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「週刊アンポ」という雑誌があった。
1969年11月17日、第1号発行(1969年6月15日発行の0号というのがあった)。以降、1970年6月上旬の第15号まで発行された。
雑誌形式で発行されたのは第1号から12号まで。あとはビラやポスターのような形式のものだった。編集・発行人は故小田実氏である。
確か当時、集会などで売っていたと記憶している。
インターネットの古本サイトで検索してみると、「週刊アンポ」全巻18,000円で手に入るようだ(ちょっと高い)。
この雑誌には、1969年後半から1970年前半までの「時代」がぎっしりと詰まっている。手元に何冊かの「週刊アンポ」があるので、この「週刊アンポ」の記事を紹介する新シリーズを始めることにした。
新シリーズの第1回目は雑誌の表紙の裏に掲載されている「この人と語る」というコーナーの記事である。

【この人と語る救援連絡センター】(週刊アンポ No3 1969.12.13発行) 
『●柴田喜世子さんの場合
70年のたたかいで、ものすごくたくさんのひとびとが逮捕されたし、これからも逮捕されていくだろう。それはけっして当たりまえのことではない。けれどもその「異常」が日常化してしまった。このなかで救援の行動をしているひとびとがいる。

― 忙しいんでしょう?

柴田「待たせてゴメンなさい。今もお客さんに会っていたんです。」

― お客さん?

柴田「ええ、逮捕された人の父兄のかたなんです。毎日このごろは二百人以上のかたがセンターを訪ねていらっしゃるの。そのだいたい三分の一が両親ね。
でも、最近でもね、すぐ警察に飛びこんでしまう親もいるんで、わたしたちも困っているの。息子たちや娘たちが、黙秘でたたかっているのに、それを親がくずしてしまうっていうのが多いんですよ。」

― 親との話合いというのは大変でしょう?

柴田「そうなの。親の気持ちをわたしたちに全部ぶっつけてくるっていうかんじ。話しているうちに、いつのまにか時間がたって、一日じゅうなんて・・・。新しいタイプのコミニュケーションができてくるのかもしれないわ。」

― 人生相談のような?

柴田「まあね?(笑)」

― 警察とセンターというのは・・・

柴田「とてもいやがるわね、センターからの差入れなんかは。特にひどいところは大井署、代々木署、渋谷署、浅草署、それに三鷹署。この五つはもうひどいものよ。機動隊を出してきて、追い返すこともあったりしてね。」

― 救援センターの仕事をしているひとたちというのは?

柴田「ほんとうにふつうの人たちなんです。主婦、それから一度逮捕されたことのあるひとなどで、センターの差入れをうけて感動したというひとですとか、とくに最近では、各地域に主婦のグループができたりして、活動を開始しています。」

― 資金は?

柴田「1ケ月の経費は70万から100万くらいです。そのお金はすべてカンパでまかなわれています。」

― でも足りないんでしょ?

柴田「赤字は出したことないんですけどね。ただ、10、11月で逮捕されたひとたちの数が多いですからね。これからどうなるかと・・・。」

― カンパを?

柴田「欲しいですね。それに、センターは手いっぱいなので各地で活動を開始して欲しいんです。とにかく三人いればできるんですから。活動していくうちに、警察がなんであるのか、ほんとによくわかると思います。」

<救援連絡センターの父兄あて文書>
あなたのご家族の××さんから依頼を受けた、11月闘争弁護団の連絡事務所(救援連絡センター)です。
11月闘争弁護団所属の弁護士は、すでにあなたのお子さんと接見し、あなたの御住所、お名前もその時知った次第です。
また救援連絡センターのもとで、東京都下全地区の市民救援会(各地で結成されています)が一せいに各警察署、留置場への差入れ(衣類、洗面具、食糧)を行っています。
この救援活動をしている人々は、あなたのお子さんが政府やマス・コミなどの言っているような“暴徒”などではなく、日本と世界を再び戦争の泥沼に落ち込むことのないよう願っている最も優れた、美しい魂を持った若者であることを知っています。だからこそ、救援の活動に必要な経費は全国の心ある人々のカンパでまかなわれ、多くの人々が全く奉仕として救援の活動に参加しています。
お子さんのことについては、随分御心配になっていられる事と存知ます。中には警察から呼び出しを受けている方、また、進んで警察に調べに行こうと考えていた方もあるかと思います。けれども、お子さんは、警察の不当な逮捕に抗議して、名前、住所を告げず、頑張っておられます。ここで、あなたが警察に出頭されることは、お子さんの志を無にすることになるでしょう。
その他、何でもセンターに御相談下さい。いうまでもないことですが、料金の御心配など不要です。

救援連絡センター

<国家権力による弾圧に対しては、犠牲者の思想信条、政治的見解のいかんを問わず、これを救援する。>