今回のブログは、8月5日に開催した明大土曜会での二木啓孝氏(ジャーナリスト)の報告である。
1.シンポジウム「日本の介護は大丈夫か?」の報告
「アクション“介護と地域”」で準備してきたシンポジウムを、7月17日に東京駅近くの貸会議場でやりました。「日本の介護は大丈夫か?」ということでやったんですが、9月に名古屋で大きな大会があり、「地域共生・医療介護市民ネットワーク全国大会」(※文末の会議概要参照)のプレ大会ということで、当日会場には100人少し欠けるくらい、リモートで150人の参加者がありました。昔の左翼集会の主催者発表で膨らませている数字ではないので、むしろ警察発表で、結構集まりました。


(第1部の)基調講演が「地域共生と2025問題~政府の取り組みと課題」ということで、厚生労働省の老健局の課長という、介護分野の改悪を進める張本人が出て来た。よく出てきたなと思います。

第2部は、保坂展人・世田谷区長と、地方議員4人(杉並区議・山名かな子氏、大和市議・渡辺伸明氏、平塚市議・江口とも子氏、北区後・佐藤つかさ氏)と、「2025年問題を地域からどう取り組むか」ということで、保坂さんがすでに世田谷で先進的にやっているので、それをベースにして、地方議員がどう取り組むのかという話です。
それから第3部は「介護利用者と介護現場とのクロストークから2025年問題を考える」ということで、山岸大輔さんというずっと長年(介護)事業所をやったり、アドバイザーをやっている人と、私は98歳の老母を介助しているので、介護する側から介護事業はどうなっているんですか、と僕が聞くような形でした。
会場には介護事業者、ケアマネージャー、看護師などの実務者から、親族を介護する者などが参加し、それぞれの立場から意見が出されました。
「アクション“介護と地域”」では、このシンポジウムを踏まえて、9月の「地域共生ネットワーク」名古屋大会の準備を始めます。
2.介護問題の基礎データ
▼介護保険法と介護制度
何回か明大土曜会で言っているんですけれども、「介護問題って何?」という、介護している側は割と身近なんですが、介護していない方はピンとこないと思うので、「5分で分かる介護問題基礎データ」という資料がありますので見てください。これだけのことを覚えてくださいという最低のところです。
実は私もこう言いながら、全体像は全然分かりません。2000年に介護保険制度がスタートしたんですが、私はこれは画期的だと思っていました。何故かと言うと、介護を抱えるのは全部家庭だったんです。家庭で抱えて、金も全部負担することを、介護保険制度を入れて「国が見ますよ」というので、ものすごく画期的なことで、今の健康保険制度と同じくらいすごいことだと実は思っていました。
ところが数年ごとの改定、改悪で、どんどん悪くなってきた。介護を再び家庭と地域に戻して、「国家は面倒を見ません」という方向に実は動いているということなんですね。つまり親の面倒を看るという健全な家庭というような単位、親孝行家庭を単位としながら、国はそれを一つの単位とした国家を作って行こうという考え。だから、例えば夫婦別姓であったり、LGBTQへ反対するのと同じように、「家族の責任だろう。家族の作り方は男女だろ。LGBTQは家族じゃないよね」というような大きな国家のスタイルと歩調を合わせているなと思うんです。
介護保険法と介護保険制度が何回も改正をされて、実に複雑怪奇。私もよく分かりません。ずっと読んでいて思ったのは、田舎の温泉旅館で増築、増築をどんどんやっていくと、どこが風呂だか分からないみたいな、ああいうようなものが今の介護保険。「増築を繰り返す温泉旅館」みたいなものです。それが実は、負担を増やして国民にはよく分からないようにするのが政府の思うツボなんです。
▼増え続ける高齢者
2022年度の第1号被保険者(65歳以上の高齢者)は3,578万人。このうち75歳以上の後期高齢者が1,833万人で51%と過半数で、これから我々団塊の世代がここに雪崩れ込んでいく。
高齢者世帯は1693万世帯(31・2%)2019年から2・5%増。家庭単位で言うと、3割が高齢化世帯になっている。その中で在宅であったり、通所であったり、老老介護世帯は63・5%です。私は団塊の世代で73歳です。母は98歳ですから、見事な老老介護です。
▼実は黒字の介護保険の財源
どんどん(保険料を)改正しているから、介護保険って赤字じゃないのと思うかもしれませんが、実は黒字なんです。全体の介護費用が13.8兆円で、一方、介護給付費は12.8兆円。実は1兆円の黒字なんです。何で黒字なのに変えるの?ということですが、財務省の財政制度等審議会では、今後足りなくなるから、早く集めてしまえという話になっているということです。
我々の介護保険というのは、ほぼ年金をもらっている人は天引きになっている。企業に勤めている人は給料から天引きなので、取られている感覚というのはない。自営業の人はあると思うんですが、介護保険料がどんどん増えている。2000年のスタートの時は2,900円でした。今全国平均は6,000円です。いつの間にか取られちゃっている。例えば高齢者で年金生活、普通の国民年金だけの人が一世帯大体月額125,000円くらいです。ここから夫婦2人で12,000円取られる。それから健康保険が3,000円くらい取られるとなると、一世帯で介護と健康保険だけで20,000円くらい取られるわけです。何でこんなに上がるの?ということで、こっそり毎回毎回上がっている。この数字は平均です。地域、自治体によって値段が違うんです。何故かと言うと、自治体ごとに自治体総人口割ることの介護保険適用者であることから、高齢化地域では月額8,000円くらいのところが実際にある。
でも、介護保険は毎年1兆円ずつ黒字になっているということです。
介護保険財源は公費負担が50%、半分の50%は我々が負担するということなんですが、公費負担は「国家負担金」5%「国家負担金(定率分)」20%「都道府県負担金」12.5%「市町村負担金」12.5%、25%が国、12.5%ずつが都道府県と自治体なんです。この12.5%というところだけ気にしてください。実はここが大変なことになりつつあるということです。
下のグラフの1号保険が65歳以上で、2号保険というのは40歳からということです。
これは政府統計なので、実態はもっとひどいと思うんだけど、介護職員というのは2023年で233万人、実はもっと少ないんですけれども22万人も不足しています。あと2年後になると、243万人で32万人不足する。簡単です、平均給与が安いから。平均給与は一般給与からすると大体月額7万円低いです。あとは気持ちの優しいところで頑張っているという人が多い。だから介護職員の募集をすると、なかなか来てくれない。訪問介護の有効求人倍率は15.5倍、つまり行く人がいないということです。
▼認知症
次に認知症です。2025年で認知症が675万人(18.5%)、2030年744万人(20%)になるという言い方をしている。政府予測なので実際はもっと増えます。今のところ、ざっくり言って5人に1人は認知症です。それからどんどん増える。3人に1人くらいになる。
健康な人は関係ないけれども、要支援1,2、要介護1,2,3,4,5という区分がある。

要支援というのは、生活支援、介護職員やヘルパさんが、掃除をしてくれたり、ご飯を作ってくれたりという生活支援が要支援。要介護というのは、本人がちょっと出来なくなっちゃったからということで、いよいよ要介護1,2,3と入るんですが、要介護1,2と3,4、5と、この辺に大きな溝というか、ガクッと変わってくる。
要介護2というのは、だいたいどういう状況なのかと言うと、例えば、「手先で細かな動きが難しい」、それから「料理の手順が分からなくてだんだん簡単な料理を作ってしまう」ということもあります。それから「レジで大きなお札ばかり払う」、それから「テレビの内容がだんだん理解しがたくなってくる」、地上波の2時間サスペンスは観られるけれども、映画のスパイものなど込み入ったものは分からなくなってしまう、これは要介護2の状態です。
介護保険がスタートしてから23年が経ちました。
・2000年 介護保険スタート
・2005年 要支援+5段階の要介護→要支援1、2+5段階の要介護に。
これにより要支援サービスが介護保険から市町村事業になり、サービスは市町村の財政事情に合わせることになった。
・2011年 サ高住(サービス付き高齢者住宅)で介護保険が使えるようになり、国はサ高住に多額の補助金(サ高住だけでなく民間有料ホームには介護事業所が併設されて、介護職員、看護師は効率よく仕事ができる⇆?在宅訪問の介護職員は自転車で回るため、移動時間は労賃外)
2014年 要支援1、2の人は市町村の「総合事業」に移され、公共の特別養護老人ホーム(特養)は要介護3以上に。
利用者1割負担が、所得に応じて2割負担。
2017年 ケアマネージャーの指定権限が都道府県から市町村に(市町村の財政事情の顔色を見ざるを得ない)
介護保険利用者の負担割合に3割が導入
介護保険法はずっと変わってくるわけですが、2005年になってから要支援サービスが国から市町村事業になってしまった。金持ちの市町村いいけど貧乏なところではと、「サービスは出来ません」という自治体が現れ始める。サービス支援がだんだんダメになってきている。
それから2011年でサービス付き高齢者住宅、「サ高住」と言うんですが、ここで介護保険が使えるようになった。「ああいいね」と思ったんですが、「サ高住」を建てる時に国から6割くらい補助が出るんですね。だから「サ高住」とか介護施設がものすごく増えた。何で増えるかと言うと、補助が出ます。入った人が要介護3,4となると、余介護2で月額25万、要介護4で45万くらい、だから入所者が増えれば儲かるということで、実は介護保険はこういう「サ高住」や有料老人ホームなんかで食っちゃっているわけ。ここにも看護師さんとか介護職員がいるわけですが、この介護事業所の横に「サ高住」をくっつけちゃうわけです。そうするとどういうことになるか。今介護職員というのは、例えば地域で言うと、自転車で移動しているわけです。ところが、自転車で移動している時間は給料に入らない。そうすると、「サ高住」がすぐ横にあるから効率がいいから、ここの職員は増えてくる。だから地域の事業所はどんどんダメになっていく。
さきほど言った要支援1,2の人は、市町村の「総合事業」にという言い方になっています。この「総合事業」というのはクセ者なんですね。在宅利用者で認知症の人というのは、実は身体は元気なんですね。だから身体は大丈夫だけど、頭はボケているという人が要支援1,2なわけです。そうすると、ボケ老人で動き回るわけだから、ご飯を作るといってもいなくなっちゃう。そうすると、そういうのを探すお金がないから、市町村はだんだん「認知症の人を看るのは嫌だ」となってくる。これが「総合事業」の実態なわけです。
2024年の介護保険法改定で今議論しているんですが、要介護1,2、日常誰かといないと暮らせない人を地域支援事業(総合事業)に入れてしまおう、利用者の負担は今は大体1割から原則2割にしようというのがあります。
これについて言うと、ケアマネ団体が、要介護1,2を地域支援事業にということに猛反対、ケアマネの団体の8割が意見書を出して反対して、シンポジウムに来た世田谷区の保坂区長が区議会で反対と言ったおかげで、出来なくなってきている。今のところは2027年にやろうしている。2027年になればいっぱい介護を受ける人がいるから、大変だから2割負担にしてしまおうという状況になってくる。
▼介護施設の職員配置
介護施設の職員配置を3対1から4体1に。簡単に言うと、被介護者3人に1人の介護職員が付くのが3対1なんですが、この3対1というのは、細かく見ると、ユニットと言って、例えば12時間働いて次は4時間働いてというシフトのローテーションが決まっていて、365日やるということになると、3対1では足りないんです。実際このシフトを組むと、
10人から20人の介護を受ける人を1人で看るような感じなんです。これを今後、3対1を4対1にする、介護をする人が少ないから、募集しても来ないから、政府は4人に1人にしようとする。そこで出てきたのがITと監視カメラなんです。ロボットで出てきますよ、カメラを付ければ異常が分かりますよ、と。もうこうなったら介護じゃなくて監視ですよ。介護の人数を減らして、介護報酬全体を下げる、そういう考え方です。
▼私たちは何故“地域と介護”と言っているのか
実は政府はもちろん、野党もあてになりません。何故かと言うと、この複雑怪奇な改正介護保険法は厚労省と財務省が原案を作るわけです。私も半年にわか勉強しましたが、訳が分からない。それを政府が案として提出して国会の委員会で議論するんですが、答弁は厚労省と財務省の担当の役人が答弁するわけです。それに対抗する知識がないとダメなんです。野党議員もよく分からないから「金がかかるのでは」「社会保障費を増やせ」とか、内容抜きにトンチンカンな質問ばかりしている。最後は賛成採決。
一つの例を挙げると、国会議員700人のうち、介護辞職や介護休暇をとった議員は皆無です。理由は簡単です、男社会だから。議員がカミさんか家族に押し付けて天下国家を論じている。今は女性議員で育休を取る議員は増えてきたけれども、介護休暇はゼロです。そんな連中が言えるのは、「総額が増えた」とか「もっと減らせ」とかそんな話ばっかり。私も知り合いの野党議員と話していても「それってどういうこと?」と逆に質問される。「バカか!」と思う。だから介護問題については、国会には全く期待していません。
▼介護が地域と家族に押し付けられる。だったら、ここから反撃しようではないか
介護は地域と家族に押し付けられる。だったら、ここから反撃しようではないか、というのが、我々が細々と立ちあげた「アクション“介護と地域”」ということなんです。
当面、問題意識のある地方議員の選挙を支援し、連絡網を作って、大言壮語をすれば、全国の介護に関心のある地方議員のネットワークを作りたいということなんです。
あと2~3年後は、我々は介護される側になります。だから、我々が「介護される側」になるまでにこの運動のメドをつけて、若い世代にバトンタッチしたい。
「出でよ、介護に詳しい地方議員!」そんなことを考えながらやっているということです。
▼「アクション“介護と地域”」の会員になりませんか
会員になってください。年間2,000円払って協力・参加してください、ということです。何の特典もありません。明大OBの土屋源太郎さんも賛同人です。89歳で奥さんの介護をやっています。
「アクション“介護と地域” 」の会員になりませんか
<賛同人>
前川喜平氏(前文部科学省事務次官)、高野孟氏(ジャーナリスト)、三好春樹氏(生活リハビリ研究所所長)、石坂啓氏(漫画家)、辻恵氏(弁護士、10・8山﨑博昭プロジェクト事務局長)、中川智子氏(前宝塚市長)、小沢遼子(元ベ平連-元浦和市議)、土屋源太郎(「伊達判決を生かす会」共同代表)
<私たちの考え>
3年後の2025年、700?800万人の団塊世代が全員「後期高齢者」となり、医療.介護に大きな負荷をかけると懸念されています。
この「2025問題」に対し、国は介護保険制度の改悪に向けて、「全世代型」と言いながら、“高齢者は高齢者同士で面倒を見ろ”という方針です。
私たちは、当事者として自分の老後は自分で決められる、真っ当な「全世代型」の風通しのよい社会を次世代に残してから逝くべきだと考えています。
<具体的な活動>
▼介護保険の歴史的改悪(2024年施行)に反対する
▼地方議員と連携して、地域に高齢者の居場所と出番をつくる
▼介護事業者と介護職員を支援していく
▼介護利用者、認知症、ハンデキャッパーに優しいまちづくりの支援
▼自分たちの老後は自分たちで決める社会を次世代に残す
▼会員に定期的な会報を発信する
<参加費>
一口 2 0 0 0円(年間)
三菱UFJ銀行神楽坂支店(052 )普通1024219アクションカイゴトチイキ マエダカズオ
<連絡先>
千代田区飯田橋4-10-1-507アクション“介護と地域”事務局 前田和男
aef00170@nifty. com
お名前、住所、メールアドレス、連絡先(携帯番号など)を明記してお申し込みください。
※「地域共生・医療介護市民ネットワーク全国大会」のご案内
【団塊/全共闘世代の未来と課題Ⅲ~当事者の視座から「2025年問題」を考える~】
●共催:大会実行委員会/続全共闘白書編纂委員会
●日時:9月18日(祝日)13:45~15:45
●会場:ウィンクあいち(愛知県産業労働センター、名古屋駅前)
●概要
来る9月17日、18日、「愛と平和がつくる地域共生社会」をテーマに、「NPO地域共生ネットin名古屋第2回全国の集い」が開催されます。詳細は以下をご覧ください。
その一環として、2日目の18日、団塊世代全員が後期高齢者になり医療介護を逼迫するとされる「2025年問題」を、当事者の視座から考える以下のシンポジウムを実施します。
●パネリスト 上野千鶴子(社会学者、東京大学名誉教授)
高口光子(元気がでる介護研究所)
三好春樹(生活とリハビリ研究所 代表)*白書回答者
畑恒土(医師、あいち診療会)
当事者報告 干場革治(東大三鷹クラブ世話人)*白書回答者
アンケート報告 前田和男(続全共闘白書編纂委員会世話人)*白書回答者
コーディネーター 二木啓孝(ジャーナリスト)*白書回答者
現地会場へお越しの方は2000円の参加費で、本シンポジウムを含むすべてのプログラムに参加いただけます。
本シンポジウム終了後には会場近くで懇親会を行います。(現地でシンポジウムに参加の方は2000円割引します。)
なお、オンライン参加は無料です。
以下のURLから詳細をご確認の上、お申込みください。
(終)
【『はたちの時代』の紹介】
重信房子さんの新刊発売!
『はたちの時代』(太田出版) 2023年6月16日刊行
前半は66年から68年までの明大学費闘争を中心とした時期のこと(この部分は私のブログに「1960年代と私」というタイトルで掲載したものです)。
後半は69年から72年までの赤軍派の時期のことが書かれています。
定価 2,860円(税込
本のアマゾンリンクはこちらになります。
「模索舎」のリンクはこちらです。
江刺昭子さんによる本の書評(紹介)です。(47ニュースより)
https://nordot.app/1051909235439075336?c=39546741839462401
「あとはき」より
『ここに書かれた記録は、ごく日常的な私自身の身の回りで起こったことを率直に書き記したものです。その分、他の人が書けば全く違った関心角度から違った物語がこの時代のエピソードとして描かれることでしょう。私は獄に在って、何度か癌の手術を繰り返していました。生きて出られないことがあっても、支えてくれる旧友や、見ず知らずの方々にお礼を込めて、私の生き方、どんなふうに生きてきたのかを記録しておきたいと思ったのが、この記録の始まりです。私がどのように育ち、学生運動に関わり、パレスチナ解放闘争に参加しどう生きて来たのか、マスメデイアでステレオタイプに作り上げられた私ではなく、生身の私の思いや実情を説明しておきたくて当時を振り返りつつ記して来ました。獄中と言うのは、集中して文章を書くのに良いところで、ペンをとって自分と向き合うと過去を素直に見つめることが出来ます。楽しかった活動や誇りたいと思う良かった事も、間違いや恥かしい事や苦しかったことも、等しく価値ある人生であり私の財産だと教えられた気がします。(中略)どんなふうに戦い、どんな思いをもって力を尽くし、そして破れたのか、当時の何万という「世の中を良くしたい」と願った変革者の一人として、当時の何万と居た友人たちへの報告として読んでもらえたら嬉しいです。また当時を若い人にも知ってほしいし、この書がきっかけになって身近に実は居る祖父や祖母たちから「石のひとつやふたつ投げたんだよ」と語ってもらい、当時を聴きながら社会を知り変えるきっかけになれば、そんな嬉しいことはありません。
いまの日本は明らかに新しい戦争の道を進んでいます。いつの間にか日本は、核と戦争の最前線を担わされています。そんな日本を変えていきたいと思っています。決して戦争をしない、させない日本の未来をなお訴え続けねばと思っています。なぜなら日本政府が不戦と非戦の国是を貫くならば日本の憲法には戦争を押しとどめる力があるからです。はたちの時代の初心を忘れず日本を良い国にしたい。老若男女がこぞって反戦を訴え支える日本政府を実現したいと思います。』
目次
第一部 はたちの時代
第一章 はたちの時代の前史
1 私のうまれてきた時代/2 就職するということ 1964年―18歳/3 新入社員、大学をめざす
第二章 1965年 大学に入学した
1 1965年という時代の熱気/2 他人のための正義に共感/3 マロニエ通り
第三章 大学生活をたのしむ
1 創作活動の夢/2 弁論をやってみる/3 婚約/4 デモに行く/5 初めての学生大会/6 研連執行部として
第二部 明治大学学費値上げ反対闘争
第四章 学費値上げと学生たち
1 当時の牧歌的な学生運動/2 戦後民主主義を体現していた自治会運動/3 話し合いの「七・二協定」/4 田口富久治教授の嘲笑
第五章 自治会をめぐる攻防
1 スト権確立とバリケード――昼間部の闘い/2 Ⅱ部(夜間部)秋の闘いへ/3多数派工作に奔走する/4 議事を進行する/5 日共執行部案否決 対案採択
第六章 大学当局との対決へ
1 バリケードの中の自治/2 大学当局との激論/3 学費値上げ正式決定/4 収拾のための裏面工作/5 対立から妥結への模索/6 最後の交渉と機動隊導入
第七章 不本意な幕切れを乗り越えて
1 覚書―二・二協定の真相/2 覚え書き(二・二協定)をめぐる学生たちの動き
第三部 実力闘争の時代
第八章 社学同参加と現代思想研究会
1―1967年 一 私が触れた学生運動の時代/2 全学連再建と明大「二・二協定」/3 明大学費闘争から再生へ
第九章 社学同への加盟
1 社学同加盟と現代思想研究会/2 現思研としての活動を始める/3 67年春、福島県議選の応援/4 今も憲法を問う砂川闘争/5 あれこれの学内党派対立/6 駿河台の文化活動
第十章 激動の戦線
1 角材を先頭に突撃/2 10・8闘争の衝撃/3 三里塚闘争への参加/4 68年 5月革命にふるえる/5 初めての神田カルチェラタン闘争―1968年6月/6 68年国際反戦集会の感動
第四部 赤軍派の時代
第十一章 赤軍派への参加と「七・六事件」
1 激しかったあの時代/2 1969九年の政治状況/3 4・28縄闘争/4 赤軍フラクション参加への道/5 藤本さんが拉致された、不思議な事件/6 7月5日までのこと/7 69年7月6日の事件/8 乱闘―7月6日の逆襲/9 過ちからの出発
第十二章 共産主義者同盟赤軍派結成
1 女で上等!/2 関西への退却/3 塩見さんらの拉致からの脱走/4 共産同赤軍派結成へ
第十三章 赤軍派の登場と戦い
1 葛飾公会堂を訪れた女/2 「大阪戦争」/3 「東京戦争」/4 弾圧の強化の中で/5 支えてくれた人々/6 前段階蜂起と組織再編/7 大敗北―大菩薩峠事件/8 初めての逮捕――党派をこえた女たちの連帯
第十四章 国際根拠地建設へ
1 前段階蜂起失敗のあと/2 よど号ハイジャック作戦/3 ハイジャック闘争と日本委員会/4 深まる弾圧――再逮捕/5 思索の中で
第五部 パレスチナ連帯と赤軍派との乖離(かいり)の中で
第十五章 パレスチナ連帯の夢
1 国際根拠地パレスチナへ/2 赤軍派指導部の崩壊/3 森恒夫さん指導下の赤軍派/4 パレスチナへの道
第十六章 パレスチナから見つめる
1 ベイルートについた私たち/2 統一赤軍結成/3 アラブの私たちー―赤軍派との決別/4 新党結成の破産/5 アラブから連合赤軍事件を見つめて/6 連合赤軍の最後とアラブの私たち/7 新たな変革の道を求めて
【お知らせ その1】
「続・全共闘白書」サイトで読む「知られざる学園闘争」
●1968-69全国学園闘争アーカイブス
このページでは、当時の全国学園闘争に関するブログ記事を掲載しています。
大学だけでなく高校闘争の記事もありますのでご覧ください。
現在17大学9高校の記事を掲載しています。
●学園闘争 記録されるべき記憶/知られざる記録
このペ-ジでは、「続・全共闘白書」のアンケートに協力いただいた方などから寄せられた投稿や資料を掲載しています。
「知られざる闘争」の記録です。
現在15校の投稿と資料を掲載しています。
【お知らせ その2】
ブログは概ね2~3週間で更新しています。
次回は9月15日(金)に更新予定です。