イメージ 1
(No295-2の続きです)

トルコが問題だと思うんです。トルコは歴史的にすごい親日国なんです。日露戦争の頃、トルコの船が難破した時に、日本の漁民が助けに行って、非常に手厚くもてなして送り返してあげたということで、歴史の本に出てくるくらいで日本のことが好きだ。それで、今でも親日国。そのこと自体はいいことだと思うんですが。トルコは地震大国なんです。トルコ地震というのが3年に1回くらい出るじゃないですか。そんな危ない所に日本の原発を輸出して、事故が起きたらどうするんだ。「その時は免責条項を入れてあるから大丈夫です。福島原発でGEの責任が追及出来ないのは免責条項が入っているからです。それと同じように免責条項を入れればいい」と言う。でも、そんな問題じゃないでしょ。もし、福島原発みたいな事故がトルコで起きて何十万人という人が被害を被ったら、国土が汚染されたら、損害賠償を免れたって、トルコ国民は日本を許しませんよ。せっかくの数少ない親日国を失うことになる。(笑)(拍手)国際的な外交的な問題です。死の商人、毒ガスや大量殺りく兵器を売るよりもっと悪い。だから東芝や日立やIHIや三菱や、それを後押しする電力会社は死の商人だ、恥ずかしくないのか、というのが、今の論点です。
原発の輸出と原発の再稼働はすごく結びついている。どう結びついているのか。具体的に商談に入ります。「故障した時や事故が起きた時はよろしくお願いします。ノウハウをいっぱい持っているんでしょ」。「いやー、実はうちは原発やっていないんだよね」。原発を売り込んでいる本人が、本国で原発をやっていないなんて、セールスで負けちゃう訳です。だから絶対に日本で原発を再開しないと、日本の原発輸出はうまくいかない。他国に負ける。韓国は国家戦略として原発を輸出を打ち立てる。だけど、別に、そんなことに張り合う必要はない。死の商人で張り合うことはない、というのが私の考えです。
だから再稼働は原発輸出のために必要だというのが、彼らの本音。そこを押さえて、再稼働で事故が起きたら、一番被害を被るのは私たち。原発輸出、その裏づけとしての原発再稼働を最も強力に推進している官庁はどこか。経済産業省、経済産業至上主義者の集まり。それから彼らは原発原理主義者。誰が何を言おうと、絶対に日本には原発が必要だ、福島原発事故をすぐに忘れるように国民に仕向けている。核燃料サイクルで高速増殖炉で回せば、電気を作れば作るだけ原料が出来るというのが自己完結型永久エネルギー構想です。資源小国の日本は、これしか生きて行く道がないんだ、というのが彼らの生き方であり、原発が60年前に始まった時の考え方でもある。正にガラパゴス現象なんです。60年前の考え方が全く変わっていない。
僕は去年、関西電力の株主総会に行って論争を仕掛けたら、「日本は資源小国ですから、絶対もんじゅは止めてもらっては困ります。再処理も止めてもらっては困ります、だからお金を出し続けます」と今でもはっきり言うんです。その自己完結型永久エネルギー構想に凝り固まっているのが、経産省の原子力部門と資源エネルギー庁。その中核に原子力安全保安院があった訳ですけれど、これは今回取り潰された。その代り規制庁が出来た。規制庁は我々の味方なのか、あちらの味方なのかはよく分からないけれど、少なくとも、あちらべったりの味方ではなさそうだ、というところです。
そういう中で、経産省というのは一番悪質な官庁だと思います。原発事故が起きた後、いかに早く日本の原発を再稼働させるか、ということを、事故の3日後からずっと考えている。そこに異議申し立てをして、その再開の亡国の官庁の喉元に匕首を突きつけているのが脱原発テント村なんです。(拍手)
そういう意味で、この脱原発テントは非常に象徴的な意味があります。日本の脱原発を目指す人たちの心の拠り所なんです。いわば心の故郷。福島から来た人が言っていました。「ここは第二の故郷だ」。故郷にしてはちょっと汚いけど(笑)、もうちょっと掃除した方がいいんじゃないか(笑)、それは冗談ですけど、あれは象徴的な意味がある。だから原発推進勢力にとっては、あんなに目障りなものはない。だから、ついに訴訟を起こしてきた。
経産省は原子力村の本当の中枢、ここが日本の原子力推進、そして原子力村の指揮監督をしているんです。そして、それと癒着しているのが電力会社、そしてそれにコバンザメみたいにくっ付いてお金もうけをさせてもらっているのがゼネコン、原発メーカー、大手商社、マスメディア、機器メーカー、そしてそれにお金を貸して稼いでいるメガバンク、それらを全部足すと、子会社、下請け、関連会社を足すと、日本の経済の6割から7割くらいを占めるような、そういう巨大な勢力なんです。

(No259-4に続く)