重信房子さんを支える会発行の「オリーブの樹」という冊子には、重信さんの八王子医療刑務所内での近況などが載っている。私のブログの読者でこの冊子を購読している人は少ないと思われるので、この冊子に掲載された重信さんの近況をブログで紹介することにした。
当時の立場や主張の違いを越えて、「あの時代」を共に過ごした同じ明大生として、いまだ獄中にある者を支えていくということである。
今回は「オリーブの樹」137号に掲載された重信さんの獄中「日誌」の要約版である。(この記事の転載については重信さんの了承を得てあります。)

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独居より 11月15日 ~ 1月31日
11月15日 今日のコーラスは「里の秋」。ソプラノの先生は昭和20年のこの歌の背景、戦争に負けて外国から引き揚げてくる父を待つ歌詞を説明しながら、84才の自分が死んでもみなさん戦争反対だけは忘れず訴えて! と語っておられました。それと「少年時代」と「花は咲く」あっという間の一時間でした。
資料感謝。パレスチナのビルトイン村の記事があります。「壁」建設に抗議する恒例のビルトイン村の金曜行動中、リーダーのアハマド・アブラハマと支援のイスラエル人ミハ・ラハマンが捕まったとのこと。パレスチナ人、イスラエル人、ブラジル人、ベルギー人らのグループが参加して「バルフォア宣言」非難スローガンを掲げています。日本からもオリーブ収穫の援農で行っていたところです。オリーブ収穫中の農民が襲撃されたりしているとのこと。二国家解決を否定し「ユダヤ化」の動きはエルサレムから更に広がっているようです。
トランプ大統領は、カジノ王でネタニヤフのスポンサーで盟友のアデルソンが支援してきました。エルサレムに米大使館を移転するし、BDS運動つぶしを狙ってくるでしょう。銃社会、弱者軽視、人種主義がはびこっている米社会・世界に「自国第一主義」「利己主義」の思想が更に広がりそう。
しかし、またその流れに抗して人民主義に基づく民主主義が広がるはずです。パレスチナからBDS運動を通して、反占領の闘いから国際連帯を牽引する力が育ってほしい。米国の「変化」は人民運動の連帯で「世界同時かくめい変革の時代」に入っています!(中略)
(管理者注:BDS運動とはイスラエルに対する国際的なボイコット運動のこと。Bはボイコット、Dは投資の撤収、Sは経済制裁を意味する。)
               
11月25日 寒い! もう最高10度最低マイナス2度の八王子です。さすがに今日は朝スチームが入りました! 暖かい! でも短い時間ですけれど。外は銀世界。昨日城﨑さんの公判があり、第一審の判決日だったのでラジオに耳を澄ましたのですが、ニュースはありませんでした。……これは良くない判決結果だったのか……とがっかりしていました。新聞が届いて一番に記事を探しました。やっぱり……。検察の論告をそのまま忖度したような判決。12年もの長期の重刑。裁判員の一人は「30年前の事件で、これという決め手がないので、判断する難しさがあった」と述べているように、証拠もあいまいで、結局裁判長らプロの判断が誘導したことが覗えます。プロは検察の論告を公安事件は踏襲しています。厳しい米国の一方的な拘束に続いて、一事不再理の原則も無視されて更に12年の懲役刑……。憤りと共に様々な意味で責任を感じつつ何もできないことが無念です。「オリーブの樹」は発行されたと思いますが届かない……。

11月26日 カストロ死す。90才。革命家から建国を経てキューバ人民を統率し続けた人。革命家が建国を経て変わらず進む困難さを体現した人だった。ラテンアメリカの武装闘争から権力を握った指導者たちにとってお手本でもありました。パレスチナの人々、ことにPFLPは清廉なカストロの決して銅像をつくらせないことからはじまって、アラブのパレスチナのプチブル指導者の欲にはうんざりして比較していたのを思い出します。合掌。
(中略)
 
12月5日 スチームが全く入らない。快晴だけど寒いのに! 15日の内視鏡手術の事を、今日いくつか質問し、少しわかりました。(中略)
人民新聞では、ボブ・ディランがユダヤ防衛同盟(「アラブ人をガス室で殺せ」と主張したメイル・カハネが創設)支持のことや、「ネイバーフッド・ブリー」(「近所の暴れん坊」)の歌が、イスラエルのレバノン侵略1年後に出された、イスラエルをアラブ暴力の被害者という、イスラエルの説話を繰り返したものと告発しています。「そう、近所の暴れん坊と言われるけど、彼はたった一人だ。敵たちは彼が自分たちの土地に乗り込んできたと言うけれど、数は百万対一で敵の方が多い。彼には逃げる場所も行動する場所もない」「彼には語るべき味方が居ない。得た者にはちゃんと金を払わなければならない。慈悲でもらっているのではない。時代遅れの武器を買い、しかもただでよいとは言ってもらえない」♪♫ というような歌詞とのこと。全然正しくないけど。こんな歌ははじめて知ったけど。パレスチナ・アラブではボブ・ディランは「シオニスト」として嫌われていましたね。BDS運動から「イスラエル公演を止めて」という要請も拒否。ノーベル文学賞もふさわしくないけれど、気取った振る舞いが何か卑しい気がする。大隅教授みたいに喜んで、それを基礎研究に!という方が断然良いです。発言から、益川教授のように反戦主義者でしょうし。

12月7日 Iさんからの資料が交付されて、日本のBDS運動の勝利を実感。一歩ですが大きな成果です。
「パレスチナの平和を考える会」の11・30報告では、イスラエル入植地の「ワインセミナー試飲会・於ジェトロ大阪本部」にジェトロとジェトロの管轄官庁である近畿経済産業局に、11・28ファックスで場所提供しないよう要請。ジェトロに対し「国連人権理事会決議」を示してアドバイス。その結果、中止が確認されています。ひとつひとつの闘いの重要性が日本で積み重ねられています。
福島みずほさんの主意書、11・24付「イスラエルとの経済・技術交流と同国とパレスチナ占領政策に関する質問主意書」“政府は年内にもイスラエルと投資協定を締結する方針と報じられ、また、サイバーセキュリティに関する技術協力覚書の年内締結の動きも報じられているが、イスラエルがパレスチナ領で継続している入植地拡大は、中東和平に対する深刻な障害である”という点を述べています。
そのうえで、第一、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区、ガザ地区及びゴラン高原は、投資協定や技術協力覚書の対象となりうるイスラエルの領域に含まれるか? 第二にイスラエル入植地の住民や、同入植地に活動拠点を持つ企業は、投資協定の投資主体となり得るか? 第三に、イスラエル入植地に存する企業や不動産等は、投資協定の投資対象となり得るか? 第四に、国連人権理事会の調査団が、2013年に公表した東エルサレムを含む被占領地の報告で列挙された入植地ビジネス企業は対象か? 第五に、2014年3月に国連人権理事会が採択した決議を、施策に反映させる必要があると考えるか? 第六に、宮城県にある「制御システムセキュリティセンタ―」で、イスラエル製品やソフトの試験を行う計画とあるが、イスラエルのサイバー部隊は、被占領パレスチナ領や、国外の非合法な防諜破壊活動が指摘されている。日本の資本・技術が利用されないよう、どのような対策を取っているのか? を質問しています。まったく鋭いポイントです。その後の国からの説明はどうなるのでしょう。一つずつ追求することが監視と力になります。この主意書はぜひ翻訳してPFLPの機関誌アル・ハダフに送りたい! 日本のBDS運動と共に! アラブの人々に、アラビア語で載せてもらったら、とても勇気づけられると思いますから。

12月8日 快晴のグラウンドに出ました。青空に雲はなく気持ちよくウォーキング。もう桜の木は一本を残して丸裸。楓が燃える赤に色づいていてみごとなものです。房に戻っても汗が引きませんでした。
午後に処遇首席から告知のための面接。で、資料として差し入れてもらった「アラブゲリラと世界赤軍」は矯正処遇上ふさわしくない本として不許可になったとの決定を知らされました。作業上必要で親族にアマゾンで購入してもらったものです。当時850円位が2000円位とか。ところが内容が再び犯罪を犯すと懸念されるという基準の本になってしまったのでした!公判中も読んで「日本赤軍私史」作業にも使っていたのでびっくりしました。その旨告げると未決と既決の処遇など伝えられたので、「革命の季節」などもここで書いたのですが……と伝えたり。不服は所長へ申し立てできるが判断が変わらないだろうし、不服申し立ては矯正管区関東地区長へできること、その結果に不満な場合法務大臣への申し立てなども説明されました。執筆中の資料として差し入れた事情も話し(もちろん首席も承知している)部分的にコピーして再差入れは出来るとのことです。申し立てを正式にしても作業上はいつになるかわからないし……。再考しますと伝えました。いったん宅下げして部分をコピーして入れ直してもらうことにするしかないか……と考えています。
(中略)

12月17日 プーチンと安倍首相の会談。北方四島で共同経済活動を行うための協議で合意。領土交渉は進展なしとのこと。日米安保条約下、従属関係にある日本である以上、領土問題は解決しえないのは当然です。安倍首相は「レガシー」をめざしたのでしょうが。経済界にとっては北方領土での事業で、中国・韓国に先を越されてきたのですから、願ってもないことでしょう。谷内が外務省時代に、原子力廃棄物を北方領土に、ロシアと共同でと推し進めていた構想も、また復活するのでしょうか。ロシアは「原則」通りに行動しましたね。
シリアの内戦もロシアの「原則」が結局、局面を打開しています。今後はシリア全土での停戦を目指すでしょうが、ロシアとトルコの関係や、イランとサウジの関係など様々な要素にトランプ政権も加わって、2017年の中東は大きく動きそう。と言っても、国家エゴの力関係が局面をつくるだけなので、人民勢力の闘いは、それを見据えてより困難の中の闘いです。とくにパレスチナの反占領の闘い、トランプはネタニヤフ政権の要求に応え「入植地凍結」を求めないだろうし、プーチンはアラファト時代のPLOの信義のなさにうんざりして、シリア支持を打ち出したKGB系だし。BDS運動の広がりで、ユダヤ人社会、国際社会(イスラエル内外の)とパレスチナ連帯を育てることが、パレスチナ側のまず重視すべき闘いになりそう。ファタハの7年ぶりの大会で、アッバス再選のファタハは「政府機能」に益々傾いていて、解放闘争の役割をとっくに失っているようです。
(中略)

12月27日 今日が今年中に送る最後の日誌になります。28日の仕事納めの朝に投函物提出です。今年もみんなと交流できてとっても幸せでした。獄中に居るとかえって外のことに一方的に敏感になったりすることも多々あります。獄中の友人たちや公判のこと含めて。みんなの運動活動現場の様子、ことに高江、沖縄やBDSパレスチナ連帯の様子、参加している気分でお便りや資料を読んでいます。また私の作業に資料をしっかり送って下さった友人にも厚く感謝します。今日も年鑑83~86年版の関連資料を受け取れました。連休前に受け取って年末年始の作業で知りたかったことが丁度入っています。ありがとう!季刊アラブもありがとう!「情況」も「キタコブシ」「支援連ニュース」も受け取れました。いつも楽しく読んでいます。またJSRニュースも届きました。
パレスチナは来年からネタニヤフ大統領、フリードマン駐イスラエル大使、クシュナー特使(イヴァンカ・トランプの夫)加えてトランプ大統領で無茶苦茶しそうです。最後の共和党綱領から例年のパレスチナの「二国家」論が削除されていたのも、このカルテットの差し金でしょう。エルサレムに米大使館を移転し入植地の違法をどんどん奨励し二国家論はなしにして、BDS運動を弾圧し国際和平会議もやらせない。そんな方向に行きそうな2017年です。
かえってアラブが結束する機会になれば良いのですが、エジプトは米国の経済的従属下にあり、サウジは対イランで米・イスラエルと強調したいしと。それぞれの思惑がぶつかりながら、それが益々欧米に跳ね返って不寛容勢力が伸長しそう。
だからこそ逆に連帯も強固に、ラジカルに新しい道を切り拓きそうです。バニー・サンダースの支持者も終わった訳ではなく、始まりと位置付けているでしょう。かえってやりがいのある年になる?!
日本は戦略なき直反応的な安倍国家主義がトランプやプーチン、中国に立ち遅れたまま反中国第一外交を貫くことでトランプ同盟にぶら下がりたいのかもしれません。「慰霊のアジアの旅」から考え直す気はないような日本。どうなるでしょう。
(中略)

12月28日 今日は仕事納めです。晴天でも風の冷たい日。こんな日は世田谷時代のボロ市が思い出されます。いつも寒い風の中、楽しかったものでしたから。
今日は、午後処遇主席に呼ばれました。12月13日に発信した文章原稿は、検閲に引っかかっていて、発信されていませんでした。その理由は、過去の闘争を評価するような記述がある箇所を再考するように指導する、というものです。パレスチナの解放闘争の歴史で、多少出てくるだけなのですが。かつて八王子にいる時に出版し(「革命の季節」)リッダ闘争の記述もあること、また、自分の事件(ハーグ闘争)には触れていない記述である旨伝えたのですが、矯正施設に在って出版となると、立場上も事件を評価する記述を許せば、何をしているのかと税金泥棒のような謗りを受けることなど、また、事件に触れていなくても、違いはあるがとヤクザ組織の話をされて、集団としての行動についての記述の基準からして、ふさわしくないとのことでした。思想信条を制約される思いはありますが、指摘された箇所を再検討することにしました。その上で、自分で書き直し、またはそのままか、判断し再提出(来年になってしまいますが)し、その上で再び指導か削除措置に委ねることにします。私としてもそうしたことは意識して、事実関係を記したつもりなのですが……。処遇主席は、とても丁寧に趣旨を説明して下さったので、休み中再検証します。

1月元旦 起床前からやわらかい日差しが届き、点呼の7:30を過ぎて、7:45頃に初日の出が獄窓から見え始めました。もう昨日からの新年の始まりに祈ったけれど、また祈りつつ今年はもっと勉強し学習したいと、意欲と好奇心と自分の立場を忘れないように、と誓いました。アラブにいた時も、元旦は地平線に向かって、ある時には水平線から昇る初日の出に祈りつつ、気持ちを立たせたものでした。日本の良い習慣の一つだと思います。午前中に賀状たくさんありがとう!
(中略)

1月5日 初の布団干し。午前中は初のグラウンド運動。カーディガンをはおらず、薄着で外に出たら、風が強くて寒い! グラウンドは、まだ霜が解けずにぬかるんでいて、芝の上を走りました。走ると風に飛ばされそう。そうか……今日は小寒でしたね。ぐんと寒くなります。でも走ったらポカポカ。空は真っ青な海の色。
今日も年末に送ってくださった年鑑コピー、ニューズウイーク、出版社の冊子など受け取りました。友人たちの賀状やお便りに、元気そうで安心しました。今年もどうぞ宜しくお願いします。お互い、少しずつどこか故障して、かつてのようにできないことも増えてくる年ですが、違ったいろいろのことが見え、また語れるような新年に! と。
(中略)

1月11日 (中略)
書き忘れましたが、こちら今年はこれまでよりも「お節料理」らしいものでした。三が日の食事は東拘とちがって普通食で朝みかん一個、昼お菓子という三が日。1月5日にお雑煮でした。喉に詰まらせたら困る病院なので、仕事始めの後の人の多い時にお餅2つのお雑煮でした。今日は聴力検査、房の引越し獄もあれこれ多忙の日々です。寒い八王子から。
(中略)

1月18日 今日は最高9度最低-2度。庭のトラックは霜で真白。ベランダの運動は風が冷たい。
午後は今年初のコーラスです。正月だからと「富士は日本一の山♪」を歌ったのですが、若い人は誰もこの歌知らない、とソプラノの先生はびっくりしつつ教えてくれました。次は「雪の降る街を」この歌も誰も知らないとのこと。とても良い歌なのに。
(中略)

1月22日 日曜日。昨日の夕刊と今日の朝刊はトランプ就任式一色です。「再び米国を偉大にする」「米国第一主義」を前面に、TPP離脱やNAFTAは再交渉とのこと。
だけど米国が米国の国益を第一にしなかったことってあったでしょうか? 戦後のマーシャルプランから日米安保含めて米国第一主義の反共戦略の産物でした。米国の国益に反しても我慢して制裁でなくニンジンでやっと合意を求めたりしてきたのは唯一イスラエルに対してだけ。それらはユダヤ資本や政治家エスタブリッシュメントの米国内の権益と結びついているからです。
米国の衰退は米企業が始めたグローバル経済で世界の国々に格差を生み、それが逆流して自国の国民よりも利潤の論理優先した結果であって、他の国々のせいではないのです。無制限な市場主義・グローバル化に対処療法も効かない程中産階級を衰退させた結果、人々の革命と体制変化の要求があったのをサンダースとトランプが掬い取ってきたのです。資本家たちがサンダースを抑え込み、トランプを抑え込めなかったのは、トランプの主張に利権を見出す軍需産業や銃信奉社会やエネルギー産業などがしっかりと後押ししてきたからでしょう。
メディアは「ポピュリズム」と批判するけれど、ポピュリズム一般を否定して人民の運動や要求をも否定する傾向が感じられます。トランプ就任に抗議の波もポピュリズムの一つの姿でしょう。人々はトランプの排外主義・人種差別主義・デマゴーグ・ポストトゥルースを許さない流れです。政治家が国民の要求を掬い、実現しようとする中身としてトランプ政治が問われているところです。
トランプは戦略がない分、目先の「米国にとって利益」に矛盾することを同時にやりそうです。外交では単独行動主義や安全保障よりビジネスに重心がありそう。でも旧来の保守の「オフショア―バランシング戦略」をとるならクリントンら「民主主義マフィア」の介入主義戦争屋たちよりましになるかも。「トランプ演説は内容ない」と言われつつ、国民第一主義を掲げていることで、米国内で求められているリーダー「変革者」です。サンダースとちがって大企業規制も国民への再分配もなし得ず、逆に企業の利潤追求を加速させることで「おこぼれ」の雇用を増やすという戦略になりそうです。でも、この現体制と現世界秩序への挑戦には良い面も悪い面もあり、国民主権の徹底と世界的には反戦と反排外主義の連帯の徹底でトランプ化対決が革命的に問われていくでしょう。エモーショナルな煽動者トランプの演説を読んだ感想です。
(中略)

1月30日 新聞ではトランプの大統領令、中東・アフリカの国民の入国を一時禁止するとした措置が、世界に混乱を広げているという。「世界各地、米国で拘束・搭乗拒否280人」「連邦裁は送還認めぬ仮処分決定」。トランプの持論に沿って、人種差別行動が広がっています。それに賛同するネタニヤフの「壁建設絶賛」の記事も。
これまでのところ、トランプの仕事のうち、ロシア・プーチンとの電話会談で、対立から協力への兆しがあったこと以外、国際社会にとってプラスはないですね。それでも壁をつくったり不法移民取り締まりは日本の方が厳しいので、日本政府にとっては当然と思っているでしょう。勿論生地主義、移民の米国と血統主義の日本とはちがうけれど。
2月上旬にネタニヤフ訪米の折、米大使館のエルサレム移転が表明されるよう、ネタニヤフ側はトランプの家族のユダヤ教徒であるクシュナーやイヴァンカ、イスラエルロビーで圧力をかけているでしょう。「父が大統領になったら100%エルサレムに米大使館を移転する」と、ユダヤ人の集会でも明言してきたイヴァンカ。トランプはむこうみずに決断するか、それとも一呼吸置いてチャンスを待って移転の大統領令を出すか見ものです。どちらにしても、遅かれ早かれ移転するでしょう。こうした振る舞いは独・仏らEUの価値観と溝をつくり、EU諸国のトランプ派らは、良くも悪くも「主権をとりもどす」勢力に有利に作用させていきそうです。その分、人権をめぐる闘い、価値観をめぐって国際社会、米国内で更に変革の波高しですね。
サンダースは「トランプが米国労働者たちの環境を良くするための政策に取り組むならば、自分たちは協力する。しかし、人種差別、性差別、排外主義や反環境政策の方へ突き進むなら断固闘う」と表明していました。トランプに国民主権を求めるのは無理でしょう。
それにしてもネタニヤフの横暴、22日、トランプの就任直後からオバマで抑えられてきた、西岸入植用2,500のイスラエル人住宅建設など、12月の安保理決議の「入植地は違法、即時に停止」を既成事実で黙らせようとしています。そしてトランプがその支持でもりあげているところ。
昨年11月の日本のカジノ法案の突破の強行採決は、カジノ王アデルソンと支援関係にあるカジノ盟友、トランプファミリーへの手土産だったのでは?という分析もあります。これらは人口減のロシアとも繋がり、モスクワー東京、北方領土経由の鉄道に加えて、北方領土は日露でカジノ特別区をやると推理するジャーナリストもいるとか。
何よりも人々が生きる、というシンプルな共存の価値、人権を擁護、軍縮差別、と様々な分野で貫くことが問われる厳しい時代に至っています。

1月31日 早くも一月尽。今日は、忘れていた小学校時代の写真をどれが自分か?と探しながら見ました。幼友達たちが同期の1957年卒業生で、昭和27年(1952年)入学から各一年ごとの集合写真アルバムを作ったのを送ってくれました。戦争中と戦後生まれを含む1945年生まれで、人数は他の学年より少ないのです。世田谷区桜小学校203人の児童同学年アルバムです。幼なじみが住所を捜して送ってくれたものです。当時のみんなの髪型や服装に驚きつつ、とっても懐かしい。先生もずいぶん若かったのだと、改めて見つめています。
 トランプ騒動(七ヵ国入国禁止措置)に、司法当局が憲法違反の疑いを主張し、国際社会も西側諸国が批判的コメント。我らが安倍首相はやっぱり予想通りの「コメントする立場にない」と。自立・自決の日本の機会よりも、さらなる対米忠誠従属へと……。新聞の報道がヒラリーとトランプの当選を見誤ったように、きっと今頃は「トランプ万歳!」の声が何も書かれていないけど、同じくらい、またはそれ以上に「よくやった!」という排外主義として米大陸を席巻していることでしょう。変化をより良い方向へ! と念じています。

(終)

【お知らせ】
今年から、ブログ「野次馬雑記」は隔週(2週間に1回)の更新となりました。
次回は4月28日(金)に更新予定です。