連日米不足の報道がされる中、3月30日に東京で「令和の百姓一揆」トラクター・デモが行われた。この令和の百姓一揆実行委員会の代表は、明大生田出身の山形の農家菅野芳秀さん。菅野さんは明大土曜会にも何回か参加されている方である。
明大土曜会のメンバーはこの「令和の百姓一揆」トラクター・デモに参加した。久しぶりの街頭行動である。
今回のブログは、4月5日の明大土曜会でのトラクター・デモ参加者からの報告と、当日の写真などを掲載する。
この「令和の百姓一揆」トラクター・デモの開催趣旨などをチラシから見てみよう。
令和の百姓一揆
「日本の農と食を守ろう!」
農を破綻から守る大きな連携を創り出したいと思う。
弱り続ける自作農の現状から言って我々に時間はない。
農の危機は、人々の食の危機、いのちの危機につながっていく。
できるだけ早く、政治的立場を越え、民、官を問わず、農の再建っへの幅広い連携を築かなければならない。
よって、「令和の百姓一揆」は対立・対決を煽るためのものではない。
人々の、いのちの危機を回避するための大連携への呼びかけだ。
農と人々との確かなつながりを創り出す、大いなる変革への呼びかけなのだ。
令和の百姓一揆実行委員会 代表 菅野
私たち農業者(百姓)は、安全でおいしい農産物をつくるために、日々土を耕し、家畜を養い、自然と向き合い農業を営んできました。また、農業生産を通して、地域の共同体を維持し農村の集落を守ってきました。環境を守り、生態系を維持することにも努めてきました。
しかし、残念ながらこのような農業を続けていくことが困難になってきました。村も農民も農の現場から締め出されようとしています。戦後農地解放によって生み出された470万の自作農が、日本農業の基礎を築いてきましたが、その急激な瓦解の中で、今や風前の灯になろうとしています。全国の村々から農民たちから「農じまい(農終い)」のため息が聞こえてきます。
果たしてこの国から、農民が消えていいのでしょうか?村が消えていいのでしょうか?これから未来に渡って日本で暮らしを営む人たちの為にも、私たちは、農、食、地域を支えていきたいと決断しました。次代に「タスキ」を渡したい!途切れさせてなるものか!こんな地域の百姓が集まりました。持続的に安全な農産物をつくりたいと思いをよせる農業者(百姓)がなにか行動をおこせないかと立ち上がりました。百姓一揆といっても、決して「打ちこわし」などを行うわけではありません。
異常気象による災害、農業の担い手不足、農業経営の赤字などにより農家人口は年々減少し、食料自給率も低迷しています。消費者の中には、安全でおいしい国産の農産品を食べたいと思う方がたくさんいらっしゃいます。令和のコメ騒動であったように、このままでは安全な国産の農産物が食べられなくなってしまう日が近づいています。
農業を持続的に続けていくためには、農地を守ることが重要です。長年土作りをしてきた農地は一度耕作をやめてしまえば、すぐに戻すことはできません。農地を守り農業者の減少を止めるためには、欧米で実施されているような所得補償が必要と考えます。多くの方に農業のおかれた現状を知ってもらい、多くの生産者、消費者の声を農政に届けていきたいと考えています。
この取り組みは次世代の子どもたちが健康な生活ができることにもつながります。また、経済格差が進み、物価高により多くの方が貧困に苦しんでいます。すべての方が安心して食料を手にするために農業生産の維持、拡大が必要と考えます。ぜひ、多くの団体、個人の方の参加、賛同協力をお願いします。
●スローガン
「すべての市民が安心して国産の食料を手にするために」
「すべての農民に所得補債を」
「未来の子ともたちにも国産の食料を食べてもらえるように」
●場所 東京都港区六本木「青山公園南地区・多目的広場」
●スケジュール
14時 集合(トラクターも同じ場所に集結)
14時45分 トラクター行進出発
15時30分 デモ行進出発(デモ先頭にもトラクター)
コース予定 青山公園→表参道→原宿駅→明治神宮会館前
17時30分 明治神宮会館で総括集会(港区元赤坂2丁目2-23)
解散
フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・ルーマニア・ポーランド・ギリシャ・オランダ等のヨーロッパ諸国はもちろん、国内でも島根県吉賀町で 2024 年に実施されています。私たちも連携していきましょう!


【明大土曜会での報告】
デモ参加者
この「令和の百姓一揆」の代表は菅野君。明大土曜会にも何回か来ている山形で農業をやっている人です。当時は構造改革派のグループにいましたが、三里塚で逮捕されて、その後山形に戻って、ずっと農業をやっています。
1970年代に比べて農業人口は4分の1くらいに減っている。なおかつ平均年齢は70歳に近い。国は耕作面積を広げて生産性を上げろと言っているが、思うように進んでいない。そうこうしているうちにみんな70歳直前で、今までの農政では成り立たないという、この農政止めさせろという生半可な事態ではなく農業そのものが無くなりそうなんだということを訴えたいということです。
先日、テレビで菅野君の出演している『時給10円という現実 ~消えゆく農民』というテレビ番組を観ましたが、涙が出るくらいの物語です。農政がどうこうということを含めて、日本の農業が無くなる、農民がいなくなる、村が無くなる、それでいいのか。そのことについて考えてくれというアピールです。自民党も左翼も関係なく、今の農業について考えてくれという根本的な運動です。
菅野君は「1,000人来るかな?2,000人来てくれれば上出来だ」ということを言っていたんですが、実際は主催者発表で3,200人。デモの途中で参加した人も含めて、公式には4,200人が参加したということになっています。
明大土曜会としては、約30名が米俵を旗印にして集まりました。その半分15人くらいは明大生田のグループでした。生田の団結力はすごい。菅野君は一揆の首謀者だから(昔だったら)磔の刑になるから(笑)、何とかそうならないように頑張ってもらいたいので、何とか支えていきたいと思っているので、よろしくお願いします。
「れいわ新選組」が本当に力を入れてやろうとしている。党首の山本太郎もみんなに握手したりしていた。国会議員もほぼ全員来ていた。
(青山公園の様子)
(「令和の百姓一揆」の団扇を片手にデモ行進をする明大土曜会メンバー)
4月5日の明大土曜会では携帯電話にスピーカーを繋いで、山形の菅野さんから電話で話を聴きました。
『本当に皆さんありがとうございました。おかげさまで主催者側でも「よかったね」という形で締めくくることが出来ました。明治の土曜会の方々から助言をいただいて、それを活かしてやることが出来たということも、よく出来た一因だと思うので、改めて仲間の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。
主催者側の感想として「やってよかった」という感想が多かった。何がよかったのかと言うと、参加して下さった方が皆楽しそうだったといこと。朗らかで明るくて和気あいあいの一人一人が楽しげな運動が出来たということがすごくよかったということと、トラクラー15台を出して行列、運動ができたこともとてもインパクトがあって、六本木でトラクターとか原宿でトラクターというのは似つかわしくないわけで、似つかわしくないからこそインパクトがあったという感想でした。
主催者としては総合的には成功だったと思っています。
食べ物の問題を広く多くの方々に知ってもらうことが大事かと思っています。知らないうちに農家を滅ぼすような政策がどんどん進められていて、絶滅危惧種になってしまっていて、農民だけの力では押し返せない状態になっている。みんなで「これでいいのか」ということを共有していただいて、「よくない」ということであれば、みんなの命の問題として、食の問題として考えていこうとする、そういう機運、流れの中で、今の農業の現状を知らしめるということがとても大事だと思っています。』
この「令和の百姓一揆」については、新聞報道などでも取り上げられた。
そのいくつかを掲載する。
(ニューヨークタイムズ)
最後に、明大土曜会参加者から以下のような発言があった。
『菅野が日刊ゲンダイの記事の中で「今日はこれから始まる長い闘いの始まりでしかない。消費者と手を取り、農業を滅ぼす政治を変えていく」とコメントしていますが、これからどうしようという話が菅野のところに来ていない。「トラクター・デモで終わってしまったような感じになっている」と菅野は言っていました。
これから我々がどのように菅野を支えていくのか考えなければいけない。』
この発言にあるように、3月30日の「令和の百姓一揆」を一度きりのものにせず、今後どのように運動を広げ繋げていくのか、一緒に考えていく必要がある。
明大土曜会としても日本の農業・食を守るために最大限の支援を行っていきたい。
※この「令和の百姓一揆」の参加者のコメントや菅野さんの挨拶の様子を、以下のユーチューブで観ることが出来ます。(約30分)
https://m.youtube.com/watch?v=KgjnkquVmPE
(終)
【『ただいまリハビリ中 ガザ虐殺を怒る日々』の紹介】
重信房子さんの新刊本です!
『ただいまリハビリ中 ガザ虐殺を怒る日々』(創出版)2024年12月20日刊行
「創出版」のリンクはこちらです。
昔、元日本赤軍最高幹部としてパレスチナに渡り、その後の投獄を含めて50年ぶりに市民社会に復帰。見るもの聞くもの初めてで、パッケージの開け方から初体験という著者がこの2年間、どんな生活を送って何を感じたか。50年ぶりに盆踊りに参加したといった話でつづられる読み物として楽しめる本です。しかもこの1年間のガザ虐殺については、著者ならではの記述になっています。元革命家の「今浦島」生活という独特の内容と、今話題になっているガザの問題という、2つのテーマをもったユニークな本です。
目次
はじめに
序章 50年ぶりの市民生活
第1章 出所後の生活
53年ぶりの反戦市民集会/関西での再会と初の歌会/小学校の校庭で/52年ぶりの巷の師走/戦うパレスチナの友人たち/リハビリの春
第2章 パレスチナ情勢
救援連絡センター総会に参加して/再び5月を迎えて/リッダ闘争51周年記念集会/お墓参り/短歌・月光塾合評会で/リビアの洪水
第3章 ガザの虐殺
殺すな!今こそパレスチナ・イスラエル問題の解決を!/これは戦争ではなく第二のナクバ・民族浄化/パレスチナ人民連帯国際デー/新年を迎えて/ネタニヤフ首相のラファ地上攻撃宣言に抗して/国際女性の日に/断食月(ラマダン)に/イスラエルのジェノサイド/パレスチナでの集団虐殺/パレスチナに平和を!
特別篇 獄中日記より
大阪医療刑務所での初めてのがん手術[2008年12月~10年2月]
大腸に新たな腫瘍が見つかった[2016年2月~4月]
約1年前から行われた出所への準備[2021年7月~22年5月]
【『新左翼・過激派全書』の紹介】
ー1968年以降から現在までー
好評につき3刷決定!
有坂賢吾著 定価4,950円(税込み)
「模索舎」のリンクはこちらです。
https://mosakusha.com/?p=9289
(作品社サイトより)
かつて盛んであった学生運動と過激派セクト。
【内容】
中核派、革マル派、ブント、解放派、連合赤軍……って何?
かつて、盛んであった、学生運動と過激な運動。本書は、詳細にもろもろ党派ごとに紹介する書籍である。あるセクトがいつ結成され、どうして分裂し、その後、どう改称し・消滅していったのか。「運動」など全く経験したことがない1991年(平成)生まれの視点から収集された次世代への歴史と記憶(アーカイブ)である。
貴重な資料を駆使し解説する決定版
ココでしか見られない口絵+写真+資料、数百点以上収録
《本書の特徴》
・あくまでも平成生まれの、どの組織ともしがらみがない著者の立場からの記述。
・「総合的、俯瞰的」新左翼党派の基本的な情報を完全収録。
・また著者のこだわりとして、写真や図版を多く用い、機関紙誌についても題字や書影など視覚的な史料を豊富に掲載することにも重きを置いた。
・さらに主要な声明や規約などもなるべく収録し、資料集としての機能も持たせようと試みた。
・もちろん貴重なヘルメット、図版なども大々的に収録!
【お知らせ その1】
「続・全共闘白書」サイトで読む「知られざる学園闘争」
●1968-69全国学園闘争アーカイブス
このページでは、当時の全国学園闘争に関するブログ記事を掲載しています。
大学だけでなく高校闘争の記事もありますのでご覧ください。
現在17大学9高校の記事を掲載しています。
●学園闘争 記録されるべき記憶/知られざる記録
このペ-ジでは、「続・全共闘白書」のアンケートに協力いただいた方などから寄せられた投稿や資料を掲載しています。
「知られざる闘争」の記録です。
現在16校の投稿と資料を掲載しています。
【お知らせ その2】
ブログは概ね2~3週間で更新しています。
次回は5月16日(金)に更新予定です。