昨年5月28日、「ベ平連」の元事務局長、吉川勇一氏が逝去された。No390で吉川氏を追悼して、「週刊アンポ」第1号に掲載された「市民運動入門」という吉川氏の記事を掲載したが、この記事は連載記事なので、吉川氏の追悼特集シリーズとして、定期的に掲載することにした。
今回は「週刊アンポ」第10号に掲載された「市民運動入門」第10回を掲載する。
今回は「週刊アンポ」第10号に掲載された「市民運動入門」第10回を掲載する。
この「週刊アンポ」は、「ベ平連」の小田実氏が編集人となって、1969年11月に発行された。1969年11月17日に第1号発行(1969年6月15日発行の0号というのがあった)。以降、1970年6月上旬の第15号まで発行されている。

【市民運動入門 第10回 ビラの作り方について 吉川勇一】(週刊アンポNo10 1970.3.23発行)
この前の号ではビラ配りについての三つの立場を①警察②裁判所③市民のそれぞれから考えてみた。ではいよいよビラまきをすることになるとして、そのビラ自体について考えてみよう。今度も三つの具体例をあげてみることにする。つぎに引用するのは、2月11日、いずれも東京練馬の自衛隊基地周辺で、自衛隊員を対象にまかれたビラの実例である。どれがどれとは特にいわないが、ベ平連、大泉市民の集い、そして第二・第三の小西を!東京行動委員会のつくったものである。まずその実例をよんで比べてみてほしい。いずれもその一部の引用だが。
この前の号ではビラ配りについての三つの立場を①警察②裁判所③市民のそれぞれから考えてみた。ではいよいよビラまきをすることになるとして、そのビラ自体について考えてみよう。今度も三つの具体例をあげてみることにする。つぎに引用するのは、2月11日、いずれも東京練馬の自衛隊基地周辺で、自衛隊員を対象にまかれたビラの実例である。どれがどれとは特にいわないが、ベ平連、大泉市民の集い、そして第二・第三の小西を!東京行動委員会のつくったものである。まずその実例をよんで比べてみてほしい。いずれもその一部の引用だが。
実例① 練馬駐屯地の自衛隊員の皆さん
・・・自衛隊員の皆さん、皆さんの上官はベトナム戦争を間接侵略の範例としてアメリカの戦争行為を正しいものと説明してはいませんか。もしそうだとすれば皆さんはソンミ虐殺事件のような虐殺者にしたてられる危険のまえにあるのです。他民族の自由をうばう戦争に使われる危険があるのです。・・・皆さんは72年に沖縄進駐を命じられるでしょう。沖縄に行って誰から何を守るというのですか。沖縄県民の闘いから米軍基地を守る番犬になるのではないですか。米兵にかわって、全軍労の労働者の胸に銃剣を突きつけるつもりですか。
いまこそ、あなた方が果されられる役割について、思いをめぐらすべきです。小西三曹は「自衛隊法は我々に沈黙を強いているが、もはや我々は沈黙している時ではない」といって行動をおこしました。・・・自衛隊法の「政治的行為」の禁止の規定は<かかし>です。一般公務員と同じように、おそれることなく、自分の考えを表明し、戦争に反対する自衛隊員の集いをつくり、行動をおこそう。・・・
・・・自衛隊員の皆さん、皆さんの上官はベトナム戦争を間接侵略の範例としてアメリカの戦争行為を正しいものと説明してはいませんか。もしそうだとすれば皆さんはソンミ虐殺事件のような虐殺者にしたてられる危険のまえにあるのです。他民族の自由をうばう戦争に使われる危険があるのです。・・・皆さんは72年に沖縄進駐を命じられるでしょう。沖縄に行って誰から何を守るというのですか。沖縄県民の闘いから米軍基地を守る番犬になるのではないですか。米兵にかわって、全軍労の労働者の胸に銃剣を突きつけるつもりですか。
いまこそ、あなた方が果されられる役割について、思いをめぐらすべきです。小西三曹は「自衛隊法は我々に沈黙を強いているが、もはや我々は沈黙している時ではない」といって行動をおこしました。・・・自衛隊法の「政治的行為」の禁止の規定は<かかし>です。一般公務員と同じように、おそれることなく、自分の考えを表明し、戦争に反対する自衛隊員の集いをつくり、行動をおこそう。・・・
実例② 自衛隊員のみなさんへ
・・・どこの自衛隊の部隊でも、昨年はじめから治安出動訓練がはげしく行われるようになりました。それは、こうした安保問題に不安を感じ、反対の行動をおこそうとする人びとが国民の間にますます多くなり、政府に対する抗議と抵抗が拡がるのを、おさえるためのものであることは、明らかなことです。
「国を守るため」のものだといわれていた自衛隊の目的が、実は他国への侵略のため、そして自国の同胞への弾圧のためのものであることが、次第にはっきりしてきたわけです。
もういちど、今の自衛隊の立場について、ゆっくりと考えて下さい。小西氏の訴えを真剣に考えて下さい。・・・
・・・どこの自衛隊の部隊でも、昨年はじめから治安出動訓練がはげしく行われるようになりました。それは、こうした安保問題に不安を感じ、反対の行動をおこそうとする人びとが国民の間にますます多くなり、政府に対する抗議と抵抗が拡がるのを、おさえるためのものであることは、明らかなことです。
「国を守るため」のものだといわれていた自衛隊の目的が、実は他国への侵略のため、そして自国の同胞への弾圧のためのものであることが、次第にはっきりしてきたわけです。
もういちど、今の自衛隊の立場について、ゆっくりと考えて下さい。小西氏の訴えを真剣に考えて下さい。・・・
実例③ 全ての自衛隊員諸君!
・・・67年以降、ベトナム人民の解放闘争に呼応し、全世界の人民の解放を目指し、ブルジョア支配階級に対する激烈な闘いを開始した我々労働者、学生は、血みどろの対権力実力闘争によって不断の階級形成を促進し、昨秋安保政治決戦を闘う中、ついに自衛隊内に政治的流動化をかもし出し、一人の革命兵士=小西誠元三空曹の叛乱を生み出した。
彼の闘い・・・は日本の革命闘争の歴史上きわめて劇的であり、そして自らの決意に基づく内部からの闘いの決起は、国家権力に対する鋭いつきつけであるが故国家権力はその最も弱い部分を暴露されあわてふためいている。・・・
兵士プロレタリアートよ、誰に銃を向けているのか、支配される者へか、それとも支配する者へか。・・・日帝が我々人民を抑圧しアジア侵略へと、自らの利益を守り追求せんがため強化された軍事力を背景に踏み出さんとしている現在、その先兵として銃を持つ自衛隊兵士諸君は決断の時を迫られている。・・・
彼の闘い・・・は日本の革命闘争の歴史上きわめて劇的であり、そして自らの決意に基づく内部からの闘いの決起は、国家権力に対する鋭いつきつけであるが故国家権力はその最も弱い部分を暴露されあわてふためいている。・・・
兵士プロレタリアートよ、誰に銃を向けているのか、支配される者へか、それとも支配する者へか。・・・日帝が我々人民を抑圧しアジア侵略へと、自らの利益を守り追求せんがため強化された軍事力を背景に踏み出さんとしている現在、その先兵として銃を持つ自衛隊兵士諸君は決断の時を迫られている。・・・
思想を力にするもの
さて、以上の三例をみて、一般の自衛隊員はどう反応するだろうか。どれが一番効果的だとみなさんは思うだろうか。どれも同じような思想を自衛隊員に訴えようとしているものであり、その言わんするところは決して間違っているわけではない。しかし正しいことだからといってどんな表現のしかたをしても相手に伝わるというものではないはずだ。「思想は大衆をつかんだ時力になる」という言葉がある。だが、正しい考え方を生のままぶつけてもそれだけでは決して人びとをつかまないし、力にもならないことがある。自衛隊員にまくビラは、今は革命的自衛隊員討論資料ではないはずだ。
技術も大切だ。どのビラも、字はきれいだったが、読み易さでは①②③の順だった。③は青インクで、一部がかすれてよく読めなかった。それにたくさん刷ったのか、原紙がひび割れをして字と字がつながってしまっている所もあった。
ビラをまく、となったら、どういう機会に、誰に、何を伝えるビラかをよく考えて、読まれ、力になるようなきれいなビラをつくろうではないか。
(つづく)
技術も大切だ。どのビラも、字はきれいだったが、読み易さでは①②③の順だった。③は青インクで、一部がかすれてよく読めなかった。それにたくさん刷ったのか、原紙がひび割れをして字と字がつながってしまっている所もあった。
ビラをまく、となったら、どういう機会に、誰に、何を伝えるビラかをよく考えて、読まれ、力になるようなきれいなビラをつくろうではないか。
(つづく)
【お知らせ】
10・8山﨑博昭プロジェクトでは、昨年に引き続き、第2回大阪講演会を開催します。関西在住の方々の来場をお待ちしております。
10・8山﨑博昭プロジェクトでは、昨年に引き続き、第2回大阪講演会を開催します。関西在住の方々の来場をお待ちしております。
◎10・8山﨑博昭プロジェクト第2回大阪講演会◎
羽田闘争とベトナム反戦から考える -この国家どうするー
日 時:2016年11月26日(土) 13:00開場、13:30開演
会 場:大阪駅前第3ビル17階・TOG会議室(大阪市北区梅田1-1-3 電話06-6344-0791)
講 演:「2015夏 日本は変わったか」 13:30 ~14:30
講 師:上野千鶴子(社会学者)
上野千鶴子インタビュー 14:40 ~15:10
(聞き手:西村秀樹)
参加費:¥1000
申し込み:「10・8山﨑博昭プロジェクト」大阪事務局
E-mail: monument108@gmail.com
羽田闘争とベトナム反戦から考える -この国家どうするー
日 時:2016年11月26日(土) 13:00開場、13:30開演
会 場:大阪駅前第3ビル17階・TOG会議室(大阪市北区梅田1-1-3 電話06-6344-0791)
講 演:「2015夏 日本は変わったか」 13:30 ~14:30
講 師:上野千鶴子(社会学者)
上野千鶴子インタビュー 14:40 ~15:10
(聞き手:西村秀樹)
参加費:¥1000
申し込み:「10・8山﨑博昭プロジェクト」大阪事務局
E-mail: monument108@gmail.com


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