今回のブログは、8月2日に開催した明大土曜会での二木啓孝さん(ジャーナリスト)と 前田和男さん(ノンフィクションライター)による2025年参議院議員選挙をめぐる「選挙放談!」である。
お二人には、いつも選挙の後に総括的なお話しを伺っているが、当日はお二人とも所用があって出席できなかったため、事前にお二人の対談の様子を録画していただき、その映像を観るという形式をとった。

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今回の参議院選挙は、自公与党の過半数割れ、国民民主党と参政党の躍進など、大きな話題となった選挙であったが、選挙に詳しいお二人の見方はいかに?

【2025年参議院議員選挙をめぐる「選挙放談!」】
二木啓孝さん(ジャーナリスト) × 前田和男さん(ノンフィクションライター)
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二木さん
はい。参議院選の総括ということで、前田さんとお話をしてみたいと思います。
前田さん
毎度お馴染みです。選挙のたびに。

●参政党の躍進
二木さん
いくつかポイントを絞ってやりたいと思うんですが、まず参政党の躍進といいましょうか、やっぱり相当伸びて14議席という・・・
前田さん
これすごいですよね。参政党は結成して5年間ぐらいでしょ。
二木さん
うん。
前田さん
それで、私も当初、これはどうせ要するに風が吹いて、新自由クラブからずっとあるわけじゃないですか、いわゆる新党ブーム、日本新党とか。そのうちの右寄りのものだと思ってたら、たまたま僕の知り合いの元国労の活動家で反戦青年委員会のそれがね、故郷の岡山の田舎町に帰って町議をやってたわけですよね。そうしたら「前田さん、実は自分のやってる研究会」、真面目な研究会なんですよ、山田正彦だとか鈴木宜弘とか何か呼んできて農業問題と何とかとかさ、「そこに新しい子育てママみたいな人が来る。ところがこの人は何か新しい政党の支持者らしいんだよね」と言うんだよね。「それ俺聞いてるよ。参政党っていうのがある」と。「そうです」と。俺は「どうせこんなの一過性だ」と言ったら「違います」と。「全然かつて見たことないもので、これは何か化けるかもしれない」と言われた。それは当たっていて、やっぱりそうなったということだよね。だから単に右寄りというか、そういうことではなくて、なおかつ普通の今まで選挙に行ったことがないような、しかし、何だろうな、専業主婦やってるぐらいのそこそこお金持ちっていうね、興味あるのは環境とかね、そういうことだな。ちょっとコロナが重なったときにポンと跳ねたっていう感じはしますけどね。
二木さん
僕は選挙期間中、日陰を探しながら3回くらい見に行ったんですけど、やっぱり異常な盛り上がりよね。やっぱりすごかったのは、炎天下の中にベビーカーを押した人が来てるっていうね、というようなことは何だろうかなっていうことで、それで私は・・・
前田さん
候補者も割とそれに繋がるような、女性が圧倒的に立候補者が多かった。
二木さん
僕は「参政党って何か」と言えば、食べ物のバウムクーヘンです。いろんな層にわかれていて。外側は例えば反ワクチンだったり、自然保護であったり、有機物を食べようみたいなところから入っていくっていう、そういうバウムクーヘンの表面で甘いところをみんなが食べて行く。しかし、芯の部分はとんでもない国粋主義だよね。あの憲法を読んで、「何これ」みたいな。参政党のバウムクーヘンの芯は、国粋主義というか排外主義の塊。ところがこのバウムクーヘンの外側は「自然のものがいいよね」というふうなところで支持者が食いついている。しかし、もう少し掘ってみて、例えば「外国人が増えて日本は住みにくい」とか、実際は間違いないんだけども、そういうようないろんなところから外側の甘いところを食っていく。その甘いところをどんどんどんどん彼らが作ってきている。街頭演説を聞いている若者をつかまえて「君は新憲法(参政党の憲法草案)を読みました?現行憲法とどこが違うの?」「さあ?」みたいな話になるのは、彼らはこの芯のとこじゃなくて、この周りの耳あたりのいい部分に、国民のもやっとした不満をいいようにいろいろコーティングしたのが実は参政党だと思う。
前田さん
バウムクーヘン、なかなか言えて妙だと思います。だから組織論が今までの政党と違うんだよね。例えば僕なんかずっと左派だから、例えば日本共産党であれば綱領があるでしょ。綱領論争やるわけ。社会党ですら綱領を巡って云々だよね。自民党も一応それらしきものがあるわけですよね。
二木さん
だけどそれが実はない。あるんだけども、そこまで、みんなたどり着かない。それともう一つ、その元国労の人の話が出たけど、圧倒的に強いのは地方組織です。
前田さん
そうなんだよ。
二木さん
300ぐらい支部があって、151人参政党の地方議員がいるわけ。
前田さん
ここがかなり肝なところで、鹿児島だって三つ巴だからね。新潟とか群馬なんか、もうひょっとしたらあの首相を出したところがひっくり返ったかもしれない。だからやっぱり、これまでの新党は全部都会なんですよ。新自由クラブとか日本新党とか。これはね、「れいわ」も多分そういうとこあるかもしれないけれども、確かにそこは。
二木さん
そういうところで言うと、自民党が出ます、野党が出ます、参政党は出ます。勝てやしないけども、比例の票を積み立てていって、比例で7人通るという、この基本組織ということで言えば、党員数が今8万3000人ぐらいいるんですね。党員数でいうと、立憲を超えるからね。
前田さん
立憲は僕も立憲のサポーターなんです、実は。でも幽霊サポーターなわけ。だからその数が10万超えたとか、自民党が100万超えましたと言っても、それは全然もう足腰がない幽霊ばっかりだから。それが実態。
二木さん
みんなオレンジのジャケット着てビラ配る仕事で、僕は数字というのは非常に気になっていて、昔ヤクルトおばちゃんって言ったよね。今ヤクルトレディって言うんだけど、これ5万人いたわけ。5万人いるのは何かっていうと、全国津々浦々にヤクルトを配ばれた。「5万人の壁」なんです。これを継続的にやることによって、ヤクルトは全国組織になった。
それを超える形で参政党は地方議員と党の地方党員の足腰があるという意味で言うと、私はね、自民党の安倍派の好きなやつが流れたとかって、それは一部はあると思う。
前田さん
一部はあると思うけど違うね。ああいう総括がテレビとか大手マスコミでやってるけど、基本的に間違っているよね。
二木さん
これ私も含めてなんだけど、政局とか政治っていうのは国会中心に半径2キロでしか見ないんだけども、全国に広げたら、それはね、政治部記者はほとんど見てないから「何これ」ってなるわけでね。これが出てきたということで言うと、いわゆる新しい政党とか、それから第三極とはちょっと違うなっていうふうな感じを持ってますね。
前田さん
もう一点付け加えると、やっぱり多分岩盤保守層から行った云々は若干あったかもしれない。あともう一つはアクティビスト、活動家は「れいわ」の一部が多分行ってます。私は「れいわ」の選挙をずっとやってたから、どうも「れいわ」に飽き足らないというか、どうも「ぬるいな」という感じで行ってる人はいます。しかしね、僕は多分票を入れた人間は、今まで選挙の「せ」の字も知らない、行ったこともない、初めて行きました。それも18歳で選挙権を取ったから行きましょうじゃなくて、30歳、40歳になっても行ってないようなのが「行くか」と。これが結構今回の投票率の問題をどう考えるかですけど、この部分が相当数というか、かなりここに行ってる。
二木さん
我々は無党派層とかって言うけど、そうじゃなくて、今まで無関心層で、投票に2枚の紙があることも知らなかったっていう人たちが視えた。だから無関心層をぐっと引き付けたという意味で言うと、「れいわ」が3年前が230万票だったんだけど、今度380万票に伸びてるんだけれども食われてるね。
前田さん
そうだね。本来ならここの勢いでいけば、あと100万200万票取れますっていうのは、僕は中で選挙やったからみんなそう思ってたわけ。ところがそれは完全に頭打ちになった。
二木さん
だからそれで言うと、去年とかここのところ出ている、例えば、石丸新党とかも消えちゃいました。ネットだけだよね、立花なんかもネットだけ。参政党はあえて言えば、ネットとどぶ板選挙でね。
前田さん
やっぱり空中戦と地上戦の結合してる組織論を持ってるから、それはちょっとね、消えるとかいう説も多々あるようだけども、僕はないと思いますよ。これは相当行ける。

●伸びきれなかった「れいわ新選組」
二木さん
「れいわ」に一言。
前田さん
「れいわ」は結局どうなんだろうな。やっぱりどっかでね、今回の外国人問題を問い詰められて、「やっぱり変な外国人は困るね」みたいな話になっちゃうわけだよね。あそこはやっぱりそこのところは失敗だったなと思うけど、やっぱり例の消費税の財源問題ね、これをちゃんときっちり説明し得てない。例えば松尾匡が後ろにいて、要するにいろいろ言ってるんだよ、MMT理論は。でもやっぱり、一方で将来世代がどうのこうのと言ったときに、ここをちゃんと説明しきれないとやっぱり駄目だね。
二木さん
参政党を私はバウムクーヘンって言ったんだけども、「れいわ」の場合はバウムクーヘンの芯、真ん中は山本太郎が1人で、あとは結構似てるんだよね。MMTにしてもね。似てるから、「れいわ」よりも参政党に行った人がいる。「れいわ」は伸びたけども、やっぱり伸びきれなかったと思っています。

●立憲民主党は駄目か?
二木さん
立憲民主党。実は私は選挙の度に立憲民主に入れる。「しょうがねえな」と思いながら立憲民主しかないなと思うんですが、ますますやっぱり立憲民主は駄目だなって、衆議院で140持ってるくせに何もやらないっていうね、何を考えてんだろうっていうね、はっきり言うと野田は交代した方がいいよと思ってるんだよ。やっぱり内閣不信任案を出すってのは当たり前でしょうと。通る通らないんじゃないんだよね。やっぱり野党第一党ってのはやっぱり石を投げ込んで波紋を起こすっていうことが必要で、だんだんあのおっさんは勝ち負けを考えて・・・
前田さん
野田は自分が首相になれる目が出てくるんじゃないかなと腹の中で思ってるんですよ。
二木さん
というようなところで言うと、「頑張れ」と言いつつ「ちょっとな」というね、土曜会の皆さんもじりじりして見てると思うんですが。
前田さん
土曜会に立憲の支持者、結構いるのかしら。立憲はやめた方がいいと思いますよ、もういい加減。
さっき二木さんが言っていた足腰の問題、5万の壁。やっぱりここがどんどん細ってるんです。民主党ができたときに、その母体となった社会党はまだ足腰があったんです。労働組合なり連合が強かったから。でもほとんどタンチョウヅル。上だけ赤いっていうか、タンチョウヅルにどんどんなっていって、ますます足腰が細ってるということですね。それで国民民主は、連合は腐ったといえども組織率が2割切ってるとかあるけども、一応活動家は若干いると、足腰は若干あると。
二木さん
立憲民主で江田さんが出たときに、前原さんが代表になって、何かの話をしていて、取材が終わった後、今後の提言として「県連組織を作ってくれ」と、各県連の。「自民党は何だかんだ言っても、中央がヘロヘロでも、やっぱり県連が強くて、市町村県という積み重ねの中に議員がいることで実は自民党は強いんですよ」と。だから風が吹いて中央が駄目だからっていうことで離れることは離れるんだけども、やっぱ足腰が強い。そうだったら県連を作ってくれって言ったんだけど、全然できてないですね、全然できてない。
前田さん
これから作るしかないでしょうね。
二木さん
だから敵失で政権を取るってまだ考えてるっていうね、こんなの今シーズンのプロ野球のヤクルトと一緒だよね。

●国民民主党と連合
二木さん
国民民主党。国民民主どうですか?
前田さん
いやあ、ここもあれでしょ。こここそがやっぱり自民党の票を食ったところだと思いますよ。一方で繰り返しになるけども、一応腐っても連合だから、その連合の主力はほとんど国民民主だから、実際動くのは国民民主。例えば一番はあれですよ、電力総連、電機連合。要するに原発企業と、そこはやっぱり、もちろんそれを繋ぐ財界があってということでしょう。やっぱりここを潰してはならんというか、それは当然財界の方にもあると思うし、やっぱり権力の側が願わくばと思ってるのは、やっぱり国民民主が入るような政権を望んでるんじゃないかしら。
二木さん
さっき前田さんが腐っても連合って言ったけど、腐ってますね。我々働く者の連合の組織率は16.5%です。その他は非正規なんですよ。この非正規の中の、いろいろなんだけども、非正規の4割がもう非正規で連合とは関係ない。この非正規の4割の中の7割は女性なんです。ところがあのおばちゃんは、何か働く者の代表みたいな顔してさ、政労で賃上げ決めようなんてとんでもないというふうに思ってるわけね。ただ、国民民主がくっついてるのは、選挙になるとビラを撒いてくれるは、ポスターを貼ってくれるってのは、やっぱり連合の組織は強いっていうのがあるし、でもね、僕は去年から国民民主を見ててずるいなと思うんだけど、「年収の壁」とか、何か一つのことを突き出して、それをやったら予算を飲むよと言うわけですね。これは今度の本予算のときは「高校無償化」で維新が乗っかってたんだけど、大変なことなんだけど、5兆円ぐらいの話で、それを飲むんだったら、115兆の予算を飲みますよって、これ政党じゃないでしょ。だから結局「やったやった」っていうね、漏れ伝わると、石破は玉木のこと大嫌いだと言うんだよね。どんどんこっちが譲歩して何とかってやったら「俺の手柄だ」っていうね。だからそういう意味では、玉木が連立組みますかって言われたら、「石破政権とは組まない」って言ったんです。嫌われているのが分かってるから。だからこれは早く潰れた方がいいと思ってるということなんです。

●自民党の石破おろしの行方は?
二木さん
最後に自民党です。
前田さん
僕はあんまり自民党にお付き合いがない。
二木さん
はっきり言います。僕は「頑張れ石破」です。去年の秋からほとんど何もやってないし政治観もないし、でもあのときに言ってた、言ってみれば政治と金、裏金の問題とか、それから新しい形の安全保障の組み方っていうのは、彼なりに考えてきたわけなんで、それをやろうと思ったら、もう自民党の中から羽交い締めにされるわで、それに対する腹がはらわた煮えくり返ったような思いがあって、そういうようなことで選挙前に僕の極めて石破に親しい人に聞いたら、とことんやると。その人が言ったのは、「あなた5回目に挑戦をして、総理総裁になったんだけども、後がないからかずっとやれよ」というふうに言った。「わかりました」と言ったということの中で、あの踏ん張りはずっと最後までやるんだろうなと思ってる。さりながら、自民党の中で「わーわー」けしからんと思うんだよね。裏金議員たちがどの口で言うかっていうね。お前らだろうがっていうのがあって、そのどの口で言うかっていう連中がタッグを踏めばみんな石破おろしが入ってくるっていうね。そういうような形でいうと8月、8月1日から5日まで臨時国会です。その後、9月からのいわゆる秋の臨時国会で財源給付の問題をとするかっていう問題だし、これはガソリン税の暫定税率の廃止は一応OKをしたということなんだけど、本ちゃんの消費税をどうするのか。財源の問題だって、どこも言わないわけ。金が余ってるみたいなことは言わない。それしか言わないっていうね。そんなのは逆に自民党石破の踏ん張りどころっていう。石破について僕は踏ん張って8月の末まで。これをしのげば9月に秋の臨時国会を石破首相でやるんじゃないかなといういささか石破寄りではありますが、どう?
前田さん
イヤー確かにジレンマだよね、ある種の。自民党にとってみれば石破おろして、本当は解散したくないけど解散なんかになっちゃったら、仮に高市だったらボロ負けしますよ。しかし石破をおろしたいと思う、究極のジレンマでね。かといって、野田もさっき言ったような形だから、野田自身が要するに不信任案を出せるような根性がないわけだから。国民民主はぐちゃぐちゃの状態で抱きついてポストを取るか、場合によっては玉木が首相と、こういうかつて自民党が政権維持するためにいろいろあったわけだから。だから、一部では国民民主は高市と組むとかっていう、あり得ないような、政治路線的には、こんなのがあるわけだから、わかんないんだよな、どうなっちゃうか。
私としてはもうとにかく、今こそチャンスだから、やっぱり僕は解散総選挙でね。やっぱりとりあえず当面も応援してるれいわ新選組がもう一つ何とかならないか、テコ入れしてもらったら、もうちょっと愛想よくしてもらって。
やっぱり参議院選挙が前哨戦なんでね、やっぱりこれは政治がなり大きなものになる可能性が高いというふうに私は思いますけども。
二木さん
参議院選挙の結果というより、参議院選挙が積み残した新しいものがこれから続くということなんで、おそらく、次の土曜会では政治が動いてるだろうなということで。
前田さん
二木先生の希望的な予測が当たってるか当たってないか、大体次の10月何日の土曜会でわかりますからね。

●本の宣伝
二木さん
ここからはコマーシャルです。
前田さん
私の方から。今日はそもそも、私が二木先生がいろいろあって行けないから、私1人で選挙総括しようと思ってたら、私も急用があって行けなくなっちゃって申し訳ありません。こういう形になったんですが、最近本を出しました、立て続けに。そのうち一番新しいのは『カチューシャとウクライナ戦争』という本です。
あのカチューシャからですね、ウクライナ戦争の過去現在未来を読み解こうということです。どうぞお買い求めください。
二木さん
8月に、こういう本を編集しました。『昭和20年生まれからキミたちへ』という本です。サブタイトルが「私たちは戦後80年をこう生きてきた」という10人のインタビューです。これは「もう80歳なの」という人たち、落合恵子さんとか池沢夏樹さんとか、大谷明宏さんとか扇ひろ子さん。私は知らなかった。扇ひろ子さんは広島で被爆をしてたっていうね。坂田明さん、サックス奏者。佐高信さんという10人の戦後生まれ、敗戦のときに生まれたというようなことで、これが売れれば第2弾を出したいなと思ってます。僕らより四つ五つ六つ上なんですが、全然住む世界が違って、その思いを持ってるということを改めて知らされたということです。
ということで前田さんと私の「ジジイ放談」ありがとうございました。
(終)

【「カチューシャ」とウクライナ戦争】の紹介

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『「カチューシャ」とウクライナ戦争』(彩流社)定価2,200円 (税込)前田和男 著
日本では青春のラブソング、独ソ戦では戦時愛国歌謡、現在では北朝鮮兵士がロシアで歌うカチューシャの歴史を読み解く歌謡社会学

『昭和街場のはやり歌』(彩流社)の続編で、ロシア歌謡の「カチューシャ」からロシアのウクライナ侵攻の行方を読み解く試みです。

白井聡氏から推薦をしてもらいました。

たとえば、以下のエピソードから、ウクライナ侵攻の決着を占います。

▼「カチューシャ」はスターリン体制下で生まれ、ヒトラーとの壮絶な「大祖国戦争」を鼓舞した「軍歌」であり、「スターリンの死のオルガン」と恐れらたロケット砲の愛称でもあった。

▼2022年2月ロシアのウクライナ侵攻の半年前、東京五輪で「国歌」代わりに要求しIOCから「愛国的」として却下された歌、それは「カチューシャ」だった。

▼ウクライナ侵攻から1年1か月後の2023年3月22日、モスクワ中心部に近いルジニキ競技場に若者や軍人など20万人が参加してウクライナへの軍事行動を鼓舞する大規模集会が開催。その冒頭を飾ったのは兵士たちによる「カチューシャ」の大合唱であった。

▼「中国の人気歌手の王芳がロシアの攻撃で占領されて廃墟となったウクライナ東部のマリウポリ劇場を訪れ、『カチューシャ』を熱唱し、それをインターネットに投稿した」

▼2019年。「如意(ルーイー)」と「丁丁(ディンディン)」のつがいのパンダがモスクワ動物園へ。そして、ウクライナ侵攻がはじまって1年後の2023年に待望の赤子が誕生。翌2024年3月に般公開されたが、ここで着目すべきはその子の名前。なんと「カチューシャ」。これまで日本はもちろんロシアをふくむ世界の 国々に贈られた中国外交のシンボルは、その子供をふくめてすべて中国名。それは贈り主に配慮しての外交的辞令だが、中国政府はこれにクレームをつけるどころか、歓迎して同国メディ アでも報じられた

▼さる6月上旬、ロシア国営テレビの女性レポーターが、現在ウクライナでもっとも戦闘が激しいと伝えられるクルクス州の最前線で訓練中の北朝鮮兵士を取材、戦闘中の意思疎通をはかるために 「朝露の会話 集」が作成されたと報告、ついでボルシチなどのロシア料理にもなれ、スマホで映画を見放題で満 足しているという兵士のコメントを紹介し終わると、北朝鮮兵がいきなり「カチューシャ」を朝鮮語でうたいだした。

【昭和20年生まれからキミたちへ】の紹介

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『昭和20年生まれからキミたちへ』(世界書院)定価1,650円(税込み) 
終戦の年の昭和20年に生まれた各界で活躍する10人のロングインタビュー。
▼彼らが戦後の復興から高度成長期そして現在までの80年をどう生きてきたのか。彼らの生き方を通して戦後の日本の足跡が見えてくる。
▼そして彼らが若者に託すメッセージは何か。
▼東京新聞の連載企画を大幅に加筆した。

【お知らせ その1】
第9回 現代史研究会 (ちきゅう座)討論集会
「右派ボピュスムと対沢する日本政治の正念場」
日 時:9月20日 (土)午後 1時(1 2時3 0分開場) ~ 5 時
場 所 :明治大学駿河台校舎 研究棟2 階第 9会議室
資料代 : 1,000 円(学生 500 円)
講師: 白井聡さん (政治学者、京都精華大学准教授)
住沢博紀さん(デジタル機関紙『現代の理論』代表編集委員、自治体議会政策学会会長、日本女子大学名誉教授)
主催 メディアネットちきゆう座

【お知らせ その2】
「続・全共闘白書」サイトで読む「知られざる学園闘争」
●1968-69全国学園闘争アーカイブス
このページでは、当時の全国学園闘争に関するブログ記事を掲載しています。
大学だけでなく高校闘争の記事もありますのでご覧ください。
現在17大学9高校1専門学校の記事を掲載しています。


●学園闘争 記録されるべき記憶/知られざる記録
このペ-ジでは、「続・全共闘白書」のアンケートに協力いただいた方などから寄せられた投稿や資料を掲載しています。
「知られざる闘争」の記録です。
現在16校の投稿と資料を掲載しています。

http://zenkyoutou.com/gakuen.html (現在作業中)

【お知らせ その3】
ブログは概ね2~3週間で更新しています。
次回は9月12日(金)に更新予定です。