
今年、「1968」という上下2冊の本が話題となった。
1968年から1972年頃までの時代について『「あの時代」の叛乱が「なんであったか」「戦後史に何を残したか」をあえて主題とし、「総括」を試みる』という本である。
この本はまだ読んでいないが、上巻の表紙の写真について明大の学生ではないかという指摘があり、関係者に聞いてみようと思っていたところ、朝日新聞の書評に『上巻の表紙の写真は評者と同じ大学の後輩ノンポリ学生』という記述があり、早大の学生であることが判明した。明大の学生でなくて残念・・。
そんなこともあり、今年の最後の野次馬雑記の写真には、「1968」の表紙を真似て私が作った仮想の「1969」という本の表紙イメージ(写真)を載せてみた。
ちなみに「1969」という本には、今年から始めた全国学園闘争シリーズも含め、1969年に関する文章が載っているという想定。
さて、この野次馬雑記を読んでいただいている皆さんは、今年は1969年に関する文章が多いと感じているのではないだろうか。
一応、この野次馬雑記では1970年前後の時代に関する事柄を紹介していくという方針なのだが、どうしても関心が1969年に向かってしまう。
1969年は1960年代から70年代へ移ろうとする時代の境目の年である。
1968年は時代の転換点として常に注目されているが、1969年は1968年に連続している年として語られてしまう。
それは歴史的、社会的には正しいと思うが、個人的には1969年への「こだわり」がある。
今年、全国学園闘争シリーズということで、東大・日大闘争の陰に隠れて忘れ去られようとしている全国の学園闘争に関する新聞や雑誌の記事を紹介していく作業を始めたのも、その「こだわり」が一因だろう。
マスコミ等では全国の学園闘争は皆同じで一律に語られることが多いが、闘争の時期、地域、大学の個別性などにより、それぞれの「闘争」は異なると思うし、闘争に関わった者たちの想いも、関わった場面が共通しているということはあるにせよ、1人1人異なり、それぞれの学園闘争、全共闘運動があると思う。
そんなことが、この全国学園闘争シリーズで少しでも明らかになればと思っている。
このシリーズとして、今まで明治学院大、青山学院大、東洋大、東京工大、龍谷大の闘争を紹介してきたが、書きながら気になることが出てきた。
このブログはヤフーのジオシティーズに登録している関係上、1回二千字という制限があり、引用する資料の全部を紹介しきれないという問題を常に抱えている。
また、ブログの更新が週1回(作業としてはこれが精一杯)で、同じテーマで続けて書くにしても3回(週)位が限度であるため、私の独断で新聞や雑誌の記事の一部を編集引用して紹介する形になり、どうしても私の想いが入った文章になってしまう。
1969年4月に明大に入学し、闘争に関わった個人の視点での文章である。
そのため、私が意図しなくとも、結果的に「偏った歴史」となってしまう恐れがあるのではないか、ということが気になった。
その問題を解決するため、ブログで紹介した資料をできるだけ忠実に「読み手」に公開していく必要があるのではないかと考えていた。
その折、ある方のご厚意により、当時の貴重な資料を寄贈していただいたので、それを核にして資料のWeb書庫というべきものをつくろうと思い立った。
そして、ホームページの「新左翼機関紙・冊子コーナー」が新たな資料の公開を終了する時期にきていたこともあり、10月末からHP上に新たに「1968-69全国学園闘争図書館」コーナーを作り、既に公開中の全共闘機関紙とともに、資料の公開を始めた。
このコーナーの中に、ブログで紹介できなかった雑誌の記事などの全文が見られる場所を設けて公開していこうと思っている。
作業は休日しかできず時間も限られているため、スローペースでの公開となるが、このブログとHPの「図書館」の2本立てで全国学園闘争の紹介をしていきたい。
なお、このコーナーは「マル共連」(マルチメディア共産趣味者連合)の掲示板に書き込まれたこともあり、すでに900件近いアクセスがある。
今年もこの野次馬雑記には、数々のコメントが寄せられた。本題と関係なくコメントが続く回もあり、私が言うのも何だが、本題よりコメントの方が面白い回も多くある。
コメントもそれが集まれば、ジグソーパズルが出来上がるように「あの時代」が浮かび上がってくるというご意見も寄せられた。
来年も皆さんのコメントを楽しみにしている。
最後に、野次馬雑記も2年が経過したが、こんなに続けられるとは私自身思ってもいなかった。
いつまで続けられるか分からないが、引き続き1970年前後のあの時代の持つ意味にこだわり、時の流れの中に消えようとしている「あの時代」の匂い、吹き抜ける風、喧騒、そして私たちが作ろうとした「物語」の断片を、「1969」という仮想の本に包んで届けていきたい。