野次馬雑記

1960年代後半から70年代前半の新聞や雑誌の記事などを基に、「あの時代」を振り返ります。また、「明大土曜会」の活動も紹介します。

2023年02月

今年の2月4日、明大土曜会の定例会が開催された。明大土曜会は偶数月の第1土曜日に開催しており、毎回いろいろなテーマについて関係者から話を聴いたり、議論したりしている。参加者は明大のOBが中心とはなっているが、オープン参加で、他の大学OBや若い世代まで幅広い方々が参加している。当日は30名近くの参加があり、大学生など若い世代の方が10名ほど参加した。
2月4日の主な議題は「労働組合について」と「沖縄訪問打ち合わせ」であったが、今春の統一地方選挙に向けて、「介護」に取り組む候補者を応援するアクション「介護と地域」について説明があったので、今回のブログではその内容を掲載する。
説明者は前田和男氏(1947年東京生まれ。東京大学農学部卒。翻訳家、ノンフィクション作家)と二木啓孝氏(1949年鹿児島県生まれ。明治大学農学部出身。ジャーナリスト)である。

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【アクション「介護と地域」応援団への参加のお願い】
前田和男
我々がずっとテーマにしてこなかった問題が、ついにここまで来たかということで「介護」です。若者たち以外はもうこの領域に入ってきている。私も三派全学連世代ですけれども、いわゆる「団塊の世代」ですね。戦争を知らない子供たちだけれども、戦争を知っている大人から生まれた子供たちです。
それが2025年に全員75歳以上になります。つまり「後期高齢者」です。「後期高齢者」というのは何かと言うと、5人に1人は身体がおかしくなります。更に4人に1人は認知症になる。そういう問題が目の前に来ているにもかかわらず、年初のニュースでも若干報道されましたが、実は国の方では着々と我々が「後期高齢者」に入ることに対処しよう、要するに早く「あの世」に送りたいという動きが、どうも厚生労働省社会保障局の介護保険部会で検討されています。なおかつ、成田悠輔というふざけ野郎が「老人は全部自決しろ」と発言している。若い人が生きづらいのは、我々ジジババがのさばっているからだ、というとんでもない言説が行き渡っているわけです。我々はいつ、それこそ狛江のバアサンじゃないけど殺されるかも分からない。そんなことされる前に、我々は断固として立ち上がらなければいけないということで始めた運動です。
我々が、この問題を真正面から取り上げて、このテーマについて今度の統一地方選挙で戦ってくれる人を応援して行こうということです。
「自分は立候補できないけれども応援はするよ」という方は、一口2千円で応援団にご参加いただきたいというお願いであります。
具体的に何をやるかと言うと、今度の統一地方選挙に出てくれる人にこういう呼びかけをします。
2025年問題に取り組みを。
それから介護保険の歴史的改悪が始まって、若い世代はまだお金を払わなくていいけれど、40歳を超えると介護保険料を取られるわけです。結構な金額です。これをどんどん悪くして、要するに国が狙っているのは、身体が悪くならない人間にしか介護保険は使わせないようにするわけです。ところが一番肝要なことは、メンタルな問題もあるわけ。これについては一切支援しないという改悪が進んでいるわけです。この間、上野千鶴子さんたちと一緒に院内集会で反対運動をやったおかげで、国は一応引っ込めました。しかし、これは厚生労働省及び国のいつものやり方なんです。いったん引っ込めるんです。引っ込めた後、何年かして出してきて実行してしまうという形なんです。断固としてこれは阻止したい。
それから地域に、私たちが認知症になろうと、身体が悪くなっても住めるような街づくりをして欲しいということです。
何でこんなことをやっているかと言うと、日本は老人から政治的権利を奪っている。アメリカはいろんな問題はある国だけれども、年齢差別禁止法というのがあるんです。年齢による差別を撤廃しなくてはいけない。歳を取ろうと若かろうと関係ないんですよ。ところが某政党も70歳定年制を設けているわけです。我々は75歳だけど、とても立候補できない。「お前らは出るな」という話。我々年寄りは投票だけしていろ、投票マシーンだ。要するに「自分で自分の主張をしてはいけない」そう言っているわけです。こんなふざけた制度はないので、私たちはそういうものはおかしいと。当事者として発言できる者は政治運動すべきだし、政党もそれを認めるべきだと。多選とか老害はマズイけれども、例えば土屋源太郎さんが「沖縄問題は大変だ。議員になりたい」と言ったら、ヨシヨシと言うくらいにしていかないと、世の中は良くなりません、若者のためにも。
よろしくお願いします。

二木啓孝
前田さんが大言壮語しましたが、もっとちっちゃい話です。ちっちゃいから身近なんです。
区議選が東京でありますが、そこで東京で最低2人区議を出そうということです。
今後、介護する側からされる側になった時に、地域で何なのかという話なんです。地域の中で介護施設に入ればというイメージでしょうが、今の介護保険というのは、金がかかるから地域にどんどん渡してしまおうということなんです。今認知症の話がありましたが、介護は要支援1・2、それから介護1・2・3・4・5とあるんですが、認知症は元気だけどボケているわけです。そうすると介護の対象じゃないんですね。
このアクション「介護と地域」というのは、地域に移管されたところ、それから介護の問題を地域で考えようということです。
今、中央区でと考えていますが、中央区は区議が30人いますが、介護の質問をする人はほとんどいない。1,2回質問したのは「れいわ」の女性議員だけで、あとの政党は国政みたいなことを言っているわけ。何で国政みたいなことを言うわけ?ということで、小さなところで「介護と地域」という話です。
公約は1本だけ、「介護」。そういう風な形で、ちいさな地域の中で介護の問題を、当事者で語れる議員を作ろうということで2千円のカンパをいただきたいということと、当事者として出る方がいればということで話をさせていただきました。よろしくお願いします。

【当日配布された資料】
アクション「介護と地域」応援団への参加のお願い
今春の統一地方選挙にむけ「アクション『介護と地域』」を立ち上げます。趣旨と概要は以下のとおりです。応援団にご参加いただきたく、お願い申し上げます。
<趣旨>
2年後の2025年、700-800万人ともいわれる団塊世代が全員「後期高齢者Jとなり、医療・介護に大きな負荷をかけると懸念されています。この「2025問題」に対し、国は、2024年度にむけた介護保険の改悪に見られるように、団塊世代の「切捨て」を目論んでいます。一方、既成政党は70歳定年制の内規を設け、団塊世代の政治的表現を事実上阻んでいます。
団塊世代は、対処を国や政府に委ねるのではなく、当事者として主張すべきは主張、介護をふくめて自分の老後は自分で決められる、そんな風通しのよい社会を次世代に残して逝くべきではないでしょうか。
そのための初動策として今春の統一地方選挙で当事者の代表を支援し、シニアが自己決定権を行使できる地域社会を展望したいと考えます。
<具体的手法>
1 以下の問題意識と課題に共感する候補者に支援を行なう。
*年齢と党派は問わない。
2本プロジェクトに賛同し支援する応援団を起ち上げる。
<共有・共感すべき基本政策メニュー>
●「2025年問題」に取り組む
●介護保険の歴史的改悪(2024年施行)に反対する
●地域に高齢者の居場所と出番をつくる
介護難民はつくらない!地域の拠点病院や訪問介護施設と連携
買い物難民はつくらない!→ 地域の生協組織と連携
●自分たちの老後は自分たちで決める、そんな社会を次世代に残す
●認知症に優しいまちづくり
くスケジュール>
2月 基本戦略体制づくり 賛同人と応援団を募る
3月シンポジウム(著名賛同人と立候補予定者で)★オンライン併用
5月 当選者した議員にたいして、2025年問題についてアンケートを実施、マスコミに発信し、当該問題の社会化をはかる。
<参加費>
一口2000円
三菱UFJ銀行永福町支店(金融機関コード0005、支店コード347)
普通口座 口座番号0241096 マツザキケンゾウ(松崎健三)

※ご協力いただける方は上記口座へ参加費の振込をお願いいたします。
また、ご意見などがあれば  zenkyoutou@gmail.com  までお寄せください。

【お知らせ その1】
2月4日の明大土曜会に参加した労働組合の方から、以下の行動への参加の呼びかけがありました。
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「3.3反戦春闘首相官邸前行動」
3月3日(金)18:30~
集合場所:首相官邸前(東京都千代田区永田町2-3-1、東京メトロ「国会議事堂前」駅下車)
主催:労組反戦行動実行委員会
連絡:全水道東京水道労働組合 電話03-3814-3795/FAX03-3815-5341/全国一般・全労働者組合 電話03-3234-1816/FAX03-3234-3026/
全国一般東京東部労働組合 電話03-3604-5983/FAX03-3690-1154
みなさんの日夜のご奮闘に敬意を表します。昨年10月21日にわたしたちが呼びかけた「国際反戦デー首相官邸前行動」へのご協力に心より感謝申し上げます。
同行動には28の労働組合、政党、市民団体、弁護士、議員らがご賛同いただき、当日は180人のご参加をいただきました。
実行委では同行動の成功を確認すると同時に、ロシアとウクライナとの戦争がいまだ停戦に至っていない現状と、日本政府が中国や朝鮮への敵視キャンペーンを煽りながら憲法改悪と大軍拡に突き進んでいる情勢を踏まえ、引き続き労働者・労働組合が先頭に立った反戦運動を継続・拡大していく必要性を確認しました。
そこで2023年の「春闘」において、職場における賃金や労働時間などの労働条件の改善だけにとどまらず、労働者・労働組合が戦争反対の声をあげていこうと、以下の「3.3反戦春闘首相官邸前行動」を呼びかけることとしました。同行動へのご参加とご協力をよろしくお願いいたします。

【お知らせ その2】
「続・全共闘白書」サイトで読む「知られざる学園闘争」
●1968-69全国学園闘争アーカイブス
このページでは、当時の全国学園闘争に関するブログ記事を掲載しています。
大学だけでなく高校闘争の記事もありますのでご覧ください。
現在17大学9高校の記事を掲載しています。


●学園闘争 記録されるべき記憶/知られざる記録
このペ-ジでは、「続・全共闘白書」のアンケートに協力いただいた方などから寄せられた投稿や資料を掲載しています。
「知られざる闘争」の記録です。
現在12校の投稿と資料を掲載しています。


【お知らせ その3】
ブログは概ね2~3週間で更新しています。
次回は3月3日(金)に更新予定です。

今回のブログは、昨年11月23日に「渋谷LOFT 9」で開催されたシンポジウム「私たちはいま 戦争にどう向きあえばいいのか」第3部の詳細報告である。
第1部では、若い世代5名と雨宮処凛さんが、「戦争が起こった時に若者がどのように考え、どのように思ったのか」「反戦平和運動について」「再び若者が立ち上がることはあるのか?」
などをテーマに語り合った。
第2部では、全共闘世代と若い世代4名が、「第1部の話を聴いて思ったこと」「沖縄の基地問題について」などをテーマに語り合った。
第3部では、第1部と第2部の議論を踏まえて、会場からの質問に対して登壇者が答える形で進められた。
第1部及び第2部は前回と前々回のブログに掲載しているのでご覧いただきたい。
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このシンポジウムの開催趣旨と内容は以下のとおりである。
【私たちはいま 戦争にどう向きあえばいいのか】
「ロシアのウクライナ侵略戦争」・「北朝鮮の核ミサイル」・「台湾有事」・「領土問題」」を理由にして「防衛費倍増」・「アメリカ軍との核共有」・「憲法9条改正」に世論を導こうとする日本政府。世界に蔓延する「ナショナリズムの拡大」・「軍拡」の嵐の中で「反戦・非戦・不戦」の松明を私たちは掲げることができるのか!
私たちはどのような未来を提案・創造することができるのか!
Z世代と団塊世代、雨宮処凛、全共闘が「私たちに迫りくる戦争」を徹底的に語り合う!
【第1部出演者】
●雨宮処凛(格差・貧困問題に取り組む「反貧困ネットワーク」世話人 「週刊金曜日」編集委員 「公平な税制を求める市民連絡会」共同代表)
●糸井明日香(高校生時代に校則・制服問題に取り組み、大学生時代には学費問題に取り組む 現在は社会問題をビジネスで解決する株式会社ボーダレスジャパンメンバー)
●中村眞大(ドキュメンタリー映画「北園現代史」監督 校則問題・社会問題をテーマに映像発信する大学生ジャーナリスト)
●安達晴野(ドキュメンタリー映画「北園現代史」に出演 校則問題や政治問題について発信する大学1年生)
●吉田武人(2015年安保に反対した「T-nsSOWL」に中学1年生で参加 現大学2年生)
●伊集院礼  (元 未来のための公共・2015年安保に反対した「T-nsSOWL」メンバー)
【第2部出演者】
●三宅千晶(1989年沖縄県那覇市生まれ。被爆三世。早稲田大学卒業(水島朝穂ゼミ)。弁護士。日本弁護士連合会人権擁護委員会基地問題に関する調査研究特別部会員)
●元山仁士郎(1991年沖縄県宜野湾市生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士課程。「辺野古」県民投票の会元代表。SEALDs/SEALDs RYUKYU立ち上げ・中心メンバー)
●船橋秀人(来春から京都大学大学院生 規制緩和による非正規雇用者の増大をもたらした竹中平蔵による授業、そして実学偏重の大学に反対して抗議活動を行う 反戦運動アクティビスト)
●田中駿介(「旧土人部落」と呼ばれた地区で中高時代を過ごす。2014年「北の高校生会議」発起人。東京大学大学院生 慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞)
●前田和男(1947年東京生まれ。東京大学農学部卒。翻訳家、ノンフィクション作家)
【ファシリテーター】
●金廣志(元都立北園高校全共闘メンバー・元赤軍派メンバー・塾講師)
●安田宏(元都立上野高校全闘委メンバー・元慶應大学日吉自治会副委員長)
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【第3部】
金廣志
それでは、今から第3部ということで、エンドレスでやりたいです。エンドレスというのはどういうことかと言いますと、ここを4時15分に終了して懇親会会場に向かうということでやりたいと思います。
これからお話を伺いますけれども、質問は一つしか受け付けません。それから「私はこう考えます」は30秒以内で納めてください。コミニュケーションしましょうということです。
よろしくお願いします。(拍手)

<会場からの質問>
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質問者1
ワタナベと申します。二十歳です。大学1年生です。反戦平和運動やベ平連の話が出ましたが、そういう闘争というものは、大学以前の小学校から高校までの、ある程度規定された教育の中では、あくまでも歴史の一単語にしかならないと思うのですが、もっと若い世代に実感として興味を持ってもらうということについて、教育とか学校はどのように寄与できると思っているのでしょうか?

金廣志
船橋君から行きましょう。

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船橋秀人
教育というのは非常に重要だと思います。日本でこれだけ政治意識が低いのは、圧倒的に日本の教育が良くないからだと端的に思います。ただ一方で、教育というのはどうしても国家権力がやるものですから、都合の悪いことを教えないという方向に動きやすい。だからこそ運動というものが必要なのかなと思います。それから、さっき歴史の一単語と言いましたけれど、僕自身は運動というのは普遍的なものだと思っています。というのも、例えば、(イランで)ヒジャブの事で殺されて問題になっていますけれど、イスラム教であったりとか、もっと身近な例で言えば、父親が子供を閉じ込めてというようなことでも、運動というか、解放を求める自由というのは出てくるわけですよね。これは人間の普遍的な本性なのではないかなと思っています。そこに僕は賭けています。回答になっているか分かりませんが、以上です。(拍手)

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安達晴野
僕は小中高と、もっと小さいうちから勉強してもらうという面では、とにかく大人とか年上の世代が自分たちが活動している姿を見せるということが大切だろう。僕も大学1年生で、つい最近まで高校生で、あと中学生の弟がいるんですけど、結構小さい子たちって実は政治とかにすごい興味を持っていて、例えば僕はよく街頭演説とかでビラを配ったりするんですけど、小さい子、小学生ほどチラシをじっくり見て受け取ってくれたりして、あと選挙期間中も貼ってあるポスターをランドセルを背負った子たちが見て、「この人、こう書いてあるよ」みたいに友だちと話し合ったりするんですよ。だから本来は興味を持っているんじゃないかなと。その芽を摘んでしまっているのは大人たちだと、「政治の話を人としてはいけないよ」とか、若しくは親が家で政治の話を全然しなかったりとか、そうやって上の世代が何となく政治について話すのはタブー、何もしない、それこそデモなんて怖い、そういう雰囲気が子供に伝わって、子どもたちがそういう背中を見て政治に関わらなくなるんじゃないかなと思っているんです。ですから、若い世代が政治に関心が無いとか言うけれど、まずは若い人たちに政治に関心を持つことを教えてこなかったのは自分たちである。そういう意味で、まずは自分が政治とかそういう運動に興味を持って参加して、その姿をいろんな人に見せていくということが大切なんじゃないかなと思っています。(拍手)

金廣志
今の安達君のすごくいいのは、学校が悪いとかそうじゃなくて、「自分自身の問題だよ」と言ったところが素晴らしかったですね。
中村君どうぞ。

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中村眞大
第1部で言い忘れたことをそのまま質問で言って下さって感激しているんですけれども、今お二人が答えられて、僕が思うのは、やっぱり幼児のうちから自分の意見が通るというような環境を作るべきだと思っています。例えば、乳幼児はお腹が空いたらワーワー泣いて、それでご飯がもらえるわけですけれども、だんだんと成長していく過程で自分の意見が通らない、自分の意見を主張しても大人に拒否されるということが多いじゃないですか。そういう環境でずっと育てられると、何を言っても無駄だと思ってしまうんじゃないかと思うので、学校でも生徒会とか、意見を言って、「こういうことをやりたんだ」と言った時に、「OK、いいよ。これをやってごらん」という風に、大人が生徒に対して、何か声を上げたらうまくいくんだという成功体験を植え付ける、成功した体験というものを持っておく必要があると思うんです。この前、安達君と一緒にある大学に授業しに行ったんですけども、そこにいた普通の大学生に「実は私、高校の時に校則を変えたことがあるんです」と言われて、「それはすごい成功体験になったんです」と言っていたんです。だから、若いうちから何かを言えば何かが変わるんだという体験があれば、大人になった時に、例えばブラック企業に入って、訴えれば何か変わるかもしれないとか、社会に関心があった時に、これを訴えれば社会が変わるかもしれないと思えると思うので、幼少期からの、幼稚園とかそれくらいからの環境というのが大事だと思うので、そこを変えていく必要があるのかなと思っています。(拍手)

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元山仁士郎
本当に大事だと思っていて、今おっしゃっていた教育と言った時に、学校だけじゃなくて家庭もそうだと思いますし、あと社会的な教育というか社会環境みたいなところってあると思うんですよね。学校というのは信用できないところももちろんあると思いますが、一方で大人たちがしっかり声を上げてく姿を見せていくことは大事だと思いますし、自分自身もSEALDs(シールズ)とかやったり、特定秘密保護法の時からデモをやり始めたんですけれども、その時も3・11の後に反原発・脱原発のデモをしていた人たちがいて、こういう風に声を上げていいんだというところは、すごくハットさせられたと思います。ただ、当時私は二十歳くらいでしたけれど、その場にデモに行った時に、どういう風に大人たちが接するかというのがとても大事だと思うんですよ。私が初めて(デモに)行ったのは、渋谷の(代々木)公園からデモをしていくというルートでやったんですけれども、やっぱり若い人というので、有無も言わさずに「横断幕を持って」という感じで前面に立たされるということをやっていて、ずっとシュプレヒコールを上げていたんですけれども、その時に、できれば「今日は何で来たの?」ということとか、「私たちはどういう人で」ということを、もし話してもらえるような大人のオジサン、オバサンがいたら、また来ようかなと思えたなと思います。何か若者というのを消費されているだけで、私個人というものに対して全く敬意が感じられないというような体験を、一番最初に参加したデモでやられてしまったので、そうしたら「もう行かないや」と思ってしまったんです。なので、そこでどう接するか、その時に成功体験というか「来てよかったな」と思えるようなことがあればいいと思うんですよ。ちょっと話が飛ぶかもしれないですけれども、上間陽子さんという琉球大学の教授の方がいて、『海をあげる』という本屋大賞を取った本があって、今沖縄で若年出産した女性のシェルターを作っているんです。何をしているかと言ったら、17とか18歳とかで子供を産んで育てていかなくてはいけないという女性たちなんですけれども、その子たちの自己決定みたいなところ、自分で物を決めるというところから始めていかなければいけないと言っていて、どこから始めるかと言ったら、ご飯をどれだけ取るかというところを自分でやらせる。それを自分で出来なかったりするらしくて、自分でこれだけご飯を食べると決めるというところからシェルターで一緒にやっているんだ、みたいな話をしていて、自分でどれくらいだと決める、それが成功体験として、「今日は食べないでいいよ」とか、「これくらい食べるんだね」とか、ちゃんと認めてあげる、「もっと食べろ」とかそういうことではなくて、そこでしっかり相手を認めてあげたり、受け入れたり、その人なりの成功体験というか、自分がこう言っていいんだ、こう出来るんだということを、ちゃんと大人がやらないといけないと思うので、自分もそっち側にいると思うので、自分の姿を見せつつ、下の世代が出てきたら、ちゃんと支えてあげたり、受け入れてあげたり、一緒に話すことが出来たらいいなと思っています。(拍手)

金廣志
琉球新報で元山仁士郎の人生相談、若者相談みたいなものを連載して欲しいよね。
吉田君、一言。

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吉田武人
本当に一言だけなんですけど、まさにデモで横断幕を持って利用されるみたいな、たまたま行ったデモで、そうやって若者が利用されるというのは、今日の主催者の質問の仕込み方にもそういう部分があるんじゃないか。(笑)
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私は自分の後輩の方の立場に立ちます。

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田中駿介
こういうマッチョイズムを脱しないと、若い人は来なくなってしまう。でも、もう一つだけ言っておくと、僕は、オジサン、オバサンがという言い方をされてたけれども、どんな人であっても楽しく、どんなやり方でも社会を変えようとまず思わなくても、まず知ろうとやっていくことも大事だと思うんです。
僕は高校生の時、デモには参加したりしていませんでした。「北の高校生会議」という高校生だけの2泊3日の合宿をやって、障がい者の方の運動をやっている方だったりとか、あるいは原発事故の自主避難者の方の話を聴いたり、そういった合宿をやったんです。全然政治的な立場とかではなくて、高校生が2泊3日で寝ないで朝まで喋って政治のことを話すだけで、世の中の見方がガラッと変わるわけですね。こういうような体験、社会をまず知ることが大事なんだというところをやっていく中で、どうやって(社会と)向きあおうとやっていくというのも一つのやり方なんじゃないかなと思いました。以上です。(拍手)

金廣志
質問の数より答える人の方が多いから(笑)、はい、質問どうぞ。

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質問者2
東京都のウエマツと申します。
まず一つ目。今日本とアメリカがやっている軍事政策というのは、突き詰めて言うと、台湾の人々が平和に生きるために沖縄の人が犠牲になってください、そういう軍拡なんですね。それに対して我々がどう答えるのか、どう向き合うのかという議論に開かれるべきだともいます。
二つ目。「日本は平和」と言いましたけれど、朝鮮戦争はまだ終わっていません。来年休戦50年です。日本は圧倒的に戦争の当事者国です。にもかかわらず、日本の反戦平和と言われる左翼の人たちを含めて、ずっと他人事にしてきたと思うんです。来年休戦50年になります。その時に、私を含めて私たちがまた他人事でいるのかどうかというのは、日本の反戦運動なるものの思想が問われると思いますので、そういう議論は是非開いて欲しい。それも若い人に押し付けることじゃなくて、上の世代がちゃんとやらないといけないと思っています。
それに関連して最後に三つ目。今議論すべきことは、議論を聴いて「反戦運動」という言葉を言っていましたけれど、ちょっとフォーカスが違うと思います。というのは、日本に関して言えば、今やろうとしているのは戦争ではありません。軍拡です。防衛力増強とか抑止力増強という言葉を言っていますが、簡単に言うと軍拡です。しかもそれは戦争をしないための軍拡だとか、皆さんの平和を守るための軍拡だという言い方をしているので、つまり必要悪だと言っているわけです。その必要悪に対して、「必要悪じゃありません」という問いを、答えをどうやって用意するかは、僕も悩んでいますが、そのくらい難しい問題、はっきり言って上の世代が体験しなかったような難しい問題を、今我々は共有しているということを、最後に申し上げたいと思います。

金廣志
ありがとうございます。これに対しては、今答えることではないと思いますので、皆さんが今の問いに対して考え、次の機会がある時に述べていただければと思います。
どなたかいらっしゃいますか?

質問者3
今の方と関連しているんですけれども、すごくいいお話をいっぱい聴かせていただいて,戦争にどう向き合ったらいいかということが見えて来て嬉しくなるんですけれど、特に「逃げればいい」というのはすごく気に入ったんですけども、ただ、私この間、地域で学習会を持った時に、チェチェン問題をずっとやっていらっしゃる林さんのお話を聴いた時に、「絶対平和主義でやっていくということは幻想である。ロシアがどれだけひどいか」ということをお聴きして、すごいショックを受けたんですね。その時の資料に、今日お話しがあった杉原さんと志葉玲さんも一緒に書いていらして、その林さんと杉原さんと志葉の3人がパンフレットを作っていらっしゃるんですけれども、「今は戦うしかない」ということを書いてあって、とてもショックを受けたんですね。ここで非武装中立でやっていく、暴力なしでやっていくというご意見を聴いたんですけれども、そこをもうちょっと、私自身も深めて力をいただきたいなという思いがあるんですけれども。

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金廣志
これについて、私の方から少しだけ答えさせていただきたいですけれども、11月9日付の朝日新聞に、合六強(ごうろくつよし)(二松学舎大学準教授)という方が「にじいろの議」というところで書かれていて、要するにロシアのウクライナ侵攻について、彼は最初は停戦とか求めていたということらしんですけれども、ウクライナの世論調査では86%の人が都市攻撃が続いても武力抵抗を続けるべきとか、あるいはいかなる領土も妥協すべきではないとか、さまざまなアンケートが80%以上、90%以上でロシアと徹底抗戦するべきだというようなアンケートがあって、自分は考え方が変わったというようなことが書いてあったんですね。この文章を読んで、私の友人が「ああ俺は目が覚めたよ」と来たんです。それで読みました。「これはひどい話だな」と僕は思いました。これは日本だってそうだったでしょ?と。本土決戦の時に誰が反対した?国どころか人が滅びようとするときに、必ず戦争には賛成するんだよ。イラク戦争の時にどれだけ賛成した?91%が賛成したんですよ。「こういう八百長は止めようよ」と思いました。以上です。すみません、僕が話をすることじゃないんですよね。

質問者3
ありがとうございます。

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前田和男
いいですか?逃散主義(ちょうさんしゅぎ)の話が出たので、逃散主義者として申し上げますが、一つのヒントと言うか、確かに昔はなかなか反封建制というか、明治時代も共同体から「逃げる」とか組織から「逃げる」というのはなかなか難しかったんですね。今はそれがかなり可能になっているということが一つあります。
それともう一つは、ただ単に遁走するんじゃないんですね。一つヒントになるのは、1926年、まだ日中戦争が始まる前ですが、福岡連隊事件というのがあるんですよ。部落解放同盟の人、部落の人が軍隊に入って、とてつもない差別を受けるわけです。それで敢然と彼らは立ち上がるわけですね。同じ天皇の戦士なのに、なんで差別するんだと。これは大事件になりました。結局、最後は部落解放同盟の中央がシャンシャンと手を打ったんですが、しかし僕はあれは極めて貴重な闘いだったと思うんですね。軍隊の中でそういう形での抵抗運動をするということが、私たちが単に国外に逃げて自分だけ助かろうということではないんですね。イントレピッドの(米軍の脱走兵の)人たちも、僕はそうだと思いますよ。さっきの沖縄の平和構築の問題についても憲法に絡む問題、それはそうですよ、自衛隊をどうするのか。日米地位協定よりひどい協定を日本はジブチ共和国と結んでいるんですよ。これは日本の国民はほとんど知らないですよ。沖縄の人に対する以上にジブチ共和国の人に自衛隊は何でも出来るんですよ(海外に唯一ある自衛隊の拠点がジブチ共和国にある)。かと言って、一方で自衛隊が誰かを殺したといっても、自衛隊は軍隊ではないので軍法会議もありません。軍事裁判も開かれないから、訴えられたら殺人罪で裁かれる。しぶしぶ自衛のために鉄砲を撃って死んでしまったらどうなるのか。こういう問題も含めて、全部僕らは議論していかないと、そこまで私たちは若いうちはなかなか気が付かずに来たんですが、そういう重い課題を今の20代の人は背負っているという意味では大変だと思います。それは逆に挑戦し甲斐があるだろうと思います。
もう1点、つまらない事を言いますが、さっき冒頭のところで、僕は団塊の世代で小学校は生徒は1クラス60何人いました。だから途中で一人か二人居なくなるんだよ。それでも平気。後は、当時の先生は結構いいかげんな奴がいて、授業なんかろくにしないんです。でも僕はそれがよかったと思っているんですよ。その後の管理教育、家の娘もそうでしたけれど30何人とか、可哀そうですよ。おまけに教師を2人付けるなんてとんでもない。政治教育いいですよ。でも学校なんて全く信じていないな。僕が何で今自分がこうしてあるのかというのは、あのマンモス教育で教師から放っておかれたからですよ。それで、何もしないといろいろ言われますけれど、何もしない事がたぶんいい事なんです、教育なんていうのは。それを最後に言いたいな。

田中駿介
私もほとんど同感で、基本的に学校教育とは小中高とケンカしかしてこなかったんですね。・・・。

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前田和男
田中さん、何故私が今日呼ばれたかというと、『続・全共闘白書』という、我々全共闘世代400何人にアンケートした本です。ネットで見てもらうと情況出版で出ています。私が言ったようなことが、400何人、この本の中でいろいろ書いていますから。

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田中駿介
まとめになるか分からないけれども、今日前田さんがおっしゃったとことは非常に重要で、ロシアのウクライナ侵攻はまさに国際法違反だけれども、日本の自衛隊で多くの国民は上官の命令は絶対だと未だに思っているけれども、しかし、国際法違反の命令があった時に、それに抵抗しなければいけないんです。これはドイツでは抵抗権、あるいは抵抗義務と言って、上官の命令が仮に国際法に反するものであったら、それに抵抗しなければ裁かれるんです。こういったような、ごく当たり前の人権というものをしっかりと考えていく、これはもちろん学校でも考えていかなければいけないけれども、学校なんて期待できない。じゃあ自分たちでしっかり考えていく、今日はそのきっかけ作りになればいいなと思っています。
まとめになったかどうか分かりませんが、いかがでしょうか。

<シンポジウムに参加して思ったことなど>
金廣志
まだ少し時間がありますので、今日登壇した若い人から、今日この会をやってどのように思ったのか、1分ずつコメントをお願いします。

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安達晴野
本日はどうもありがとうございました。いろいろ平和とか戦争とか、どうするべきだとか、いろいろな意見とか、そもそも平和とは何なんだという意見があると思うんですけれども、まずは一人ひとり自分が考えて自分が行動していくということが何よりも大切だと思うんです。他の人がどうあるべきだとか、社会全体がどうするべきかといった前に、やっぱり自分が何をするのか、出来るのか、するべきなのかというのを考えるのが重要なのかなと思っています。
あと第1部で、僕が外交について話しをしたと思うんですけど、あれは言葉選びが間違っていて、「外交で平和が実現できるのか」じゃなくて、「武力によらない方法によって(平和を)実現できるのか」という言い方が正しかったなと思って、そう考えた時に、ベトナム戦争って、結局軍事的には膠着状態であまり決着がつかず、世界的な、またアメリカ国内での反戦運動によって政治がボロボロになっちゃって、最終的にアメリカの大統領選挙で撤兵を公約に掲げた候補が当選して、アメリカが引き上げたという認識で僕はいるんですね。そう考えると、絶対に国内とが外国でも声を上げ続けるというのは、実際に効果のあることだと思うし、それで戦争が終わった歴史もあるというのを最後に言って終わりたいと思います。(拍手)

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吉田武人
本当に主体的にできることは動くことだ、声を上げることだというのはまさに安達君の言う通りだと思いますし、同時に戦争というところを考えると、戦後70数年、僕たちの素朴な厭戦感情、そして「殺すなかれ」という思いを基に、僕らは憲法9条というのを最低ラインに置いてそれを変えさせない、そのために目の前の軍拡に反対していく、目の前の安保法に反対していく、そういう論理の取り方をしてきたと思うんだけれども、果たしてそれが素朴な厭戦感情を基にした憲法9条、護憲、そしてそれに基づく反戦運動、平和運動というその論理構造がどれだけ普遍的であるかというのを、もう1度今、僕たちは考え直さなければいけない。そして、新しい反戦・平和の論理というものを組み立てていかなければいけない、そういうタイミングにあるのかなと思っています。今日はありがとうございました。(拍手)

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糸井明日香
今日のイベントのタイトルが、「私たちは戦争とどう向き合えばいいのか」というタイトルで、第1部で金さんから事前にいただいていた一つの大きなテーマとして、若者たちがどのように戦争を受け取っているかということをテーマとしていただいていたところに対して、返答というか、あまりしきれずに第1部が終わってしまったなと思っていたんですけれども、私の思っていることを言うと、戦争を若者は向き合いきれていなし、向き合い方が分からないというのが、率直な私の感覚であって、第1部で言いそびれたことではあるんですけれど、何かロシアのウクライナ侵攻が起こった時は、毎日毎日ニュースで戦争の映像が流れて、ユーチューブでキーウからのライブ配信があって、そのライブ配信を見にいく人がいっぱいいて、そこで爆弾が落ちて光るのを見たい人がいっぱいいて、でもそんなにずっと爆弾が落ちているわけではないから、「何だ、そんなこともないんだね」みたいなコメントが並んでいてみたいな、そういう世界があったなと思っていて、結構しっかり戦争だ平和だということで受け止めている若者が多いかと言うと、そうも楽観できない。ゲーム感覚で観ている人たちがいたんじゃないかというのも感覚としては持っていて、そういう人たちに向けてどういう発信というか、表現ができるのかというところを考えなければいけないし、こういうイベントもとても素敵だと思うんですけれども、若者に届くチャンネルというか、届く場所で、こういったことをどうやって届く方法で表現するか。教科書に書いてあるのじゃ届かない。どう面白く伝えるか、分かりやすく伝えるのか分からないんですけれども、そこを考えたいなと思ったところです。(拍手)

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中村眞大
本日はありがとうございました。第1部、第2部いろんなお話を伺えて僕自身も勉強になったんですけれども、一つ、糸井さんのお話とも似ているんですが、ここに呼ばれた人たちというのは確かに若い人なんですけど、ある種特殊な人間というか、運動したりとかしている人間なわけで、多くの人は糸井さんがおっしゃっているように、戦争もある種、タビーですけれども、エンタメとして観ている部分もどうしてもあると思っています。事件とかもそうですよね。ニュースで「大変なことになったな」と野次馬感覚で観て、しばらくして忘れてしまうということかなと思います。
さっき、前田さんとか田中さんもおっしゃっていましたけれど、「学校教育は信用できない」と言って、「学校は何もしなくていいんだ」みたいな話がりましたけれど、僕はそれはちょっと違うと思っていて、何故というと、僕らとか前田さん田中さんみたいな人たちは、他に居場所がいっぱいあるのでいいと思うんですけれども、学校しか居場所がない人たちというのは、今の若い人でいっぱいいるわけで、そういう人たちが学校が何もしないと、本当に何も無いまま終わってしまうわけですから、やっぱり戦争をエンタメとして観てしまうほとんどの若い世代が反戦運動をするためには、必ず皆が在籍している、不登校というのもありますけれど、在籍している学校という場で、教育でもっといろいろやっていく必要があるんじゃないかと感じた次第です。
いろいろ今日は勉強させていただきまして、どうもありがとうございました。(拍手)

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伊集院礼
今日はありがとうございました。簡単に一言だけ。私はたぶんあと5年くらいしたら若者という枠から外れるような人間かなと思っていますが、その中で、若者だった世代の方にお願いが一つあります。
私は今日、楽観的なことをたくさん言いました。それの根拠としてはすごく簡単なことで、私は2015年からこういった運動をやっているんですけれども、ツイッターとかで個人攻撃がひどかった時期に比べると、必ず今は新しい人がどこの現場にも来て、必ず人が増えて、新しい形の運動が広がってカテゴリーが広がって、そうなってきているから、まだ未来はあるんじゃないかと考えられるんですね。ですから、戦争にどう向き合うか、社会にどう向き合うか、これに対して迷いもあると思います。迷いながら進んでいくと思います。ただ、そういったところを温かく見守っていただいて、様々な社会運動の資源ですとか経験ですとか、そういったものを是非、引き継いでいただければいいかなと思っています。これが私からのお願いになります。どうもありがとうございました。(拍手)

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三宅千晶
戦争とどう向き合うかというところで、私の戦争についての原体験なんですが、5歳の頃に、お祖母ちゃんから原爆の時の話を聴いて、核戦争がとっても怖くて泣いて、クリスマスに「核シェルターを買って」と頼んだんですけれども、当然ながらサンタはそんなものは持って来ないということがあって、その頃に、「これが沖縄戦だ」という写真集だとか、アンジェワイダの「地下水道」とか、何と5歳の時に全部観てしまったとうところが、私にとっての戦争の原体験で、最近「西部戦線異状なし」という2022年版の映画をネットフリックスで観て、改めて戦争というのは日常と戦場の境目なく、平時と戦時の境目なく始まっていって、命令される側は人間としての自由意思なく死んでいくんだなと感じて、私はそんな世界は嫌だと。人の話ではなくて、戦争というのは自分の話であって、他の場所のことではなくて、自分の住んでいるところの話であって、戦争は怖い、死にたくない、明日もまた生きて行きたいなと思うというのが、戦争と向き合うということについて大事な事かなと思いました。以上です。(拍手)

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元山仁士郎
そうですね。戦争とどう向き合うかというところで自分自身の話をしたら、去年亡くなった祖父に1度聞き取りをしたことがあって、沖縄戦の時に、第2護卿(ごきょう)隊という陸軍中野学校直属の部隊に16歳くらいの時に徴兵された祖父なんですけれど、その時に「おじい、何で戦争起きたの」というのを聴いたんですよ。かなり答えづらいし、誰も正解みたいなものが分からない状況だと思うんですけれども、祖父は少し沈黙した後に「そういう教育だったんだよ」と一言だけ言ったんですけれども、その時に、おかしい、反対だ、今の基地があるのもおかしいと思っていながらも、戦争の時に参加せざるを得なかった状況というのは当然あると思うんですけども、その時に何で声を上げられなかったのかというようなことを、これからの世代は思うと思うんですよ。今の台湾有事だとか軍拡するという状況に対しても、じゃあ自分の子供だとか孫だとかもっと未来の世代が、「何で今こういう風なおかしい出来事が起きた時に、今生きている人たちは何もしなかったのか」という問いは、必ず投げつけられると思うので、その時に、私自身が何をしたのか、私が何をしたのか、こういう状況があったからこうだったとか、そういうことじゃなくて、貴方が何をしたのかということに対して自分自身は答えられるような大人でありたいなと思っています。今日はありがとうございました。(拍手)

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船橋秀人
僕はこの戦争について、制度と思想両方必要だと思うんですけれど、思想として一つ、「世界市民」というカントのコスモポリタンと言われる概念から言いますが、あらゆる人間に対して人間性を認めるという概念ですね、これが必要になると思います。どうしてもこれには普遍的な人間の理性というものが必要なんですけれども、今の世界はそこには決して辿り着いていないなと感じています。例えば、これだけロシアのウクライナ侵攻が問題になるのに、アフガニスタンやシリア、ミャンマーは何で問題にならないのか。それから沖縄も同じですね。日本で言えば、入管問題、難民問題に非常に消極的です。こういったことに対抗していけるだけのものが必要です。ですが、思想面で言えば、現代思想は、一部の過激派は懐疑主義、相対主義に陥っていて、今回のロシアによるウクライナ侵攻でも、ウクライナにはウクライナの正義があって、ロシアにはロシアの正義があって難しいみたいなことが新聞の意見覧に堂々と書かれたりしていて、これに対抗できるだけの考え方が必要なんじゃないかなと思います。こういった考えがあるからこそ、曲がりなりにもヨーロッパにはEUという形で平和がもたらされたわけです。さきほど田中さんが言いましたけれど、抵抗権だったりとか人権と言う概念が、もっともっと世界中で広がっていければいいかなと思います。もっと挑戦的に言えば、プーチンにも僕は人間性を認めたいと思います。彼を抱きしめられるだけの強さというが世の中に広まっていけばいいなと思います。以上です。(拍手)

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田中駿介
しかし考えてみたら、「戦後77年、日本はずっと平和だった」と皆さん言うけれど、考えようによっては、今も戦時中かも分からないですね。例えば『弱者に対する戦争』という本が出ました。優生保護法の障がいがある方に対する強制不妊手術、「生産性のない人間は命を作ってはならない」このような発言が政治家から出る、これはまさに戦時中、戦時を思わすような出来事であり、障がいがある当事者からしたら、これは戦争と何ら変わらない、生存が脅かされる現状があるわけです。
私の出身の旭川のいじめ事件という、大変心を痛める事件がありました。教頭が言った一言「あなた一人の命と20人の命のどちらが大事か」と保護者に言った。これは週刊誌に書かれていたわけですけれども、まさに戦争というのは、貴方個人の命と国家の存在、どっちが大事ですかと究極には問う問題なんです。このように、今我々は戦争状態に置かれているんだということを、しっかり認識した上で、どうにかしてこれを変えていくんだと、憲法9条を守れればいいとか、そういう最低ラインではなくて、もうすでに我々は戦争状態にあるんだと、これを絶対変えていかないと我々の生存が脅かされるんだという認識を新たにする必要があるんじゃないかと思いました。本日はありがとうございました。(拍手)

金廣志
今日はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
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(終)

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