衆運動より、党の利益が優先するなんていうことは、あってはいけないということが明治の社学同の基本的な指導理念だった。
2年の半ば以降に作り上げた組織、ポツダム自治会と言われますが、大衆の合法的な機関としての自治会が、運動として最盛期を迎えたのが、明治大学の学生運動だったと今でも思っています。
全共闘の時代になると、手続きとかそういうのは全部無くなって、ある種の社会的学生大衆の感情みたいなもので、10人くらいでバッとバリケードを作って学校を封鎖する、それに呼応して大衆が運動に参加してくるみたいな運動になってくる訳ですが、私たちは地道に下からコツコツと運動を積み上げ、組織を積み上げ、大衆基盤を作って行く、そういう
活動をやってきた訳です。
(No275-2に続く)