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東工大の闘争の紹介も3回目となる。
前回に引き続き機動隊導入の様子から見てみよう。(写真は毎日新聞から転載)
【東工大に初の機動隊】毎日新聞1969.7.10(引用)
『(前略)同日午前6時50分ごろ、同大正門前に機動隊が現れた。正門は机、イスで厚いバリケード。
門の前には、学内にたてこもっていた学生と教職員組合員百数十人がスクラムを組んで「機動隊帰れ」「闘争勝利」とシュプレヒコール。
同7時5分、加藤学長代行が機動隊員に守られて姿を見せ、退去命令を読み上げた。
つづいて警視庁が退去を警告したあと、同10分、機動隊が学内にはいり、正門のバリケード撤去にとりかかった。
学生らは「加藤帰れ」と叫んだが、機動隊の規制にたちまち正門付近から追われた。
闘争本部のおかれていた本館2階の教務部長室には洗たくものがかけられ、食事のサラなどが雑然とし、機動隊がはいる寸前まで学生が“生活”していたことをうかがわせた。
同8時すぎにはバリケード撤去と本館内の検証も終わり、正門前には「当分の間、立ち入りを禁止する」との告示が出され、構内にある各寮の周囲にも学内に入れないようバリケードが張られ、ロックアウト体制が築かれた。(中略)
同大では紛争いらい話合いによる自主解決路線を支持してきたが、今月4日に行われた全学教授会で「これ以上放置することは教育上の問題がある。機動隊を導入してでも授業を再開しなければならない」とのタカ派教官の意見が通り、7日から田町の校舎で新入生の授業が行なわれていた。
しかし、この授業にも、一般教養、語学の教官から“力による授業強行は正常な解決には結びつかない。この強行路線を撤回し話合いによる自主解決の基本路線にもどせ”の批判が起り、教官の一部授業ボイコットも起っている。(後略)』
この田町校舎での新入生授業の様子が、朝日ジャーナルの「学園ハガキ通信」に投稿されているので、見てみよう。
【学園ハガキ通信】朝日ジャーナル1969.8.3(引用)
『東京拘置所大学<東工大>
我々「東拘大」(東京拘置所大学別名東京工大)の新入生が待ちに待った正規授業を大学当局は7月7に始めてくれたけど、場所は大岡山キャンパスからまるで離れた田町の元付属工業教員養成所跡。
毎日、電車賃がかかってしょうがないと思って田町駅まで行ったなら、駅前に堂々五機の勢ぞろい。コワゴワ校舎に行ったら教官様の検問で「大学当局の許可した者以外が立入ると、法律により処罰されます」とこわい高札ありました。
中に入れば悲しや、でっかい名札を渡されて、「つけていないと逮捕されることがあります。」
それでも授業反対の学生200人、検問破って校庭で集会開いて言うことにゃ、「新入生諸君、檻の中に学問はありません。授業をボイコットしよう。我々が田町駅の改札口を出たとたん機動隊が理由なく全く無防備の我々におそいかかった。これは、ひとえに当局の責任である・・・・」と叫んだが、すぐさま退去命令で機動隊におん出され、教室内で「新入生の討論集会をもとう」と言ったら「ここでは授業だけを行なうのであるから、授業を受けたくないやつは出ていけ」と先生にこわい顔でおこられた。
「学生たちの言ったことはみんなうそだ」と先生は言ったけど、授業は英語のはずが物理の講義。その日の授業の帰り道、電車のむかいの席に教授が2人。「やはり私立大からでも講師を借りますか」と話してた。
次の日、田町に行ったら「花の四機」の登場で門には大学当局バリケード。
ビクビク二重のピケライン越えて教室に入ったら、またもあったよピケライン。
「お前は昨日、討論会にしようと言ったからだめだ」と教室からおん出された。
私は、どうしたらよいでしょう(理学部・新入生)』
東工大の新入生の皆さんには本当に「東京拘置所大学」だったんですね。
【「措置法」先取りの東工大キャンパス】朝日ジャーナル1969.8.24(引用)
『村田浩(東工大物理学教室助手)
(前略)東工大における機動隊導入は、前述のように、一切の粉飾を加えずに、「大学の機能の阻害」というそのものずばりの理由で行なわれた。
このことからも、自閉症的「自然科学者」あがりの現執行部の徹底した合理主義を見ることができる。
現在、学内は執行部独裁体制化にあり、教授会は、その構成員さえ公然と認めるごとく、単なる苦情申し立て機関となり下がり、機動隊導入の追認すら行なわれないうちに、ロックアウト体制維持に全面的に協力している。
「やむをえない」といいながら、多数の顔見知りの教授が検問を行なっている。
われわれは学内での抗議行動を行なうためにそこを通るのだが、「なぜ身分証明書を見せる必要があるのか」と詰問すると、彼らには「やむをえない」という以外に「名答」はうかんでこない。(中略)
われわれは9月からの闘争によって、この死臭に満ちたキャンパスを新たな論理の場にしてゆかねばならない。』
(終)