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N0190と191で、NPO法人原子力資料情報室共同代表 伴英幸氏を囲む会合について紹介したが、「建築Gメンの会」で活動していた中村幸安氏(1960年明大中執委員長、元明大助手共闘)からの発言を紹介できなかったので、今回、その部分を紹介する。

(著者の独断で見出しを付けました。括弧内は著者注。)
『1.天然ガス転換反対闘争
伴君と知り合ったのは、天然ガスに切替えるという東京ガスの運動に対して、天然ガスで組織をやろうということで(町田市)鶴川6丁目を基盤にして、どういうことでやろうとしたかというと、体を張ってやった。伴君も来たよね。東京ガスの連中とも機動隊ともやりましたよ。
だけども、結果的にはガスを使わないことしか我々には手段がないじゃないかということで、結局、ガスの転換をさせなかった。
だから天然ガスに切り替わっても、我々のガス器具からガスが出てこない。何が一番困ったかというと、今、マスコミは新しいことを発見したかのように言っているが、節電で生活を見直した。30年前にやった。
ガスを止められ何が困ったかというと、風呂が入れない。後はガスが来なくとも何とかなる。石油で切替えられる。
結局、ガス釜の替わりに我々は石油ガス(液化石油ガス:LPガス)を入れた。石油でお湯を沸かすガスを入れた。
ガスを単に石油に替えただけという批判があるかもしれないが、東京ガスに対する抵抗の手段が無かった。石油ガスが入るまで、自家用車10台連ねて子供を乗せて銭湯に通った。毎日、風呂に入れないから、1週間に3回だけ銭湯に通った。それで、完全に独占に毒されている生活を見直した。

2.原発で作っている電気はいらない
その後に出てきたのが、原発、チェルノブイリ。
伴君がさっき言ったように原発で作っている電気はいらない。総供給電気量の17%(原発の割合)が東京に来ている。請求されてきている電気料金の17%は払わない、原発の電気は要らない。
ところが、17%×6月で、(半年に)1ヶ月分くらい滞納することになる。
そうすると彼らは電気を止めに来る。だから6ヶ月に1回、家の電気は停まっていた。さすっても揺すっても電気は来ない。電気が来なくなって何が困ったかというと、冷蔵庫が使えなくなるということ。あとは、暗くなったら「ロウソク」を灯せばいい。子供は「ロウソク」の灯りで集中して勉強するようになる。マイナスは何もない。
冷蔵庫が使えないので、クーラーボックスを3つも4つも買って、この中に冷凍食品を入れた。
その次に考えたのが、冷凍食品は止めようじゃないかということ。冷凍食品で我々が毒されてしまっている。春夏秋冬、トマトを植えること自体が間違っている。自然のものは自然で食べよう、ということで、天然ガスの問題から原発の問題に来た。
今、30%が原発だというと、3ヶ月に1回電気を停められる。
今から4年前、とうとうこの戦術を止めてしまった。何故止めたかというと、3ヶ月に1回電気を止めに来る時に、東京電力町田支店の営業課長がお歳暮、お中元を持って挨拶に来る。「受け取らない」と言うと、玄関に置いてくる。こういうお金まで電気料金の中から出ているとしたら、これは大きな問題だ。
東京電力に電話をして「営業課長が来たら不法侵入で訴える」と言ったら、「前々からの申し送りで担当者が代わると挨拶に行くことになっている」とのこと。完全に営業ベースの中に組み込まれている。くもの巣にかかった蛾みたいなもので、もがいてもどうしようもない。(そこで)この戦術は止めた。

3.原発被害の裁判を支えるナショナル・トラスト運動
4月10日から1週間現地に入った。車で1人で運転して宮古まで行って、福島まで行った。「東京の人間は我々を犠牲にして電気を使っているじゃないか」と言うけれども、「福島を犠牲にした電気を買わないためにやってきた」と避難所でも言っている。僕みたいなドンキホーテみたいなやつがいるんだと。
次に何をやるかいうことで、今、一つ考えているのはナショナル・トラスト運動をもう1回考えたらどうかということ。
田んぼで(稲を)植えられなくなったら、三里塚と同じようにモニタリング・ナショナル・トラストですよ。10ポイントのモニタリングに対して自分が経費を負担する、それらのデータを基にして、底辺の被害実態を明らかにして、長い目で見て、裁判をサポートしていくという形でやればいい。実際は三里塚でも一坪運動をやってきた。
建物を保存するためのナショナル・トラスト運動は定着している。実際に自分たちが払ったお金が、どこの原発の被害関係を明らかにしたのかということを地図で明らかにして、これを定期的に公開していけば、今やっている文部科学省のモニタリングの比ではない。数億というモニタリングが出来上がることにより、裁判の格好のデータになっていく。これらを具体的サポートしてもらうためのナショナル・トラスト運動を提案したい。』

(つづく)