【読者の皆様へ、第638号より、今年6月より共同管理人になりました東京大学大学院・田中駿介が共同執筆人に加わりました。自己紹介は次回以降いたします。何卒よろしくお願いいたします。】
東京大学では授業料の引き上げが検討されており、上限まで引き上げた場合、年間で約10万円以上もの増額となる可能性があるという。現在、東京大学の授業料は年間53万5800円だが、特別な事情がある場合、文部科学省の省令により各大学は最大120%まで引き上げることができる。引き上げが実施されると、授業料は年間64万2960円となる。
東京大学では授業料の引き上げが検討されており、上限まで引き上げた場合、年間で約10万円以上もの増額となる可能性があるという。現在、東京大学の授業料は年間53万5800円だが、特別な事情がある場合、文部科学省の省令により各大学は最大120%まで引き上げることができる。引き上げが実施されると、授業料は年間64万2960円となる。
報道によると、国立大学では授業料の引き上げが相次いでおり、東京工業大学や東京藝術大学、一橋大学、東京医科歯科大学など、複数の大学がすでに授業料を引き上げているようだ。
こうした動きに抗うべく、6日、学生が主体となった「全学集会」が開催され、引き上げ案の撤回や学生への情報開示を求めることを決議された。聴衆は、会場の外にまで溢れていた。
少し時代を遡ってみよう。後に60年安保を闘うことになる共産主義者同盟(安保ブント)は、1958年に結成されたが、当時の学費値上げに対する反対運動においても中心的な役割を果たした。当時、国立大学の授業料は年間約9,000円であった。
学費の経済的負担の推移を理解するために、国の認許可が必要な他の公共料金との比較をしてみよう。例えば郵便料金を例にすると、1953年には葉書の料金が5円、1958年には10円、1975年には20円であった。2024年には葉書の料金が63円に達している。1958年の授業料9,000円は、葉書900枚分に相当するが、2024年の授業料642,960円は、葉書1万枚分を優に超える。このことからも、学費の実質的な負担が、物価上昇を大幅に逸脱しており、また、どれほど増加したかは明らかである。
こんどの運動は、過去の運動の歴史と理念を継承しつつも、必ずしも教員や党派間との対立構造をとらない形で展開されているようだ。現代の社会状況に適応した新たなエンパワメントの形が模索されていることは心強い。こうした動きに連帯の意を表したい。【文責・田中駿介】
コメント