No274のブログで重信房子さんの近況を伝えたところであるが、今週は娘の重信メイさんが出演したラジオ番組を紹介する。テーマは「中東で激化するメディア戦争」
メイさんは昨年の11月末にレバノンに出国したが、その直前に収録されたものである。
TOKYO FMで2012年11月28日に放送された「TIMELINE」という番組について、関連する部分を引用して掲載する。
(文書が長くブログの字数制限を越えるため、No277-1からNo277-3に分けて掲載します。)
【TOKYO FM 2012.11.28 TIME LINE(要約引用)】
<中東で激化するメディア戦争>
アナウンサー
『パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルの停戦が合意されて1週間、依然緊張が続く中、パレスチナは国連の参加資格としてのオブザーバー機構から国家へ格上げする決議案を国連総会に提出しました。
これが採択されれば、国連の場でパレスチナが国家と呼ばれることになります。この国家は象徴的な意味合いに留まるものの、これをイスラエルへの圧力として和平交渉を再開させたいという狙いがあるのです。
一方、ニュースでもお伝えしましたが、エジプトではモルシ大統領の権限強化に反発するデモが行われ、10万人が抗議の声を上げています。
中東で続く内戦や紛争やデモ、特にチュニジアやエジプトではアラブの春でSNSが民衆の大きな力となりました。
しかし、体制側、反体制側の両者がSNSを使うことによって、その存在意義が変化してきているといいます。』
上杉 隆(自由報道協会代表)
『SNSの使い方はアラブのみならず大統領選挙でも、2008年はオバマ陣営が優位だったんですが、今回はオバマ、ロムニーともにSNSを使いこなして、あまり差が出なかったということもあります。先に使った方が有利かということ、そうでもないというのが、このSNSの特徴とも言えるんですが、市民の声を伝えるという意味では未だに大きな役割を果たしている。とりわけツイッター、フェイスブックあるいは動画のユーチューブですね。
そのユーチューブでは、これは日本ではあまり見られないんですが、メディアを含めてユーチューブを多用しておりまして、そこでは遺体の写真が普通に動画で出るわけです。
日本人だったら目を覆いたくなるような写真なんですが、私自身はニューヨークタイムズにいた時から慣れているのであまり違和感はないんですが、むしろ日本が過度にそういう意味での現実を隠すという報道に違和感を持っていると思います。
その過激になっている映像、果たしてどうやってそれが出回っているのか、そして単にセンセーショナリズム、過激な映像だけに捉われるのではなくて、その背景、それがどうやって出回ったのか、あるいはその裏に何が隠されているのか、こういうものをきちんとリテラシーを働かせて受け止めるというのも非常に有意義な時代になったのではないかと思います。
そこで今夜、TIMELINEがフォローするのは、ツイッター、フェイスブック、ユーチューブ、中東で激化するメディア戦争。』
アナウンサー
『ガザ地区でイスラエル軍がハマス幹部を狙った攻撃、この空爆の様子を撮影した動画をアップするのに、イスラエル軍はユーチューブやツイッター、ブログ、画像投稿サイトフリッカーを使って広報にも力を入れています。
また、内線が続くシリアでもSNSを使った活動が広がっているというんですね。アラブの春以降、現在の中東でのSNSの使われ方を、ジャーナリストで中東問題専門家の重信メイさんに伺いました。』
重信メイ(写真)
『特にシリアに行ってたりするとそうなんですけども、武器になっているんですよね、戦争の。それは両側の武器になっていますので、私はこれをメディア戦争と名前を付けていますが、やっぱり今までは武器を使う必要があったというのが、いろいろな政治的な政策、例えばアメリカがイラクと戦争をした時もそうでしたし、アフガニスタンを攻撃した時も、武器や軍を使って抑えていこうということがあるんですけど、ソーシャルメディアを使うことによって、その分、ある程度武器を使わなくて済む、世論を勝ち取ることによって、自分たちがやることをもっと簡単に出来るようになった、ということがあるので、シリアもそうですし、反対勢力も親アサドも両方側がソーシャルメディア、情報を使って国内世論、国際世論を勝ち取ろうというような勢いで使っているんですね。
例えばシリアの例ですけど、反対勢力の側が家族が行方不明になった。その数日後に遺体になって、かなり体にいろんな傷が付いて出てきた。こんなこともアサド政権がするんだ、という感じでブログを書いたり、ユーチューブで流したり、反対勢力はメディア戦争の中に盛り込んで使っていったんですね。
(No277-2に続く)